1. 2019年3月卒業生対象の東京大学の就職状況について
東京大学の場合、大学側は卒業生の就職先についてあまり開示をしてくれない。
しかし、オフィシャルな情報ではないかも知れないが、東京大学新聞社が就職状況について例年集計をしてくれている。
東京大学新聞社が、2018年度(2019年3月卒業生と2018年9月卒業生)の卒業生を対象とした就職状況について、2019年7月19日にWeb上で開示をしてくれたので、その情報を基に、東京大学の学生の就職先について考えてみたい。
<東京大学新聞社の「東大新聞オンライン」>
http://www.todaishimbun.org/shushoku20190719/
2. 東京大学の学生の就職に関する特徴
具体的な就職先を検討する前に、東京大学の学生の就職に関する特徴を把握しておきたい。やはり、文系、理系ともに日本一の大学であるだけに他の大学とは異なる以下の様な固有の事情がある。
①大学院進学率が極めて高い
進路の状況については、更新頻度が遅く、最新のデータでは無いものの、大学が公式HPで開示をしてくれている。
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400066194.pdf#page=12
東大の場合、学生の約6割が理系である。このため、大学院進学率が非常に高く、工学部、理学部、農学部、薬学部の約8割は大学院に進学する。このため、理系の学部の卒業生のうち、就職するものの割合は2割程度であり、非常に低い。
もっとも、国立のトップクラスの工学部・理学部については、京都大学や東京工業大学のように8割以上が大学院が進学するので、これは東大固有の特徴ではなく、トップクラスの国立大学理系学部の特徴と言った方が適切なのかも知れない。
それから、これは良く知られた東大の特徴であるが、看板学部の法学部からは伝統的に弁護士等の法曹を志望したり、官僚を目指す者が多い。
現在は法科大学院制度があるので、東大法学部の卒業生の約1/4は大学院に進学する(法科大学院以外の法学研究科も含まれるが)。これは、文系学部においては極めて高い割合である。
また、文学部、教養学部、教育学部においても進学者の割合はかなり高く、それぞれ2~3割程度は大学院に進学する。このため、必然的に就職者の割合は低くなる。
②何故か高い、東大卒業生の「その他」(進路不明者?)の割合
これは意外かも知れないが、東大の場合、就職・進学以外の「その他」(進路不明者?)の割合が結構高い。リンク先の年次の場合は、卒業生3,140名のうち、「その他」が420名もいて、卒業生に占める比率は13%にも及ぶ。
日本一のエリートのはずの東大生が留年なんてダラしないという感じがしなくもないが、東大の場合、司法試験(予備試験)や国家公務員試験を受ける者が多いので、国家試験受験を目的として留年する者が多いようだ。その分、当然、就職者の割合は低くなる。
③結局、東大(学部レベル)を卒業して就職する者の割合は、何と1/3位しかない…
大学院進学者や国家試験受験のために留年する者が多いため、東京大学の学部を卒業して、そのまま就職する者の割合は何と1/3位しかいない。この年度の場合だと、3,140名のうち、就職者の合計は1,017名にしかならないのだ。
(卒業生の過半数である1,604名は進学し、420名は「その他」に該当するので)
更に、その数少ない就職者のうち、2割弱は公務員(中央官庁+地方公務員)になるので、民間企業就職者ということに限定すると、約800人強しかいないことになる。
民間企業就職者については、法学部は約130名、経済学部は約190名である。
民間企業が特に欲しがる、東京大学法学部と経済学部の学生は両学部合わせて300名ちょっとしかいないのだ。
そのわずかな法学部と経済学部の学生のうち、優秀層は、外銀、外コン、商社、マスコミ、政府系金融機関、デベロッパー等を目指すので、それ以外の金融機関や事業会社は如何に東大生を採るのが難しいか想像できるだろう。
ときどき、メディアで「どこからも内定をもらえない東大生」のネタが取り上げられたりするが、それはそういったネタが受けるからであって極めて例外的な話である。
東大の法学部や経済学部の学生であれば、普通に応対ができれば基本的にフリーパスなのである。
3. 2019/3卒業の東京大学(学部卒)の具体的な就職先企業について
かなり前置きが長くなったが、東京大学の場合、他の大学とは異なる就職における特徴があるので、まずそれを把握しておかないと、正確な就職状況に関する分析はできなくなってしまう。
また、ここでの分析対象となるのは、学部卒業生のみ対象としているので、工学部や理学部の学生の割合は低い。
そして、ここでは、公務員は除いた民間企業を対象に検討したい。
<大学A> | <大学B> | ||
順位 | 企業名 | 企業名 | |
1 | 三井住友銀行 | 東京海上日動火災 | |
2 | アクセンチュア | 三菱UFJ銀行 | |
3 | 三菱UFJ銀行 | 三井住友銀行 | |
4 | 東京海上日動火災 | みずほ銀行 | |
5 | 三菱商事 | アクセンチュア | |
6 | 日本政策投資銀行 | 三菱UFJ信託銀行 | |
7 | 日本放送協会 | 大和証券 | |
8 | 伊藤忠商事 | 野村證券 | |
9 | 住友商事 | 三井住友信託銀行 | |
10 | 楽天 | アビームコンサルティング | |
11 | デロイトトーマツコンサルティング | 三井住友海上火災 | |
12 | 三井住友信託銀行 | 三井物産 | |
13 | 三井物産 | 日本放送協会 | |
14 | 日本生命 | 日本航空 | |
15 | 野村證券 | 博報堂 | |
16 | みずほ銀行 | 楽天 | |
17 | JR東海 | 住友商事 | |
18 | NTTデータ | 全日本空輸 | |
19 | アビームコンサルティング | 電通 | |
20 | プライスウォーターハウスクーパース | キーエンス | |
21 | 三井不動産 | 日本IBM |
(出所:東大新聞オンライン、各大学の公式HPを基に作成)
さて、クイズのような形で恐縮であるが、こちらの就職先上位ランキングのうち、東大は大学A、大学Bのどちらか一目でおわかりだろうか?
答えは大学Aが東京大学である。ちなみに、大学Bは慶應義塾大学である。
(なお、慶應義塾大学の就職状況についてはこちらをご覧下さい。)
https://career21.jp/2019-08-20-125354
電通・博報堂が入っているので、ぱっと見、大学Bの方が東京大学の様に見えた人もいるかも知れない。
それでは、もう一つ、東京大学と慶應大学の比較の観点から、ランキングにおいて共通している企業を消去するとこのような形になる。
<大学A> | <大学B> | ||
順位 | 企業名 | 企業名 | |
1 | |||
2 | |||
3 | |||
4 | |||
5 | 三菱商事 | ||
6 | 日本政策投資銀行 | 三菱UFJ信託銀行 | |
7 | 大和証券 | ||
8 | 伊藤忠商事 | ||
9 | |||
10 | |||
11 | デロイトトーマツコンサルティング | 三井住友海上火災 | |
12 | |||
13 | |||
14 | 日本生命 | 日本航空 | |
15 | 博報堂 | ||
16 | |||
17 | JR東海 | ||
18 | NTTデータ | 全日本空輸 | |
19 | 電通 | ||
20 | プライスウォーターハウスクーパース | キーエンス | |
21 | 三井不動産 | 日本IBM |
(出所:東大新聞オンラインと慶応義塾大学公式HPの情報に基づき編集)
4. 東京大学の就職先企業(学部卒業生対象)における特徴
①「凄い!」と思うか、「意外に他の有力大学と変わらない」と思うか?
先ず全体的な印象として、「凄い!」と感じるか、「意外に他の有力大学と変わらない」と感じるかは就活生の視点によって異なるだろう。
早慶の学生からすると、それほど変わらないと感じているかも知れない。
何故なら、トップ20の就職先企業は、早慶とかなりの部分重複しているからである。
メガバンク、大手生損保、大手証券、コンサル、インフラ、総合商社というのは、有名大学であれば大抵上位に入っているだろう。
東大らしさがあるとすれば、第5位にランクされている日本政策投資銀行位であろうか?
あと、第17位の三井不動産も超入社困難企業であるので、この辺は流石東大というところであろう。
②外銀、外コン(戦略系)、マスコミは東大でもなかなか入れない?
「意外に変わらない」と感じた学生は、おそらく第一志望が外銀、外コン、総合商社なのであろう。ところが、外銀も外コン(戦略系)については上位20社リストに入っていない。
また、NHKはランクインしているが、人気のキー局や電通・博報堂については入っていない。他方、慶應の場合は、電通も博報堂も上位リストに入っている。
結局、このあたりは東京大学と他の有力大学(例えば、早慶)との間に明確な差があるわけではないのかも知れない。これは20世紀の時代から変わらないことであり、日本人の場合、みんなが行きたいところに集中し過ぎるので、外銀、外コン(戦略系)、マスコミあたりについては、東大というだけでは内定を取れないのである。
③もっとも、「率」という点では断然有利である
もちろん、だからといって、就職に関しては東大も早慶もそれ程変わらないというつもりはない。何故なら、就職者数という分母の少なさを勘案すると、明らかに有名企業への「率」、入れる可能性という点では有利である。
例えば、学部卒業生の就職者数で比べると、慶應義塾大学が4,690人に対して、東京大学は1,017人である。比率にすると、22%である。五大商社への就職者数で見ると、慶應義塾大学の合計は155人、東京大学は73名であるので、人数換算すると、東京大学の方が2倍以上入りやすいことになる。総合系コンサルティング・ファームについても同様であろう。
④若干、東大有利な世界も残っている…
それから、興味が無い人にとっては関係が無い話かも知れないが、今でも若干東大を優遇する企業はあるだろう。
例えば、日本銀行、日本政策投資銀行といった政府系金融機関。
加えて、大手金融機関のIBD、グローバル・マーケッツのような専門職採用については、東大がやや有利である。
また、JR各社、NTT各社のようなインフラ系企業については東大が有利であろう。
もっとも、インフラ系については内定を取ること自体は早慶クラスの学生が相応の対応をすれば内定はそれ程難しくはないであろうから、入社という点に関してはそれ程問題は無いかも知れない。
⑤ほとんどの企業に余裕で就職できるのだが、本当に行きたいところに行ける保証は無い
東大の場合、就職は圧倒的に有利であり、ほとんどの企業には余裕で就職できるのであるが、その「ほとんど」から外れてしまう極々一部の企業に人気が集中するので、そういったところに入れる保証は無いということである。
感覚的に言うと、三菱商事以外であれば、英語を含め相応の対策を立てるとどこからは内定を取るのは難しくないし、総合系コンサルティング・ファームであれば入れるという感覚だろうか?
東大生の場合も(特に文系)、1年生から外銀、外コン(戦略系)に絞って対策を立てるものと、TOEICスコアすら無い学生まで、学内格差が拡がってきているという。こういったところを狙おうとするならば、結局、せっかく東大に入れたにも関わらず、すぐに競争の世界に巻き込まれることになってしまう。
5. 適性のある学生には、意外と狙い目な弁護士(法曹)と官僚
弁護士と官僚の人気は低下傾向にあるが、東大生の場合だと、適性がある者は一定数いるはずだ。勉強が得意で、法律系科目も周りが単位取得に四苦八苦していても自分は平気だというような場合には、法科大学院とか予備試験を目指すのもいいだろう。
そのかわり、新司法試験の合格については全く不安が無いという自信があることが必要だ。お金だけであれば、大手渉外系事務所に行くよりも、外銀に行った方が手っ取り早く稼げるかも知らないが、長い目で見ることが出来れば、大手法律事務所のパートナーになった方が生涯賃金では稼げるかも知れない。
<東大法学部の場合の、外銀と渉外系法律事務所について>
https://career21.jp/2018-11-16-141318
また、今では減ってきているかもしれないが、東大法学部生の中には、政治家を目指す者もいるだろう。その場合には、ファーストキャリアとして官僚を目指すのは悪くない。官僚人気が落ちてきている分、有力省庁への入り易くなっているであろうから、適性がある人には狙い目かも知れない。
6. 東京大学(学部卒業生)の就職の将来について ~年収重視の場合~
就職先の善し悪しというのは、その人の価値観によって異なるというのが建前である。しかし、そう言い切ってしまうと、将来の予想の軸が難しくなるので、ここでは「年収重視」ということで考えてみたい。
①将来稼げるのは工学部?
従来は、一流大学の工学部の場合、大学院まで行って真面目に勉強し、そして製造業に就職するが、製造業自体の給与水準は相対的に低く、また不安定でもある。
それでは浮かばれないということで、工学部離れが起こり、理系で優秀な高校生の多くが医学部を目指すようになってしまったというのが現状である。
しかし、まだまだ東大工学部の場合、従来と大きくは変わっていないが、変化の兆しも少しずつ出始めている。少数ではあるが、外銀や外コン(戦略系)を狙う者も出てきたし、プログラミング能力がある者は、幾らでも稼げる環境になってきた。
PKSHAテクノロジーのように、起業を目指せば、莫大なお金を手にすることもできるし、商才に自信が無い場合であっても、営業力のある者と組めば受託開発で十分稼ぐことは可能である。
プログラミング能力が高いという条件は付くが、ソニーやNEC等の伝統的な日本企業も工学部の優秀な人材には相応の年収を用意しようという動きが出てきているので、年収に重点を置く工学部生が徐々に増えていくかも知れない。
そうなると、東大の中でも一番稼げるのは工学部ということになるかも知れない。
<東大工学部生のキャリアに変化の兆し?>
https://career21.jp/2018-11-20-124311
②10~20年後は、エリートは中国語をマスターし中国系企業に行く?
20世紀と比べると、外資系企業の人気が業種を問わず拡がっている。
国内系企業についても、英語ができないと話にならなくなってきている。
10~20年後には、中国のGDPは現在の2倍以上になっていることが想定される。そうなると、現在のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)を上回る企業がいくつも登場していても不思議ではない。
また、中国企業による日本企業の買収ということを考えると、投資銀行ビジネスをやるにしても中国語が不可欠になるだろう。
中国系の企業はそれなりの人材には相応の報酬を支払うので、中国系のIT企業が現在のGAFAのような位置づけになるかも知れない。
従って、東大生の就職人気ランキングには中国系企業が入っている可能性がある。
③新卒採用条件の多様化に伴い、そもそも人気企業ランキング自体がなくなる
終身雇用の廃止、経団連の就活ルールの廃止によって、新卒採用が多様化して行くのは間違いないが、注目されるのが、新卒の採用条件の多様化である。
くら寿司の初任給1000万円のグローバル人材採用が注目されているが、定員10人のところ、東大、早慶などの学生の応募が170通以上あるという。
この動きは拡がる可能性がある。人気の無い業界、業界の下位企業は多くの初任給を支払わないと良い人材を採れないからである。
そうなると、業界下位の企業程、優秀な学生には高給を支払うこととなる。
例えば、横浜銀行がマーケット系とかフィンテック系の人材を採用しようと思えば、メガバンクが600万円出すなら、1000万円位用意しなければならなくなる。
これは、東大生のような強い立場にある就活生からすると、大変面白い話である。
従来だと、外銀とか国内系証券会社のIBDコースに僅差で落ちたとしても、他の学生と同様にメガバンクや大手生損保で初任給400万円で配属先も保証されない総合職のポジションしかなかった。
ところが、新卒採用条件の均一性が崩れると、メガバンクや大手生損保の場合でも、優秀な東大生であれば初任給や配属先をネゴできるようになるわけだ。そうなると、三菱UFJ銀行は他の人と同じ初任給400万円しか提示してくれなかったけど、みずほ銀行とか損保ジャパン日本興亜あたりが初任給600万円で配属先指定してくれると、そちらの方に魅力を感じるのではないだろうか?
さらに、外銀(特にフロント部門)が難化しているので、初年度800万円程度のゴールドマン・サックスのオペレーション(シンガポール勤務)が注目されたりもしているが、国内系金融機関が初任給で同程度の金額と配属先を指定してくれるのであれば、そちらを選択しようという学生も出てくるはずだ。
新卒採用条件の多様化は、企業間のヒエラルキーを曖昧にする力がある。
また、形式的に見ると同じ新卒なのに採用条件に差をつけるのは不公平でけしからんという風にも見えるが、東大だからというだけで特別待遇をしてもらえるわけではない。
同じ大学であっても、英語力、ファイナンス知識、リーダーシップ、プレゼン能力等を総合的に勘案した上で、個別に条件を決める訳なのだから、かえってフェアだということもできる。
このような新卒採用条件の多様化が進展すれば、どこの企業に入れるかよりも、どういった条件で採用されるかの方が重要になって来るので、企業名を基にした就職ランキングは形骸化していくのではないか。
この点、最初から高い初任給をもらうとサスティナビリティの観点から、将来そのまま高給をもらい続けることができるのかというところがポイントになる。しかし、終身雇用制度が崩れると、従業員側としては生涯賃金の最大化を想定した上で、目先の年収を重視して行動し、先行きが怪しくなると転職をすればいいわけなので、問題ないのではないだろうか。
いずれにせよ、将来は就職人気ランキングというのは形骸化していくのではないだろうか。
④金融・総合系コンサルからどこに流れるか?
就職者数トップ20企業を見ると、金融とコンサルが上位を占め、学部卒業生の場合は、約2割位はこの両業界に就職しているのではないだろうか?
しかし、金融については少子高齢化に伴い国内市場の縮小は避けられないし、海外に出て行こうと思っても、既に欧米の競合が進出しており勝つことは難しい。そうなると、待遇はじわじわと悪化し、人気は落ちていくことが予想される。
また、総合系コンサルティング・ファームは業績好調なので、新卒に限らず中途も含めて陣容を拡大しているのだが、それはデジタル・トランスフォーメーションの恩恵を受けているからであろう。ネットIT系の分野は将来も有望ではあるが、流石にこのペースがずっと将来も継続するとは考え難い。従って、10年後、20年後ということになると総合系コンサルへの就職者の割合も減るのではないか。
現在最大シェアの金融と総合系コンサルからどこに流れるのかが気になるところである。
本来であれば、そういった人材がベンチャー系に流れたらマクロ経済的には美しいのであるが、日本の場合はなかなかベンチャーが育たないので、そう単純には行かない気がする。
そうなると1つの方向性としては、前述した新卒採用条件の多様化と相俟って、その時の勝ち組メーカーがもう少し見直されるかも知れない。東大生(学部卒業者)の就職先上位20社にメーカーが1社も入っていないのは寂しい限りである。
東大生やその他有力大学の特に文系の学生からメーカーの人気が無いのは、給与水準の低さが最大の原因であろう。この点もう少し改善されると、トヨタ、ソニー、任天堂あたりの大手メーカーにももう少し東大生が就職するようになるのではないだろうか。
もう1つの方向性としては、地味ながら給与水準が高く何らかのスキルアップが期待できる企業がもう少し評価されるかも知れない。例えば、キーエンス、日本M&Aセンター、日本駐車場開発といったあたりである。
⑤年収1億円レベルのネットSNS系の個人事業者は東大から現れるか?
ネット系インフラの発展、SNSの影響力増大の流れによって、ブログとかYouTubeとかを活用した個人事業者が増え始めている。5Gのインフラが整えば、ますます個人メディアの影響力は高まる可能性がある。
そういった環境下、個人ブロガーとかユーチューバーでトップクラスの者は優に1億円以上の年収を実現している。
ところが、年収1億円クラスの東大出のブロガーやユーチューバーはまだ現れていない(と思う)。それは当然で、いわゆるエリート層は本業で稼げばいいし、ブロガーとかユーチューバーは東大生からすると胡散臭いイメージがあった。
また、サラリーマンや官僚、弁護士等の堅い仕事をしていると、SNS規制が厳しいし、時間的余裕も無いので、そちらの世界に入っていくことが難しかった。
しかし、それはブログとかYouTubeの世界に東大出の優秀なエリート層が入り込んでいないわけなので、本気で参入すると勝てるチャンスはある。ブログにしてもYouTubeにしてもコツコツとコンテンツを数多く作り続けることがカギなので、そういう点は東大生には有利である。
10年後位には、年収数億円の東大ユーチューバーが何人か現れていても不思議では無いし、そこまで行かなくても、ブログSNSによって月に数百万円位レベルであれば十分可能ではないだろうか?