一橋大学経済学部の就職について。外銀、外コン、総合商社はどうか?

1. 2019/3卒業生の一橋大学経済学部の就職状況

一橋大学経済学部の就職状況については、3年分まとめて大学の公式HPでフル開示されている。但し、こちらは2018/3卒業生対象までである。

<大学公式HP:一橋大学経済学部の就職>
http://www.econ.hit-u.ac.jp/jpn/page/examinee/graduate_admissions/path.html

そこで、2019/3卒業生のデータがOB会の会報誌に掲載されていたので、一橋大学経済学部の就職状況について検討する。

2. 一橋大学経済学部の進路の概要について

一橋大学経済学部の定員は275名。
経済学科のみの1学科体制である。

男女比率は、男子:女子が87%:13%となっている。
経済学部は商学部よりも男子比率が一般的に高いのが特徴であるが、慶應大学経済学部の場合が、男子:女子=76%:24%なので、かなり男子比率が高いのが特徴である。

進路については、大学院に加えて他の大学への進学が結構多く、進学者数の合計が30名程度と、卒業者のうちの1割強を占める。

そして、公務員になる者はそれ程多くは無く、中央官庁と地方自治体を合わせて10名程度である。

したがって、約220~230名が民間企業に就職をすることとなる。

3. 一橋大学経済学部からの外銀・外コン・総合商社への就職状況

就職状況を分析するに当たっては、この最人気・最難関である3業種に絞って見てみると大体わかるのではないだろうか。

というのは、現在の就活市場において、このクラスの大学・学部であると、メガバンク、大手生損保、大手証券(但し、全て総合職の前提)、大手事業会社については、事実上ほぼフリーパスである。

どこを選ぶかは学生の価値観によるというだけであるので、上記の金融や事業会社への各就職者数とか比率を見てもあまり評価の対象とはならないだろう。

他方、難関大学になればなるほど、外銀、外コン、総合商社を多くの学生が狙いに行くので、ここにどれだけ行けるかによって、就職力が見えてくるのである。

なお、一橋大学経済学部からの、外銀、外コン、総合商社への就職状況は以下の通りである。

外金 ゴールドマン・サックス証券(2)
外コン(戦略系) ローランドベルガー(2)
コンサル(総合系) アクセンチュア(1)、アビームコンサルティング(2)、クニエ(1)、PwCコンサルティング(1)、野村総合研究所(2)
総合商社 三菱商事(2)、三井物産(2)、住友商事(2)、伊藤忠(1)、丸紅(1)

※( )内は各社への就職者数
<出所:如水会会報2019年8-9月号より関連情報抽出>

3. 外銀、外コン、総合商社以外の高難易度企業への就職状況

上記3業種以外にも、就職偏差値・就職難易度の高い業種として、政府系金融機関、大手マスコミ(電博、キー局)、デベロッパー、外資系メーカーなどがあげられる。

2019/3卒の、一橋大学経済学部からの就職状況は以下の通りである。

政府系金融機関 日本銀行(1)、日本政策投資銀行(3)
大手マスコミ 博報堂DYメディアパートナーズ(1)、TBS(1)
デベロッパー 三菱地所(2)、三井不動産(1)
外資系メーカー P&G(1)、ジョンソン&ジョンソン(1)

※( )内は各社への就職者数
<出所:如水会会報2019年8-9月号より関連情報抽出>

4. 一橋大学経済学部の就職における課題について

①外銀、外コン、総合商社等について

外銀、外コン(総合系含む)、総合商社への就職者数の合計は、19名である。
MBBが一人もいないというのが寂しいところではあるが、民間企業への就職者数が220~230人位しかいないことを考えると、この辺りに1割弱が就職できるというのはまずまずであろうか?

ゴールドマン・サックス以外の外銀への就職者はゼロだったり、総合商社の半数は三菱商事と三井物産で、大手5社以外は行かなかったり、一橋大学経済学部の上位層は一番上を狙いに行っているのだろうか。

MBBはもともと少数しか採用しないので、大学側がMBBへの就職に向けて支援をするということはないだろうが、OB/OGがサポートする等、もう少しここは強化してもいいかも知れない。

また、政府系金融機関、大手マスコミ、デベロッパー、外資系メーカーにも合計11名就職している。

先程の、外銀・外コン・総合商社と合わせると、誰もが難関と認めるところに合計30名程入社しているので、こんなところではないだろうか?

②ベンチャー起業について

狭義のベンチャー起業とか、自ら起業する学生がどれくらいいたかについては、よくわからない。

これは、一橋大学経済学部に限った話ではないが、ベンチャー起業する学生の割合は極めて低い。

仮に最終的に大手企業に就職することになっても、将来の転職、起業、フリーランス対応のためにも、学生時代に一度起業に挑戦することは大変意義がある。
少額でも会社(Webサイトでも可)を売却した実績があったり、ネットビジネスで売上を計上できた実績があれば、業種を問わず就活でも大いに使えるネタであろう。

この点については、大学側やOB会もサポートするべきではないだろうか?

5. 面白いと思った就職先

必ずしも、一橋大学経済学部からの内定は難しくないかも知れないが、戦略的な見地から面白いと思われた就職先が散見された。

「戦略的に面白い」とは、将来性、転職可能性(スキル)という点において優位性があり、かつ、内定をもらえる可能性が高いという意味である。

外銀・外コンの場合には、将来性とかスキル習得、ステータスといった点で、戦略的に優れた就職ということは言えるかも知れないが、最大の問題点は内定をもらえる確率が低いということである。

別に、就職難易度と将来性は一致するとは限らない。
総合商社、政府系金融機関、デベロッパーなどは就職難易度は最難関であるが、40歳時点での転職力ということについて考えると最強とは言えないだろう。

反対に、就職難易度は必ずしも高くはなくても、将来性やスキル習得の意味で優れた業種・職種は存在する。

例えば、日本IBMが4人いた点だ。
ITというと反射的にGAFAということになるが、新卒はごく少数しか採用しないし、エンジニアがメインだ。また、日本拠点においては教育研修システムの点で不安がある。

他方、日本IBMの場合には派手さは無いが、教育研修体制は揃っているし、実は外資系IT企業への転職者は伝統的に多い。配属される部署にもよるが、将来のスキル、会社のネームヴァリュー、転職価値能力等を考えると、面白い就職先だと思う。

また、アセットマネジメントOne、野村アセットマネジメント、大和証券投資信託委託、三菱UFJ国際投信、ニッセイアセットマネジメントに合計6名も就職していることである。

20世紀においては、新卒で運用会社(バイサイド)というのはほとんど見られなかったのだが、一学年220~230人の就職者の中で、6人もバイサイドに行くというのは面白い。

運用会社というのは、銀行、証券、保険の子会社であるので、親会社よりも一段低く見られるリスクもある。しかし、親会社のようなリテール配属のリスクは無く、外資系バイサイドは数多く日本で事業展開をしているので、英語さえできれば将来外資系バイサイドに転職することは十分可能である。

下手に新卒で外銀に行って、VPになる前に辞めて国内系企業に転職するというよりも、
国内系バイサイドに新卒で行って、スキルを磨いて、30歳位でVPで外資系バイサイドに行くという方が成功キャリアと言えるのではないだろうか?

最後に

終身雇用が廃止されると、従来の就活における成功パターンも変容される可能性が高い。
最初の就職先(ファーストキャリア)は当然重要であるが、それ以上にセカンドキャリア(2社目以降)が重要になってくるかも知れない。

従って、10年先、20年先や生涯賃金ということも考えた上で、就職することが肝要なのだ。もちろん、就活生はおろか、熟練の経営者であっても将来がどうなるかは予想できない。

しかし、そういう不確実性を前提とした上で、その時その時に適切に対応できるようなスキルや判断力を習得できるように努めるべきである。

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