1. 将来的にはIBDからベンチャーへの転身を目論む若手が増えるかも知れない…
外資系、国内系と問わずIBDビジネスの市場が飛躍的に拡大したり、人材マーケットが好転するようになると考えるのは楽観的ではないだろうか?
IBDというか、投資銀行ビジネス自体がグローバルで苦戦しているし、リーマンショック以降、国内におけるIBDのポジション数は低減傾向にあるだろう。
他方、相場変動に伴うアップダウンはあるものの、ネット系ベンチャーの世界で成功している人の数は増加傾向にあると言えるだろう。IPOまで行かなくても、途中M&AでEXITすることによって億単位のキャッシュを手にした若手経営者は少なからず存在するし、最近では、Web系ビジネスのフリーランスとか、ブログSNSで年収1億円以上稼ぐ者も登場してきている。
日本経済は少子高齢化で縮小していくにせよ、ネットIT分野は例外的に拡大していくだろう。狭義のネットビジネスだけではなく、既存のビジネスをITによって効率化することを企図したデジタル・トランスフォーメーションとか、フィンテックといった分野も含めると、ネット系ビジネスに強ければ活躍できる舞台は大きく拡がるであろう。
このため、今は外資系或いは国内系のIBDでバンカーをやっていても、このままMDを目指すよりも、ネットベンチャーの世界で成功したいと考える若手が増えても不思議ではない。
2. 早い段階でネット系ベンチャーに転身するのであれば、CFOだけに絞りたくない
MDクラスのシニアバンカーがネット系ベンチャー業界に転身するのであれば、CFO以外のポジションしか考えられないだろうが、20代のVP未満のバンカーであれば、自分の将来をベンチャー企業でのファイナンス職に限定しない方が得策であろう。
何故なら、先ず、ネット系ベンチャー企業の魅力的なCFOポジションはそれ程多く存在していないからである。ベンチャー企業は失敗する方が多いので、わざわざIBDのキャリアを捨ててまでベンチャー業界に行くのであれば成功確度が高い企業のポジションを狙うしかない。例えば、メルカリ、マネーフォワード、HEROZ、Wantedlyといった事前に評判が高く多額の資金調達に成功している企業だ。しかし、CFOポジションというのは1つしか無いので、ある程度有力なベンチャー企業に絞ると、もう少し職域を拡げて考えたい。
また、CFOというのは所詮はバックオフィスである。自分自身で収益を上げるポジションではない。せっかく若くしてベンチャー業界に転じるのであれば、将来に備えて起業を含め守備範囲を広げておいた方が有利だ。
経営企画、事業開発、マーケティングといったネット系ビジネス系のビジネスモデルや稼ぎ方をマスターできるポジションにどこかのタイミングで就いておきたい。
ファイナンスに加えて、企画・事業開発・マーケティング、欲を言うとプログラミングもある程度理解できるようになっておけば、尚良しである。
しかし、典型的なトップエリートであるIBDの若者からすると、ネット系ビジネスというのはどうも軽薄でチャラいビジネスなのではないかという不安があるのではないだろうか。
ましてや、多忙なIBDの若手の場合、ネットで副業などやっている余裕は無いし、ブログSNSでの情報発信も制限されているのでそちらの世界も疎そうである。
しかし、ネットビジネスで稼ごうと思えば、ネットビジネスのことを理解する必要がある。メルカリなんかも、高収入のIBDバンカー達からすると、中古品売買なんかには関心が無いと思うかも知れないが、実際にメルカリを使ってみないとメルカリには転職できないだろう。
したがって、普段はバカにしていそうなアプリとかサービスも知っておいた方が良い。
3. ネットベンチャーを狙うIBDの若手バンカー達におすすめの3つの趣味
①スマホゲーム
IBDのバンカー達がもっとも苦手そうなのがスマホゲームである。
例えば、パズドラとかモンストでさえも、ダウンロードすらしていないのではないだろうか?
スマホゲームをプレイしたり、更には、課金をするなど、もっともやりたくないと思ってはいないだろうか?
しかし、ゲームというのは粗利99%の、ネットビジネスの中でも最高度に収益性が高いビジネスである。この観点から、スマホゲームを決して馬鹿にしてはいけない。
ネットのビジネスモデルというのは、結局、マッチング(ECもこのカテゴリー)、広告、コンテンツ課金の3パターンしかないのであるから、そのうちのコンテンツ課金の最たるものであるスマホゲームをよく知っていないと、儲けることができない。
だからこそ、マイクロソフトに限らず、Googleでさえもゲームに参入したがるのである。
従って、食わず嫌いになることなく、パズドラとかモンストあたりの最もメジャーなところをDLして、レベル上げをしてみて欲しい。
好き嫌いがあるので、他にとっつき易いものとしては、コロプラの出世作であるクイズRPG「魔法使いと黒猫のウィズ」或いは白猫テニス、LINEのLINEバブル2とかディズニーツムツムあたりをやってみればどうだろうか?
ある程度スマホゲームにハマると、ゲームをやったことが無い人よりは明らかに、ゲームに詳しくなる。その際に、「このゲームの面白みはどこか」「このゲームが流行った理由は何か」について考えながらやるといいだろう。
新しいテクノロジー、例えばVR/ARなんていうのも、もっともビジネス的に収益化できそうなのはゲームだったりするので、必須アイテムだろう。
また、ライバルのバンカー達はゲームをやらないので、ゲームに詳しいとそれだけでネットの世界に詳しいように見せやすい。
②ブログ
今さらブログか?、というかも知れないが、もちろんYouTube、ツィッター、インスタグラムでも構わない。しかし、もっともお手軽に始められるし、動画とかよりもバンカーは文章を書く方が得意そうなので、ブログを始めてみるのがお勧めである。
本格的にやってみる覚悟があるのならば、ワードプレスで始めるべきである。
しかし、とりあえず実験的に勉強用にやってみようというのであれば、はてなブログで十分である。別に、IBDのバンカーである間は収益化とか考える必要が無いので、ワードプレスに拘る必要は無い。
ここでブログをやることの意味は、WebマーケティングとSEOについての基本的理解を深めることである。IBDにいると、WebマーケティングとかSEOという世界からは全く無縁になってしまうので、ネットの世界の住民とはなかなか同じ土俵に立てないし、下手をするとファイナンス以外は何もわかっていない奴だと評価を下げてしまう。
ブログを始めてPVを気にするようになると、自ずとWebマーケティングとかSEOに興味を持つことができるようになるだろう。
もちろん、金融業界は全般的にブログやSNSを通じての情報発信は厳しく制限されている。しかし、情報発信自体が禁止されている訳では無いので、金融や業務に関係ないテーマで始めればいいだけである。
例えば、趣味のワインとかクルマに関するものでも構わないし、ジム通いによるダイエットとか健康維持のような実生活に関するネタでもいい。
IBDのバンカーは多忙なので、ブログなんてやっている暇はないかも知れないが、少なくとも国内系であれば1日1記事とかであれば十分可能であろう。
ブログが継続しそうな、純粋に自分が好きなジャンルについて始めるのが良い。IBDのバンカーは真面目で優等生タイプなので、毎日コツコツ続けることは得意だし、文章を書くことにも慣れているだろうから、実は適性はありそうだ。
途中我慢も必要であるが、続けるにつれてブログのPVが増えていくと、モチベーションは高まるであろう。
③仮想通貨取引
金融機関、特に証券会社の場合には、有価証券取引は証券業界ルールや自社の社内ルールによって厳しく制限されている。
さらに、IBDとなるとインサイダー関連の規制から、役職員証券投資をやる人はほとんど存在せず、証券口座があってもMRFとか個人向け国債位しかやらないケースが多いだろう。
ところが、仮想通貨の場合には不動産と同様に役職員証券取引の規制外であるから気軽に始めやすい。
別に儲けることが目的では無いので、少額でビットフライヤーとかGMOコインで口座開設してみるといいだろう。
ビットコイン(BTC)の市況が回復したと言っても、まだまだ2017年と比べると盛り下がっている仮想通貨業界であるが、実は仮想通貨交換業協会を通じたインフラ作りは徐々に整備されてきているし、楽天コイン、メルカリコインとかが出てくると再び盛り上がる可能性は十分にある。
また、仮想通貨もフィンテックの1つであり、フィンテックというと金融業界の人間が重宝される。仮想通貨取引を少しでも初めて見ると、関心度が飛躍的に高まるので、バンカー達が苦手そうなブロックチェーンといった関連テーマも詳しくなるだろう。
このため、少額でいいので、仮想通貨口座の取引を始めてみると良い。
それから、仮想通貨の前に、今話題となっている決済系のサービスも利用しない手はない。
楽天ペイ、PayPay、メルペイあたりもさっそく試して欲しい。
最後に
IBDのバンカー達は、ネット系ベンチャーで儲けることには関心があっても、その中身のネットビジネスには興味が無いし知識も無いということが多い。
しかし、将来ネットの世界に転身して成功することを狙うのであれば、はやり、ネットビジネスに詳しくなった方が有利である。
そうは言っても、多忙な日常生活の中で、普段接する人間もネットとは無縁の人達ばかりだとなかなかネット周りの嗅覚が磨かれない。
そのためには、全てやる必要は無いが、ゲーム、ブログ、仮想通貨あたりをかじってみて、その中で最も面白いと思うものを深堀していけばいいだろう。
そうすると、普段見えてこなかった世界が見えてくるはずだ。