1. いわゆる「出戻り」はアリか?
金融機関と言っても、外資系と国内系とでは一般的に転職に対する抵抗感が異なる。
外資系金融機関の場合には、中途採用の対象者は大抵が転職経験者であり、ポジションが上になればなるほど転職回数が多くなるので、中には出戻りに該当する候補者も含まれているケースもあるだろう。
他方、国内系金融機関も中途採用を行っているが、一般的に転職回数が多い人は外資系と比べると敬遠しがちかも知れない。
従って、国内系金融機関と外資系金融機関とに分けて検討する。
2. 国内系金融機関の場合
実は、国内系証券会社の場合、かつては出戻り組も存在したという。
例えば、国内系金融機関から、国内系の事業会社、または、外資系金融機関に転職したものの、転職先がマッチせず、古巣の国内系金融機関に戻りたいというケースである。
これについては、「出戻りはダメ」といったルールは存在していない。
このため、社内的に評判が良く、惜しまれながら退職したような場合には、出戻りが認められたケースもあった。
要するに、担当役員と、復帰することとなる部長クラスがOKすればいいだけの話であるので、「ごめんなさい」ということで復職することが認められるケースは大手証券会社では存在したのだ。
但し、そういった話が散見されたのは第1次インターネットバブルの2000年前後か、せいぜいリーマンショック前までであり、最近では出戻りには厳しくなったとも聞く。
というのは、出戻りの場合は意外にもその後の定着率が悪いようなので、国内系金融機関も学習したのか、あまり出戻りを許容しなくなってきたようだ。
3. 外資系金融機関の場合
相対的には、外資系金融機関の方が出戻りの可能性はあるだろう。
一般的に外資系の方が、採用に関する意思決定権者の数が少なく、国内拠点の当該部門長と、海外のレポーティングラインの長の2名がOKすれば、採用される可能性が高い。
外資系の場合には、結構タテ社会なので、部門長のMDが採用についてYesと言っているのに、その部下のVPとかが採用にNoとは言いにくい環境なのだ。
従って、外資系の方が、出戻りは認められやすい。
もっとも、外資系の場合には海外のレポーティングラインである部門長の承諾が難しい場合がある。
外資系とはいえ、一度退職するということは、そこに何らかの心理的なわだかまりができるわけであるので、単純に以前は高評価だった場合でも、出戻りについてはあっさりYesと言ってもらえるとは限らないのだ。
というわけで、外資系だからと言って、簡単に出戻りが当然に認められるわけではないということに留意が必要だ。
4. 国内系も外資系も転職は慎重にした方が良い
出戻りというのは合理的な側面がある。
かつて自分が在籍していた会社であるので、カルチャーとかについて熟知しているし、過去の社内ネットワークを有効活用できる場合があるからである。
しかし、一旦退職したという事実は消せるものではない。
周りの関係者に迷惑を掛けたわけであるので、出戻りというと、「何を今更」と思われても仕方が無い。
外資系金融の場合には、転職回数の多さはそれ程問題にならないかも知れないが、多くなりすぎるとJob Hopperということでネガティブな見方をされる場合もある。年齢にもよるが転職回数が片手を超えてくると要注意であろう。
転職回数が増えると、「レジュメが汚れる」という言い方をするので、安易に転職を考えない方がいいし、簡単に出戻りが認められるとは限らないので、「いざとなれば、元の会社に戻ればいいや」という発想はお勧めではない。