外資系金融からのコンサル系企業への転職と留意点

1. そもそも何故わざわざ外資系金融からコンサル系企業に転職したいと思うのか?

外資系金融に勤めていて、途中でコンサルティング・ファームに転職する人は極めて少ない。
外コン⇒外銀⇒外コン、というように、外銀から外コンへの転職というケースであっても、新卒は外コンであったためにコンサルティングの経験を有していたとう例はある。

しかし、金融系のキャリアしかなく、途中でコンサルに行きたいと考える人は従来は少なかったはずだ。

そもそも、年収的には圧倒的に外資系金融の方が外コンよりも多いし、わざわざ未経験の業界にゼロから飛び込んで苦労したいとは考えないからだ。

2. しかし、これからは外資系金融からコンサル系企業への転身希望者も出てくる?

しかし、これからは新卒で外資系金融に入って、途中でコンサル系企業に転職してキャリアチェンジをしたいという若手社員が出て来るかも知れない。

その背景としては、外資系金融、特に投資銀行ビジネスに対する将来の不安だ。
ドイツ銀行の投資銀行部門の大規模なリストラが報道されるなど、リーマンショック以降、特に欧州系の投資銀行ビジネスが芳しくない。

本人自身が意欲もあって優秀だったとしても、外国の親会社の業績が悪ければ、ローカル拠点に過ぎない日本でもリストラがあるかも知れないし、そうでなくとも、ボーナスの金額には少なくない影響がある。

そして、外資系金融の場合は、年をとると働きにくくなり、40歳を過ぎると国内系金融とか事業会社への転職というのは極めて難しくなる。ベンチャーCFOの途もあるが、世間で言われる程、魅力的なポジションは多くない。

このように、難関を突破して外資系金融に入社したのは良いが、いざ就職してみると将来が不安になることも考えられる。

他方、外資系金融と並ぶ難関業種である外コンについては、戦略系、総合系ともに業容を拡大している。この背景は、IT/AIの進展、或いはデジタル・トランスフォーメーションの潮流によって、ビジネスが拡大しているからだ。このため、外コンは業界として採用を積極化していて、コンサル経験は無くとも20代であれば中途で外コンに転職できる可能性は以前よりも高まっている。

また、外コンでの職歴とコンサルティング・スキルがあれば、転職範囲は極めて広いので、年をとっても事業会社の幹部に転職できるというのも魅力である。

さらに、リーマンショック以降は、外銀のボーナス水準が大幅に下がっているので、それ以前と比べると外銀と外コンの給与格差は縮小している。このため、外銀から外コンに転職することの抵抗感も下がってきていると考えられる。

3. 外資系金融からコンサル業界に転職するにあたっての留意点

①規制業種と非規制業種の違い

外資系金融は典型的な規制業種であり、金融庁の監督下、業務範囲・業務内容というのは厳格に定められている。このため、外資系金融では狭い範囲の決まった仕事を延々と続けるわけなので、自由で独創的な発想に馴染みにくいところがある。

このため、複数の業種を担当するコンサル業界のカルチャーに着いて行けるかどうか気になるところである。

②金融はIT/AI、SNS系に弱い

外資系、国内系を問わず、金融キャリアの人はIT/AI等、特にネット系のテクノロジーに弱い。業務自体がテクノロジーを扱うものではないというのは当然として、GAFAのような巨大なネット系企業が無い日本においては、ネット系企業というのはまだまだ端っこの業界であるので、クライアントしての重要性が相対的に低い。

また、副業/兼業は当然大幅に規制されているし、金融という職業柄、ブログやSNS系の情報発信も規制されている。それに、そもそも、外銀は激務であるので、個人でネット系ビジネスや情報発信をやる余裕はない。

IT/AI、デジタル・トランスフォーメーション関連の需要増大によって、コンサル業界の収益が伸びているにも関わらず、そちらの分野に弱いというのは金融キャリアの人の弱みである。

③価値観・カルチャーの違い

就活生の段階では、外銀と外コンの併願というのは珍しくない。
しかし、外銀と外コンというのは、互いに転職することは珍しいので余り接点が無い。

また、スキルとは別に、外銀と外コンでは価値観やカルチャーが大きく異なる。
外銀の場合の価値観というのは、とにかくお金であって、転職の際もお金がどれだけ増えるのかが最大の関心事項である。

これに対して、外コンの場合は、お金よりも好奇心・自分がやりたいことを重視する傾向があり、だからこそ、独立する人が多い(独立しても収入は増えない場合が多いにも関わらず)

考え方についても、歩合的な色彩が強い外銀の場合には「いくら稼いだか」という「結果」が重要な業界である。他方、コンサルの場合には成功報酬型のフィーでは無いので、結果よりも「プロセス」を重視するカルチャーであろう。

例えば、フェルミ推定で「日本に信号はいくつあるか?」という問いに対しては、コンサルだとロジックを駆使して回答するわけだが、外銀の場合だとホムペとか警察庁の知り合いに照会するなどして、早く正確な答えを探すことが正解である。

そもそも、著名な経営コンサルタントと成功した金融キャリアの人が仲良くしている姿を見たことがあるだろうか?外銀と外コンというのは結構水と油の関係なので、スキル的には通用したとしても、カルチャーフィットとか同僚と上手くやっていけるかという面についても留意する必要があるだろう。

④転職エージェント

これは、技術的な側面に過ぎないが、コンサルに転職するには、外銀の時に使っていた転職エージェントとは異なる転職エージェントを探した方が良い。

外銀の場合だと、ロバートウォルターズ、モーガンマッキンリー、マイケルペイジ、ロバートハーフ、イースト・ウエスト、ラッセルレイノルズ等が多いのだろうが、コンサルとなると、アンテロープ、アクシオム、ムービンあたりがいいのだろうか?

いきなり、企業のHP経由で応募するというのはあまりお勧めではなく、情報収集の観点からもコンサルに強い転職エージェントに複数あたっておきたい。

最後に

外部環境が変わっていくと、従来のキャリアに関する成功パターンも変容することがある。
金融の場合は、金融業界の中で一直線でMDを目指して行けばよかったのだが、リーマンショック以降は、そうとも限らないかも知れない。

AT/IAの急速な進展とか、起業の場合のEXITの多様化、SNS/5Gという環境下における個人の情報発信による可能性の拡大等、以前には存在しなった勝ちパターンというのが拡がっている。

従って、金融のプロフェッショナルとしてファーストキャリアをスタートしたものの、早い段階で他業種に転身を考えることがあっても不思議でないだろう。