数学を我慢できれば、関関同立ではなく大阪市立大学を目指したい理由

1. 難化が顕著な関関同立

入学定員の厳格化や、推薦、AO、付属枠の増加に伴い、私立大学の一般入試枠が縮小し、それに伴い有名私立大学の難化が顕著になってきた。

20世紀においては、特に国立重視の関西地域においては、国公立>関関同立というのが明確であり、今では考えられないかも知れないが、滋賀大学や和歌山大学>関関同立というのが定説であった。

<滋賀大学、同志社、立命館の選択について>
https://career21.jp/2019-07-26-173316

しかし、最近では、難易度だけについて見ると、関関同立が関西の中堅の国公立を上回る勢いである。

科目数の違いがあるので単純比較をすべきではないのだが、3科目に限ると、関関同立>滋賀、和歌山で、場合によっては、関関同立(特に同志社、関学)>大阪市立、という見方もある。

2. 文系の場合、数学が嫌いなのは理解できるが、3科目も茨の道である

文系の場合、数学が嫌いな生徒が多いのは理解できる。
だから、早い段階で数学を捨てて、3科目型の関関同立に切り替えるという選択をする学生は少なくないし、それを勧める塾や予備校も多い。

しかし、そのような考え方をする学生が多いので、3科目型は競争が厳しく、かなりハイレベルな戦いをしなければならなくなってしまう。

我慢できるのであれば、数学を得意にならなくてもそこそこできるようにさえなれば、京都大学や大阪大学は無理でも、大阪市立大学であれば何とかなる可能性はある。
大阪市立大学を真剣に目指して射程圏内(B判定以上)までもってくることが出来れば、最悪センター試験(これからは共通テスト)でコケた場合には、滋賀大学に切り替えることができる。

したがって、周りの友達が3科目型の関関同立に切り替えるのを見て、同じように安易に数学を捨てるのは余り賢明とは思われない。

3. 企業の人事部から高評価の大阪市立大学

関関同立の難易度が上昇しても、大阪市立大学よりも関関同立が上だという人は関西でも少数派であろう。もっとも、関関同立の中では特に同志社が難化していることから、同志社>大阪市立という意見もあるようだが、東京ではそのような評価にはならない。

東京では、早慶、MARCHがあるので、早慶>同志社は当然で、MARCH>同志社と考える人はかなり多い。

これは経済基盤が、東京>関西なので仕方がないところではある。

知名度的には、同志社>大阪市立という意見もあるが、就職ということについては、芸能人とかスポーツ選手を数多く輩出していても、それは関係が無い。

大阪市立大学の場合、旧三商大(一橋大学、神戸大学、大阪市立大学)の流れを汲んでいるところがあり、大企業における評価が高いのである。

実際、大阪市立大学出身の経済人は多く、岡野ダイキン工業社長、小川ダイセル社長、尾山アシックス社長、喜岡カゴメ社長、工藤サンスター会長、倉持大同生命保険社長、是金小野薬品工業社長、坂根小松製作所社長、中野京阪電気鉄道社長、信木東洋ゴム工業社長、古川阪和興業社長、山崎蝶理社長等、非常に多くの経営者を輩出している。

就職ということを考えると、大阪市立大学のコスパは良好であり、数学を我慢できるのであれば克服したいところである。

4. 早稲田政経の数学必須化や、STEM教育で、将来は理数系重視?

関関同立ではなく、できれば大阪市立大学を狙いたいことの理由は、就職に加えて、将来の理数系重視の流れというのがある。

私大文系最難関の早稲田大学政治経済学部が、2021年度一般入試から数学を必須科目にすることが注目されている。

また、STEM教育(Science、Technology、Engineering、Mathematics)ということで、中間一貫校でも理数系の教育を重視するようになってきているという。

<STEM教育と文系の対処法>
https://career21.jp/2019-07-22-141322

これは、最近のIT、AI重視の流れの中で、人材市場においてもIT関連のプログラマー等の需要が高まっていることなどが背景にある。

資本市場で見ても、世界の時価総額トップ10には、GAFA、マイクロソフト、アリババ、テンセントがランクインする等、テクノロジー系が圧倒的な強さを見せている。

もちろん、大学入試で数学をやったところで、理数系に強い人間になれるというわけではないが、高校の段階で理数系を捨ててしまうと、将来取り残されるリスクが高まりそうである。

得意にならないまでも、若いうちから理数系アレルギーを持たないようにしたいところだ。

5. 大阪市立大学の数学のレベル

大阪市立大学の文系の数学は、特に難問は無く、努力が報われやすい出題となっている。
出題形式は大問4題で制限時間は90分。まんべんなく幅広い範囲を問われるのが特徴である。

記述式であるので、センター試験対策だけでは不十分であるが、MARCH文系用の標準的な問題集(基礎問題精講)或いはその1ランク上の標準問題精講あたりをやっておけば十分な難易度である。

もっとも、証明問題とか図形問題に対応できるように、手を動かしてキッチリと書ききれるようになっておく必要はある。

いずれにせよ、真面目に幅広く、キッチリと手を動かして記述をする練習を積んでおけば対応は可能である。

反面、基本ができていなかったり、ミスが多い人には不利な形式である。

従って、どうしても数学が嫌だと思わない限りは、真面目に対応すれば何とかなる範囲である。

なお、大阪市立大学の文系の数学の問題の難易度は、神戸大学の文系の数学よりも高いという指摘がある。大阪市立大学の数学は典型的な教科書的な問題ではなく、一捻りが必要なので文系には対応が難しく、オーソドックスな設問で知られる神戸大学の文系数学よりも難しいというのである。

もっとも、この点については難しい分、合格最低点がその分低いだけであるのでそこは気にする必要は無いだろう。

<武田塾による大阪市立大学と神戸大学の数学の出題について>

https://xn--8pr038b9h2am7a.com/university_hikaku/7457/

6. 前提としては英語については自信を持っていること

大阪市立大学を志望する場合の問題点は、全てが中途半端になって、国公立も関関同立も全滅するパターンである。

そのためには、英語は少なくとも得意でないと話にならない。

文系は、京大とか阪大クラスであっても、必ずしも数学に自信がある生徒はそれ程多くは無い。みんな我慢して数学を勉強しているのである。

数学を捨てて関関同立に走る学生が多い理由というのは、中堅国公立の受験生、要するに数学を得意としない文系の学生向けにうまく数学を教えることができる講師や塾のバイトが少ないことであろう。

人数的にマジョリティである関関同立は数学を教えることができないからだ。

従って、文系向けに数学をうまく教えてくれる塾とか講師と出会えればいいのだが、現実的には多い訳では無いので、ここが課題かも知れない。

※2020年5月28日追記:大阪府立大学と大阪市立大学の統合構想について

大阪市立大学は大阪府立大学と2022年に新大学へ統合することが発表されている。これによって、統合後の大学は神戸大学と同程度の規模の、医学部をも有するフルラインの大学となる。加えて、キャンパス立地は大阪市のど真ん中、大阪城の真向かいの超好立地である。キャンパス立地については、旧帝国大学の大阪大学以上とも言えよう。

このため、統合後においては、大阪市立大学の評価は今まで以上に高くなることが期待される。その意味では、ますます数学を頑張って、大阪市立大学に合格することの意義は大きいと言える。

もちろん、その分、難易度が上がってお買い得度は下がってしまうという難点もあるが…

<大阪市立大学と大阪府立大学の統合>

https://career21.jp/2019-09-04-130330/

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