メルカリの2019/6期の決算発表。メルペイは将来どうやって稼ぐのか?

1. 2019/6期は137億円の赤字の見通し。メルペイの宣伝費が嵩む。

メルカリが2019年7月25日に、2019年6月期の連結業績予想で、純損益が137億円の赤字になる見通しを発表した。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1907/25/news138.html

この赤字の要因としては、メルペイの宣伝費が嵩んだためだという。

メルカリは、国内の本業であるフリマアプリ事業は好調であるが、米国の事業とメルペイが足を引っ張る形で、最終的には赤字決算となっている。
2018年6月期も121億円の純損失だったので、なかなか赤字から抜け出さない。

2. メルペイのスタートは順調だと言うが…

メルカリの金融事業の中核となるメルペイがローンチし、メルペイの登録者数は既に開始63日間で100万人を突破したという。

すぐに収益化はできないものの、将来の収益に向けての種まきは順調だという。
メルカリの決算説明会用資料によると、メルペイ事業の収益化に向けた計画は、3段階からなっている。

フェーズ1は先行投資であり、ユーザー及び加盟店の拡大がここでの目標だ。
これについては、三井住友カード、au pay、JCB、LINE Payとも提携する等、現在このフェーズは順調に進捗しているという。

そしてフェーズ2は、親会社であるメルカリとのシナジーの追求にある。
メルカリのGMV(流通取引金額:Gross Merchandise Value)への貢献、後払いサービスの強化という、メルカリ事業の補完的な位置づけである。

最終段階のフェーズ3は、メルペイの収益化である。
「取引データの蓄積に伴う、更なる信用の創造と個人及び企業への付加価値提供」ということで、かなり抽象的な書かれ方をしている。

<2019/6期 決算説明用資料>
https://pdf.irpocket.com/C4385/eHSm/vwwn/oECA.pdf

3. メルペイはどうやって具体的に収益化を図るのか?

この点に関して、決算説明用資料においては、具体的な収益化の方法に関する記載はない。従って、推測する他ないのだが、メルカリの山田社長とメルペイの青柳社長が上海を視察した際にアリババの個人の信用力のスコアリングシステムに感銘を受けたことや、「信用の創造」というワーディングからは、AIを活用した貸金事業を考えているように見える。

AI或いは高度なビッグデータ分析能力を活用した貸金ビジネスというと、アメリカでのバランスシート・レンディングと呼ばれる中小企業や個人に対するビジネスが思い浮かぶ。

Ondeck(オンデック)とKabbage(カベージ)というのが2大企業であり、Ondeckはゴールドマン・サックスが出資した企業でもある。

しかし、日本と米国とでは外部環境が異なるため、単純にアメリカで成功したビジネスモデルを日本に持ち込んだだけでは成功できない。

そもそも、日本ではメガバンクとか地銀に加え、信金・信組が広く存在しており、中小企業に対する融資ビジネスの競争環境はもともと厳しい。

それに、既存の取引データを活用した中小企業向け融資という点では、楽天とかアマゾンが既に出店者に対する融資サービスを行っているし、中小企業の取引データという観点からはオービックとかミロク情報が情報力において優位だし、更にはfreeeも中小企業の財務データを保有しておりメガバンクと提携をしている。

このため、メルペイが中小企業を対象とした貸金業ビジネスに参入したところで、競合に勝てるかどうかは未知数である。

青柳社長はドイツ証券出身なので、融資ではなく証券ビジネスでの収益化を目論んでいるのかも知れない。しかし、メルカリでの取引において発生する少額の剰余金では、証券取引の対象とはなりにくいだろう。
また、メルカリのユーザーがメルペイ経由で、ロボアドバイザーのような運用ビジネスに走るということも考えづらい。そうであれば、7000万人ユーザーを抱えたLINE証券とか、既に証券事業で成功している楽天に分があるのではないだろうか?

そうなると、最近は聞かれなくなったが、「メルカリコイン」のような仮想通貨ビジネスは面白いと思われるが、それに関する計画についてはまだ言及されていない。
仮想通貨ビジネスについては、ハッキングによる流出事件が後を絶たず、免許を取るには時間がかかりそうだ。

以上のように、メルカリ(メルペイ)の金融事業というと聞こえは悪くは無いが、具体的な稼ぎ方について考えてみると、そう簡単に稼げるものではなさそうだ。

収益化には時間がかかりそうだし、米国事業もいつまで我慢できるのかよくわからない。
そうなると、とにかく本業のメルカリの国内事業に頑張ってもらうしかないのだろう。

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