慶應では損保より人気が無い?第一生命への就職とキャリアについて考える

1. 慶應大学では何故か生保よりも損保が人気?

人気があるからという理由かどうかはわからないが、慶應義塾大学の上位就職先企業ランキング(2019/3学部卒対象)を見ると、生保よりも損保の方が就職者数が多い。

<慶應義塾大学 2018年度 上位就職先企業(3名以上上位20社)>

https://www.students.keio.ac.jp/com/career/service/files/64a2eeb70a6d8cb7f7d26fd5a2ac4519.pdf

例えば、第2位に東京海上日動火災(83人)、第13位に三井住友海上火災(41人)がランキングに入っているのに対して、生命保険についてはトップ20に1社も入っていない。

関西系というのがイマイチなのか、業界トップの日本生命も、最大の「上場」生保の第一生命ホールディングスもトップ20に入っていない。(なお、日本生命は学部卒は30名、第一生命は学部卒21名である。)

<慶應義塾大学 2018年度 3名以上就職先>

https://www.students.keio.ac.jp/com/career/service/files/3_3ijo_2018.pdf

2. 給与面や待遇においては、生保は損保に劣らないはずだが…

まあ、損保については合併によって大手3グループに集約されたからとか、日本生命や明治安田生命は上場していないので、同規模の損保と比べると格下のイメージがあるとか、そういった理由は考えられるが、決定的なものは無い。

少なくとも、給与水準とか退職金・年金といった待遇については、大手生保の水準は高く、損保と比べて遜色はない。

日本生命とか第一生命の場合には、30代後半で課長になると年収は1500~1600万円程度はあるし、退職金とか年金も手厚い。東京海上日動には若干劣るかも知れないが、三井住友海上火災や損保ジャパンよりは、日本生命や第一生命の方が好待遇なのではないだろうか?

3. 損保は「コスパの良い業界」という評価もあるが…

一部のトップ校の学生の間では、損保は「コスパの良い業界」という言われ方をしたりもするようだ。

どういうことかというと、入社するのは難しくないし、入社した場合にはメガバンクや大手証券会社と比べて仕事はハードではない。でも、給与水準はメガバンクや大手証券と同等以上であるというのが理由のようだ。

それでは、生保、特に大手の日本生命や第一生命の場合はどうかというと、損保と似たりよったりではないだろうか?

4. 損保も生保も弱点は転職価値が高まらないこと?

今のところは、安定していて給与水準が高い損保と生保であるが、いずれも弱点は共通していて、転職価値が高まらないということである。

そもそも、損保や生保から直接外銀とか外資系運用会社に転職するのは不可能だ。
業務が全く異なるし、国内中心の損保、生保の場合、英語力という点でも苦手な人が多いからだ。

また、外資系の保険会社は存在するが、損保はほとんど転職対象になるような外資系損保は無い。ドイツのアリアンツとかミュンヘン再保険とかあるが、別に給与水準は国内系大手の損保と変わらない。

生保は、アクサ、マニュライフ、プルデンシャル、メットライフ、NNなど大手外資系が数多く日本に進出しているので、転職対象先にはなるかも知れない。

しかし、外資系生保の場合、年収水準がマネージャークラスで1000~1200万円、部長クラスで1500~1800万円であり、同じポジションで比較すると国内系大手に劣るし、リスクは外資金融にしては相対的に低いが、国内系のように終身雇用が保証されているわけではない。このため、国内系大手から外資系生保にわざわざ転職するインセンティブは特に見当たらない。

損保、生保共に今までは終身雇用が前提であったので、特に転職する必要もないため、転職力の低さは問題にならなかったが、今後はこの点を意識した方が良いかも知れない。

5. 生保でお勧めするとしたら第一生命?

以上のように、日本生命や第一生命であれば、損保と比べても特に見劣りする点は無いと思われる。

もっとも、日本生命は関西起源なので、京大生や阪大生が相対的に幅を利かせているところがあるので、慶大生からすると、第一生命の方が好みかも知れない。

<日本生命の年収、キャリア等について>

https://career21.jp/2019-03-23-072129/

6. 第一生命の経営戦略は?

就活生としては、その企業の将来性が気になる。
このため、中期経営計画を参考にしたいが、第一生命の現在の中期経営計画は、「CONNECT2020」というのが進捗中である。
http://ke.kabupro.jp/tsp/20180329/140120180329400300.pdf

これによると、「3つの成長エンジン」の強化というのを重点取組事項としている。
1つ目は、国内生保事業の強化、
2つ目は、海外生保事業の強化、
3つ目は、資産運用・アセットマネジメント事業の強化、
である。

このうち、国内生保事業の強化について見ると、「QOL向上に資する商品戦略」、「“3ブランド+α”を睨んだ展開」、「マルチチャネル化と外部とのパートナーシップの加速」をあげているが、特段目新しいものでは無いように見える。

少子高齢化や既に十分すぎる程生命保険に加入しているのが現状なので、国内生命保険事業については、面白みのある成長戦略はなかなか描けないだろう。

従って、2つ目が必然的に出てくるのだが、海外生保事業の強化である。国内がダメだと海外に活路を見出すしかない。これも損保と似ていて、アジアの成長国に焦点を当てるようだ。

3つ目は、損保と異なる点かも知れないが、資産運用ビジネスの強化だ。
第一生命の場合は、参加にアセットマネジメントOneという合併により国内最大(運用資産額(AUM)ベースで)になった運用会社を持っている。
また、Janus Hendersonという外資系の巨大運用会社に投資をしており、関連会社化を目指して株の買い増しをする意向という。

それから、「イノベーションの創出」ということで、AI/ITを駆使した事務オペレーションの効率化や、ビッグデータの活用等を推進すると言っている。流行りのフィンテックという言葉はあえて使っていない。

7. 結局、狙いは海外と資産運用ビジネス?

こうやって第一生命の中期経営計画を見ると、将来発展性がありそうなのは、海外の生保事業と資産運用ビジネスということになる。

従来、生保というと海外は無いに等しかったのだが、今後は海外進出せざるを得ないので、グローバルリーダーシップを備えた学生は活躍できるチャンスがあるかも知れない。

また、資産運用ビジネスもスケール感は大きい。特に、傘下にアセットマネジメントOneとJanus Hendersonがあるというのは面白い。
もっとも、資産運用ビジネスをやりたいのなら、最初からアセットマネジメントOneに行けばいいじゃないかということだが、給与水準が親会社である第一生命の方が2割位高いし、親会社であるみずほや第一生命の元社員が幹部としてアセットマネジメントOneに天下ったりしているので、新卒で運用会社を敬遠する場合もある。

いずれにせよ、英語力があって企業財務が強い学生は、活躍できる可能性があるかも知れない。問題点は、コース別採用が無いことである。アクチュアリーとか若干の例外はあるが、基本は総合職としての採用なので、リテール営業に配属される可能性も十分ある。

しかし、新卒採用の多様化が進むだろうから、第一生命でもコース別採用がオープンになると、結構穴場といえるかも知れない。

もっとも、2020年の初頭にコロナウイルスの問題が発生し、2020年6月時点でも経済情勢や新卒採用市場の先行きが読みにくい状況にある。22卒以降の就活市場はかなり厳しくなるという見方もあり、第一生命の場合も従来よりは難化する可能性があるので、OB訪問、英語や会計の学習、企業研究等、十分な準備をすることが推奨される。

 

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