東大の就活生が留意したいGD(グループディスカッション)の本質

1. GDで悪者にされがちな東大の就活生?

21世紀の就活の特徴かも知れないが、GD(グループディスカッション)というのが外資・国内、サービス業・メーカー問わずに導入されるようになった。

GDというのは学校バラバラでグループを作成して、協働のディスカッションをしていくというゲームのような就活時の選考方法だ。

それが真実かどうかは別として、何故かGDにおいて東大生は悪者にされがちである。いかにもステレオタイプな偏見に満ちた定説としては、東大生は他大性(特にMARCH)の論理的な思考が出来ないことに腹を立て、否定的な意見が多くて、GD参加者の足を引っ張るというものである。
https://gaishishukatsu.com/archives/101597

2. GDにおけるチェックポイントは何か?

上で引用した、東大の就活生御用達のwebsiteの「外資就活」によると、GDの目的は、「論理的思考力」と「人の話を聞けるか」という極めて簡単な2点を検証することにあるというが、果たしてそれは本当であろうか?

3. 東大生であれば、就活を離れて、そもそものGDの趣旨を考えておきたい

①GDとビジネス・ファシリテーション

実は、GDというのは就活のために編み出されたゲームではない。
いかにして会議を建設的に進めて良い成果を出すことができるかということを目的とした、「ビジネス・ファシリテーション」という概念が背景にある。

これは、名称は異なる場合もあるが、管理職研修等においてトレーニングを受けたりするものであって、サラリーマンが企業において良い仕事をするために、どのような会議の運営をしたら良いかというビジネススキルがその本質である。

別に、ビジネス社会においては、東大VS.MARCHという図式があるわけではないが、実態はもっと複雑で、議題に賛成の者、反対の者、関係の無い者、議題に詳しい者、全然知らない者、決定力がある者、決定力が無い者が入り乱れてミーティングを行うことはしょっちゅうある。

そうした中、いかにして上手く会議をリードして、組織として良い結果を導くかというスキルがビジネス・ファシリテーションということだ。

②ビジネス・ファシリテーションにおける2つのポイント

ビジネス・ファシリテーションにおけるポイントは2つある。

第1は、成果を出すことだ。
これは、議論の効率・結論の論理性が重視される要素で、筋の通った議論を行い、妥当な結論に向けて誘導できるスキルである。

第2は、会議の参加者を「巻き込む」ことだ。
これは1点目の成果重視に対して、プロセス重視という側面だ。
企業の場合、妥当な結論を出すだけでは始まらない。それに向けて参加者が納得した上で協力的に動いてくれないと、成果は実現しない。
このため、妥当な結論を目指すプロセスにおいて、如何に参加者にその気になってもらい、納得した上で議論に参加してもらおうということである。

第1点目は論理性重視であるのに対して、第2点目は感情重視という言い方もできる。

第2点目の「巻き込む」ことは単に「人の話を聞くこと」ではなく、その参加者にやる気を出してもらい、気持ちよく妥当な結論形成に協力してもらうという高度なスキルなのである。

社会人になると、この2点目の「巻き込む」スキルが重要で、論理性だけなら誰でも出来ても、人の感情をコントロールするというのは簡単なことではない。

従って、実際にリーダーとして会議を進めていくには、この2点目の方に半分以上のパワーをつぎ込むことが少なくないのである。

③東大の就活生がこの2点目の感情コントロールを意識すると強い

就活レベルのGDに話を戻すと、東大生は第1点のポイントの論理性、成果のコントロールというのは元々得意であろう。

そして、東大生が叩かれがちなのはこの2点目の方であろう。
そこで、東大の就活生としては、このビジネス・ファシリテーションの2点めのポイントを理解すると、MARCH生の論点から外れた意見に腹を立てるのではく、その感情を害しないように優しく丁寧に誘導してあげるのが正解ということが理解できるだろう。

もっとも、多くの場合、東大生が優しく誘導してもMARCH生は言うことを聞いてくれるとは限らない。自分の言いたいことを延々と話し続けるかも知れない。しかし、GDの世界では、東大生としては「巻き込み型」「感情コントロール」をしていますという態度さえ示せれば合格なのであって、言うことを聞いてもらえなくても腹を立てる必要は無いのである。

4. 就活のGDと実際の会議のビジネス・ファシリテーションの違い

実際のビジネス・ファシリテーションにおいては、参加者の感情をコントロールしつつ、妥当な結論に導くためには、事前の周到な準備(仕込み)というのが必要になる。また、会議の参加者は社内の人であれば事前情報があるので感情コントロールをするための材料を集めやすい。

他方、GDの場合はそういった仕込みや参加者情報が無いので、妥当な結論という結果は生み出されなくても仕方が無い。むしろ、重要なのは適切なプロセス(巻き込み)ができるかという感情的な面だ。

従って、GDにおいては妥当な結果というのは元々難しいから、プロセスがより重視されるということを理解すれば、結果を気にし過ぎる必要はなくなるので、余裕をもって感情コントロールに徹することができるだろう。

さらに、良くも悪くも東大生は論理性は備えているという偏見を持たれているので、感情コントロールを示して優しい東大生的な面を示した方が、評価されやすいとも言えるだろう。

まとめ

以上のように、GDというのは誰が始めたのか、実際のビジネスシーンで重要なビジネス・ファシリテーション能力を就活段階で試そうという無茶なゲームなので、東大の就活生としてはこの点を踏まえた上で、優しい対応ができればいいのではないだろうか?