富山銀行、鹿児島銀行等、地銀が若手の待遇改善。地銀への就職をどう考えるか?

1. 初任給の引上げや昇進を早めるなどの対応を行う地銀も

2019年7月23日付の日経新聞記事「列島発」において、地銀が若手の待遇改善策を採っている事例が紹介されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47637200S9A720C1EE9000/

例えば、鹿児島銀行の場合は昇進時期を早め、従来は9年目前後で係長相当の役付になれたところを、2年前倒しして、最短7年目で係長に昇進可能とした。また、同時に賞与も引上げ、年収ベースで最大60万円程増えるという。

富山銀行の場合には、初任給を前年から引上げ、1万5000円アップして、20万5000円とした。

奈良県の南都銀行の場合には、子供関連手当を拡充し、第3子が生まれると50万円、第4子以降は100万円を支給する支援金制度を導入した。

これらの背景としては、地方銀行・信用金庫といった地方金融機関の就活生における人気が低下し、若くて優秀な人材の確保が厳しくなっていることがあげられるようだ。

また、地方の場合には若手の地方自治体への転職が見られるなど、相対的な競争力が低下してきているようだ。

2. 若手の待遇改善の背景には、三井住友銀行の新人事制度の影響があるのでは?

もっとも、若手の人材確保というのは今に始まった話ではない。
地銀が若手の待遇改善に走る背景としては、三井住友銀行の新人事制度の影響があるのではないだろうか。

<三井住友銀行の新人事制度とその考え方>
https://career21.jp/2019-06-24-133303

銀行というのは典型的な規制産業で、横並び意識が極めて強い。
そうした中、業界最大手であり、動くのが早い三井住友銀行の動向が気になるのではないだろうか?

3. 地銀の若手の待遇改善は抜本的な変化につながらない

地銀が若手の待遇を改善すること自体は結構な話だと思うが、よくよく考えてみると、大した話ではない。

鹿児島銀行の昇進の早期化は、9年を7年に2年前倒しするだけだし、しかもそれは最短のケースであるので、多くの行員が若くして幹部に登用されるという話ではない。

富山銀行の初任給の話も、たかだか月給1万5000円の一律上昇という内容だ。
くら寿司の初任給1000万円と比べると、何のインパクトも無い話だ。

南都銀行というのは、首都圏の人には馴染みがないかも知れないが、実は奈良県の第一地銀である。第3子に50万円、第4子に100万円というが、そもそも少子化の時代、第3子、第4子というのは、どれくらいの行員に関係がある話なのだろうか?
うがった見方をすると、少ない予算で子育て支援をアピールするための話題作りと読めなくもない。

いずれにせよ、それによって就職志望先を変更しようという気になるようなスケールの大きい話ではない。新規性も無く、いかにも地銀的な地味な話である。

4. それでも、何もしない地銀よりはいいのだろうが…

もっとも、小さな施策であってもまだやるだけましだと言える。
地銀はどこも経営状況は苦しいのであるが、採用戦略においても小さいなりの改善策が採れる地銀と、全く何も出来ない地銀との間では差が付いていくのであろう。

そうなっていくと、全般的に苦しい地銀の中でも、何とか頑張っていける地銀と、脱落してしまう地銀とに分かれていくのだろう。その場合、M&A、経営統合という話がでるのだろうが、そのような地銀を抱えることができる地銀はあるのだろうか?

5. どうしてもUターン就職をしたい学生は良く考えて選択すべき

従来、地銀と電力会社というのはUターン就職の定番であった。
しかし、過疎化に伴う地域経済の衰退とゼロ金利(マイナス金利)による運用難によって、地銀の経営状況は大変厳しくなってきている。

他方、絶対安泰と思われていた地方の電力会社も、原発問題があって以来、経営的に厳しくなってきている。

このため、地元にどうしてもUターン就職をしたい学生からすると、安心して戻れる地元企業が大幅に減ってしまった。

そうなってくると、最も堅いのは地方自治体ということになる。
もちろん、20年後、30年後は地方公務員もリストラと無縁という保証は無く、そうなると、公務員だとスキルが付きにくい分、リスクとも言える。

このため、Uターン就職を希望する学生としては、本当にUターン就職をしなければならないのか、Uターン就職をする場合、果たしてその就職先は安泰と言えるかについてよくよく考える必要がある。