1. 教育界においても理数系重視の傾向か?
受験界において、何といっても最難関は医学部である。
このため、トップの中間一貫校である私立或いは国立の学校は、医学部志望者の割合が高く、理系>文系のようなイメージが出来ている。
さらに、最近のIT、AI重視の流れで、中途採用マーケットにおいては製造業、サービス業を問わずITエンジニアに対する需要が高く、特にAI周りに強いエンジニアは引く手あまたの状況にある。
このように、産業界においても理系重視の流れがあるからか、教育界においても理数系を重視してきているようだ。
理数系教育においては、「STEM(ステム)教育」という言葉があるようで、これは、Science、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字を取ったもので、教育段階においてお理数系重視が、受験生やその両親に対してアピールできるようになってきている。
2. 急速な広がりを見せる「算数1科入試」
理数系重視の流れの中で、中高一貫校においては、算数1科入試が拡がってきているという。
https://toyokeizai.net/articles/-/293296
理系人材の需要が高まっているということで、予め算数が得意な生徒を囲い込んでおきたいという思惑があるようだ。
中高一貫校の入学試験で、算数1科目入試を導入すると、科目数の負担が少なく、併願の対象としてもらいやすいので、導入校としては算数ができるポテンシャルの高い生徒が入学してくれることを目論んでいるらしい。
3. しかし、理数系が苦手な生徒は昔から多い
算数が得意な子供は、将来学力が伸びる可能性が高いというのは結構なことであるが、時代が変われば算数の得意な子供の比率が高まるわけではない。
昔も今も、理数系、特に算数(数学)が苦手な学生は多く、だからこそ、3科目で受験が可能な私立文系は人気が高く、反対に、数学が必須とされる地方国立の文系は人気が低い。
特に、定員の厳格化の流れの中、MARCHや関関同立といった東京と関西の私立大学の難易度は相当高まっており、それなら、ほんの少しだけ理数系を我慢して地方国立を狙った方が得策なのではないかという状況にある。
そんなことは受験生たちは百も承知であろうが、とにかく苦手なものはやりたくないということで、なかなか有名私立大学から国立大学に志望校を変更する動きは見られない。
4. 理数系が苦手な学生が生き残るには?
理数系というのはセンスが求められるので、頑張ったからといって、どうにかなるとは限らない。
そうした中、ド文系の学生が生き残るためには、「グローバル教育」に活路を見出す他ないだろう。「グローバル」というと仰々しいが、要するに、「英会話力」を伴う英語力を磨くということだ。
グローバルというには、外国人とのコミュニケーション体験とか、異文化コミュニケーション能力的なものを付加する必要があるのだろうが、とにかく英会話能力を習得することができれば、短期留学等で対応することは難しくない。
実際、大学入試の先にある就活について見ると、最も普遍的に重宝される能力は英語力である。少子高齢化によって国内市場の縮小化は不可避であるため、海外市場に目を向けざるを得ないのが国内企業の実情だ。
このため、帰国子女、留学経験者の就職における地位は高い。
5. それでは、どうやってグローバルな英語能力を磨けばいいか?
単なる受験英語については、大手の塾のチェーンでも個人経営の塾ででも強化することは可能である。しかし、英会話力の向上を伴うとなると、なかなか簡単では無い。
そのためには、講師が英会話ができないと話にならないからである。
高学歴な学生のバイトを雇うことができても、英会話力を伴う学生を見つけるのは容易ではない。帰国子女とか留学経験者といった条件を付けなければならないからだ。
そこで、英会話能力を伴う英語力を磨くには、結局以下の2つの方法に頼るしかない。
第1は、TOEICスコアをベンチマークとして英語学習をすることである。
TOEICができたからといって必ずしも英会話力が上達するものでは無いが、ある程度英会話力とTOEICスコアとは比例するところがあるのは事実である。
また、TOEICは英検のように合格・不合格というゼロイチではないので、対策を立てて勉強すればその分はスコアに反映されるので、モチベーションは維持されるし、コツコツやれば努力は報われやすい。また、TOEICで800以上のスコアを実現すると、それは就活でも活用できる。
第2は、英会話学校に通うことである。
学校はNOVAでもイーオンでも構わないが、とにかくレベルアップに拘ることである。
小学生、中学生、高校生を問わず、受験という縛りがあるので、じっくり英会話にばかり時間をかけるわけには行かないので、少しでも早く上位クラスに上がれることを意識して通学することだ。
受験英語対策と英会話対策を分けてやるのは非効率なのだが、日本の受験制度上やむを得ない。もっとも、今後の4技能重視のトレンドを踏まえると、英会話学校への投資も悪くないはずだ。
理数系重視という流れは、教育界においても今後継続している可能性があるが、どうしても理数系が苦手な学生は、グローバル、要するに英会話力でも磨いて対抗していく他ない。