実力主義?外資系企業で成功するために最も重要な能力とは何か?

1. 外資系企業は実力主義?

外資系企業の特徴について、外資系は簡単にクビになるとか、外資系は契約制で終身雇用で無いとか、外資系は退職金・年金は無いとか、結構適当な情報が流れていたりするが、その中で最もらしいのが「外資系企業は実力主義」という特徴である。

確かに、外資系企業の中には徹底した実力主義を標榜する企業もあるだろうが、一般的には国内系企業と比べて外資系の「実力主義」が徹底しているということは言えないだろう。

2. そもそも「実力」とは何か?

実力主義といっても、「実力」とは何かというと、結構簡単な話ではない。
営業とか、運用による収益というように成果が定量化できるポジションについてはわかりやすいかも知れないが、外資系金融でも人数ベースで半分以上を占めるバックオフィスはどうだろうか?

経理、人事、法務、内部監査、オペレーション、リスク管理、ITといった職種は直接収益を産む仕事でないだけに、定量評価は難しい。

収益部門でも「実力」を定量的に測るのは簡単では無い。
例えば、就活生が大好きな投資銀行部門(IBD)というのはチームプレイであるので、ファイナンスとかM&Aの案件を取れたからと言って、それは会社の名前や資本力に依拠するところが多いので、個人の成果とは単純に結びつかない。

最も定量評価が簡単に出来そうに見える営業やトレーディング部門でさえ、「実力」と成果が簡単に結びつくとは限らない。

大きな顧客、多額の手数料を落としてくれる顧客を担当できれば、営業の能力はイマイチでも大きな成果を実現することはよくある話である。また、有能とされる営業マンでも、担当する業種や顧客によっては、大した成果を出せない場合がある。

従って、外資系企業だからといって、単純に「実力」主義で片づけることはできない。

3. それでは外資系企業で成功するために最も重要な能力とは何か?

これは、外資系金融に特化したベテランの独立系転職エージェントの話であるが、彼曰く、「外資系企業で成功するために最も重要な能力は、『良い(稼ぎやすい)ポジションに就く』能力」である。

外資系企業の場合には、新卒よりも中途採用で採用されるケースが多い。
そうなると、黙っていても良いポジションが与えられることは無いので、募集中のポジションを情報収集し、その中で良いポジションを選択し、そして、そのポジションについて採用されることが必要である。

単純に、転職エージェントとか有人・元上司から推薦されたポジションを何も考えずに受け入れるだけでは、成功できるとは限らない。

サラリーマンの場合、いくら能力が優れているからといって、自分一人だけで仕事が完結することは無いので、簡単に確実に良い成果を生み出すことが可能なポジションを見つけ出す必要がある。

このあたりわかりやすいのが、外銀のIBDである。
ゴールドマン・サックスのIBDでMDまで昇進し、年収数億を稼げたとしても、その人が仮に国内系証券会社の準大手に行くと全く稼げないだろう。

企業のネームバリュー、顧客網、海外とのネットワークが無いと、自分一人がいくら頑張ってもできることは限られる。

もちろん、その反対もある。例えば、みずほ証券のIBDで平均的な評価であっても、相場の好況時に外銀IBDに転職し、たまたま在職中に超優良案件を自分のチームが取得した場合には、巨額のボーナスをもらえる可能性もある。

バックオフィスならなおさらそうで、自分の所属する企業が稼げていると業界標準よりも良好な収入が得られるし、外資系企業でも負け組企業に入ると、いくら頑張っても年収が増えないことは多い。

そうなると、いかに「良い(稼ぎやすい)ポジションに就けるか」が重要であるかがうかがえる。

4. 「良いポジションに就く」ために求められる能力

①転職能力

外資系金融は狭い世界なので、業界の中における各人の評判というものがある。
その評判が悪いにも関わらず、何回クビになっても不死鳥のように次のポジションを見つけて外資系企業で生存し続ける人達がいる。

そういった人達に共通しているのは、転職能力の高さである。
転職能力の高さとは、良いポジションを数多く発掘することが出来る能力であり、具体的には付き合いのある転職エージェントの数と質が高いことをいう。

まず、転職エージェントの数であるが、長年外資系企業で働く人の場合でも、普段から付き合いのある転職エージェントは2~3人というパターンが多い。
しかし、それだけでは業界内の外資系企業をカバーしきれないので、理想を言うと二桁くらいの転職エージェントと付き合っておきたい。
そうすると、カバーできる企業数が全然違うし、同じ企業であっても最も情報力を持ったエージェントと接することが可能になる。

しかし、多くの転職エージェントとコンスタントに付き合うのは面倒であるので、大抵の人は数人位しか転職エージェントと付き合わない。

ところが、仕事ができないにも関わらず、クビになっても生き残れる人は、転職エージェントとの付き合いはマメであり、幅広い情報網を持っているのだ。

それから、転職エージェントの質というのは、具体的にはエグゼクティブ・サーチ・ファーム系との付き合いがあるかどうかである。

転職エージェントには、一般的な登録型とエグゼクティブ・サーチ・ファーム系とに大別される。多くの外資系企業の人が使用するのは、登録型でマイケルペイジ、ISS、ロバートウォルターズ、ロバートハーフ、モーガンマッキンリー、リクルート、JAC等といったところであろう。

これに対して、後者は、エゴンゼンダー、ラッセルレイノルズ、コーンフェリー、ハイドリック&ストラグルといったファームだ。
このあたりのエージェントと付き合いがあれば、独占的な案件(エクスクルーシブ)を紹介してもらえるので、競合が少なく、最終面接にまで辿り着く可能性がグンと高まるのだ。

しかし、外資系金融でもこのあたりのエグゼクティブ・サーチ・ファームと付き合いがある人はそれ程多くない。

②英語でのプレゼンテーション能力が高い

ここは外資系企業特有の点である。
外資系企業の場合、本社の管理職が採用のキーパーソンであることが少なくない。
その場合には、外国人受けするプレゼンテーション能力が求められ、この巧拙が内定をもらえるかもらえないかの分かれ道になることは少なくない。

仕事ができないにも関わらず、外資系でしぶとく生き残ることができる人達は大抵の場合、英語でのプレゼンテーションが得意な場合が多い。

なお、このプレゼンテーションには、純粋な英語力の高さや、レジュメの書き方も含まれる。

こういった能力は、学校とか、転職エージェントとかが教えてくれないものなので、意識的に磨いていく必要がある。

最後に

外資系企業で成功するためには、確かに、実力の高さというのが必要になるだろう。
しかし、それだけでは不十分であり、先ず良いポジションに就かないと、実力を正当に発揮することは難しい。

そして、良いポジションに就くには、豊富な情報収集と分析能力が必要だ。本当に美味しい話は誰も教えてくれないことが多い。自ら、良い案件を探り出し、内定を得なければならない。

そのためには、面倒ではあるが常日頃から多くの転職エージェントとお付き合いをして、チャンスは確実にものにできるようにプレゼンテーションスキルを磨いておく必要があるのだ。