年収1億円のフリーランスの営業法と意識の持ち方 ~StockSun㈱主催の第2回フリーランスサミットより~

序. 働き方改革、終身雇用廃止の流れの中でフリーランスの注目度が高まる

終身雇用廃止、年金2000万円不足問題等、今後サラリーマンという働き方に関する不安な事実が注目されている。

他方、IT等の技術革新、SNSの普及化、5G時代の到来という流れの中で、個人メディアのプレゼンスが向上を続け、個人がフリーランスとして稼げるチャンスが高まって来ている。ユーチューバーとかブロガー、或いはフリーランスが年収1億円を実現するなど、少し前までは想像もできなかった。

そうした中、2019年6月15日(土)に、年収1億円を稼ぐフリーランスとして注目されている株本祐己氏が率いるStockSun㈱主催の「第2回フリーランスサミット~フリーランスとして“勝ち続ける”ために~」が開催された。

<StockSun㈱主催の第2回フリーランスサミット>
https://stock-sun.com/summit/

当日は悪天候にも関わらず、会場のベルサール高田馬場には約800人もの人々が詰めかけた。これは3時間、登壇者9名の大セミナーであるが、ここでは代表者の株本氏の講演のエッセンスを紹介したい。

1. フリーランスの「営業」を基本から考える

①フリーランスの年収格差を最初に考える

フリーランスという生き方がここ最近、急速に高まって来ているが、まだまだ世間一般でのフリーランスのイメージは高くない。下請けのような単純作業が中心で、年収は数百万円というイメージであろうか?

他方、StockSun㈱の代表者の株本氏のように年収1億円クラスとまでは行かなくとも、StockSunのメンバーでも1500万円とか数千万円程度の年収を実現しているし、他にも、年収2000~3000万円レベルの年収を実現しているフリーランスは少なくない。

フリーランスは、サラリーマンと違って、年収の上限も下限も無いので、年収格差が拡がってしまう。

したがって、稼げるフリーランスになるには、その格差の原因について考えなければならない。

②フリーランスの年収差は、「売上」≒「営業力」の差である

フリーランスの年収は、売上―コスト、である。
そして、フリーランスの特徴は何といっても、「コスト」が低いことである。
一般的な起業・開業と違って、オフィスは不要、社員も不要、設備や仕入れも不要なので借入も不要である。売上から、外注委託費(他のフリーランスへのアウトソース)を引いた後の利益が実質的な年収となる。

したがって、多くの企業では重要な施策であるコストカットという概念が無い。これが何よりもフリーランスの強みなのだ。

そうなると、課題は1つ、如何に「売上」を増やせるかということである。
フリーランスの場合、サラリーマンと違って、誰かが仕事を取って来てくれるわけではない。
売上を増やそうと思えば、自らが営業を仕掛けて行くしかないのだ。

自らが営業を仕掛けて、売上を増やせていく力があるフリーランスと、クラウドソーシング的な低単価の仕事しか取れないフリーランスとでは、年収格差が開いて当然なのだ。

2. 営業のターゲットは広く考えよ

①上流を見据えて仕事を取りに行け!

フリーランスの場合、早く仕事を取りたいという焦りもあるので、自らの得意な狭い分野に絞って営業を掛けるきらいがある。

例えば、リスティング営業出身者は、PPC広告の仕事に絞って案件を取りに行こうとする傾向がある。

しかし、フリーランスが取引をしてもらえるような業者(個人経営の学習塾とか飲食店)であれば、PPC広告だけでは月2~3万円程度にしかならない。

そこで、仕事の範囲について、もう少し上流を見据える必要がある。
広告運用という視線をWEB担当者の仕事全体に切り替えてみると、システム運営、SEO対策、HP管理、SNS・YouTube運用といった風に範囲が大きく拡がる。

そして、その中のPPC広告だけではなく、WEB担当者の仕事、要するにそのクライアントのWEBの仕事全体を取りに行くのだ。

そうすれば、月10~15万円程度の案件になるのである。

②WEB担当者のサービスを丸ごと取りに行くことを目指す

後述するが、WEBの仕事におけるフリーランスの狙いは、個人経営者がWEB担当者を正社員として採用するよりも、フリーランスに外注した方が良いということを認識してもらうことだ。

もちろん、WEBの仕事全体というと、自分が得意ではない分野も含まれているかも知れないが、その際にはアウトソースをすればいいのだ。ここのネットワークの強さが、自らのフリーランスとしての強みにつながるのである。

3. クライアントとのコミュニケーション時に意識すべきこと

①決裁権者をきちんと把握すること

フリーランスの場合は、時間が自分の売上を生み出すので、時間は有効に活用しなければならない。従って、営業を掛ける場合には、誰が決裁権者なのかを把握しておかなければならない。

従って、クライアントの新入社員と意気投合しても、上に通したら断られたらお互いにとって時間の無駄になってしまうので、そういうことが無いよう、決裁権者を意識した営業活動が重要だ。言い換えれば、適切な決裁権者に対して営業を掛けろと言うことである。

②既存業者より「早い、安い、高品質」

これはフリーランスに限らず、他の業種についても当てはまるのであるが、クライアントに新規に事業を導入させるのは大変だ。

従って、既に既存業者と取引をしているクライアントに対して、既存業者よりも自分のサービスの方が早く、安く、高品質であることをアピールして、仕事を獲得することの方が早道である。

③売上アップ/コストダウン

年収1億円フリーランスの株本氏が営業を行う際に留意しているのは、クライアントが自分に発注することによって、そのクライアントの売上アップ或いはコストダウンに繋げることができるかである。

例えば、クライアントから月に20~30万円のしごとを受注した場合には、そのクライアントにはそれを上回る利益が生じなければならない。それは、クライアントの売上が20~30万円以上増えるか、或いは、20~30万円のコストダウンが生じる必要があるということだ。

もっとも、長期的には、コストダウンには限界があるので、理想的には売上アップにつながるサービス提供を意識する方が望ましい。

営業時において、漫然としたセールストークに終始するのではなく、自分への発注がいかにクライアントの売上アップ/コストダウンに繋がるかを意識することが求められる。

④クライアントの契約リスクを低くする

これは、クロージングにおける留意事項であるが、株本氏の経験則上、フリーランスの場合には、クライアントの契約リスクを低くしてあげることが望ましい。

例えば、6か月間とか1年間の長期間、契約書でガチガチに縛るのではなく、とりあえず1か月でお試しというように、初動を早く取る方がいいということである。

とりあえず、早めに受注をし、自らが提供するサービス内容にクライアントに満足してもらって継続していくスタンスの方が売上拡大に繋がり易いということである。

⑤他のクライアントでも結果が出ている

これはマーケティング的な施策であるが、自らの手掛けるサービスが他のクライアントでも成功している旨を認識してもらえることが望ましい。

人は食べログの点数の高い店の方に行きたがるものなので、ブログ・SNS等で仕事の順調さをアピールした方が、クライアントの安心感につながるものである。

⑥チームの魅力を上げる

フリーランスの場合、クライアントに営業を掛ける際には、如何に自分が凄いかについて語りたくなるものであるが、自分よりもチームとしての強みを強調する方が刺さったりすることがある。

日本の場合、カルチャー的に、自己アピールも大事だが謙虚さ・控えめが好まれる風土がある。従って、「私のネットワークに凄いメンバーがいるんですよ」的なアピールの仕方は重要である。

やはり、フリーランスとして大きな売上を実現するには、長期的に強固なネットワークを形成することを意識する必要がある。

⑦何故、今受注できるのか?

如何に自分の提供するサービスが、早く、安く、高品質であるのかを営業の際に強調する必要があるのだが、そうすると、「そんなにいいなら、他からも仕事が殺到するだろう。そうであれば何故、今受注するキャパがあるのか?」と鋭い経営者は感じるらしい。

そうした際に、上手く説明できる必要があり、その点の回答を用意しておきたいところだ。

株本氏の場合には、「今仕事が多いのであるが、自分の場合、ツイッターでフォロワーが多く、一声かけると有能な人材を集められる仕組みが整ってきたので、キャパがあります。」といった風に説明するという。

このあたり、参考にしたいところだ。

⑧何故、受託か?(何故、自分でやらないのか?)

WEB事業の場合、その受託をするよりも、自らがメディアを作って事業を行う方が一般的に儲かるものである。

このため、WEB事業における強みをクライアントに伝えることができたのはいいが、その際にはクライアントから「それでは、何故自らメディアを起ち上げずに、受託を行うのだろう。」という素朴な疑問を持たれる可能性がある。

それに対しても、適切な対応法を準備しておくことが望ましい。例えば、塾ビジネスであれば、「クライアントが塾ビジネスにおいては信頼性・スキルが高いので、自分が単独でやるよりもクライアントと協働した方がいいのです。」という具合だ。

4. 稼げるフリーランスになるために普段から意識しておきたいこと

①ライバルは「会社員」(正社員を採用するよりも外注が良い)

これは、フリーランスの営業活動における根本的な考え方である。
クライアントがフリーランスに発注する理由は、「正社員を雇うよりもフリーランスに外注した方が良い」ということに尽きる。

即ち、現在の人不足の環境下において、個人事業者が優秀な正社員を雇うのは至難の業である。これに対して、フリーランスの場合だと、まず即戦力であることをアピールできる。
そして、ネットワーク力が前提であるが、チームとして対応可能ということも言える。また、雇用の大きなリスクとして、日本の場合、労働法制上失敗しても簡単にクビに出来ない。この点、フリーランスであれば契約を続けないだけなのでリスクが低い。

こういった数々の点をアピールし、正社員を雇うよりもフリーランスに外注した方が有利である点をクライアントに理解してもらうことが狙いなのだ。

要するに、フリーランスにとってのライバルは「会社員」(正社員)なので、常日頃からこの点を意識して、いかに自分が会社員を雇うよりも有利かについて対応できるようになっておきたい。

② Imp×Cvr×単価=売上 ~フリーランスの稼ぎの方程式~

フリーランスの稼ぎ、即ち、売上は、ImpressionとConversion Rateと単価の3つのファクターで決まる。当然であるのだが、この点をバランスよく考えて戦略的に行動しないと、いくら頑張っても稼ぎが増えないスパイラルに陥ってしまう。

例えば、ブログ、SNS等で頑張って露出していても、「コイツはイマイチだな」という印象を持たれてしまっていては、Cvrが上がらないので、売上に繋がらない。

他方、いくらスキルのあるAIエンジニアだったとしても、そもそも露出が無いと注文は出しようもない。

そして、フリーランスの場合は見落としがちなのだが、単価を如何にして引き上げることができるかを意識しないと、売上の大幅アップは難しい。そのためには、時給的な稼働はなるべく避けるようにして、クライアントの業績連動に応じてもらうような提案をしていくことが必要だ。

フリーランスの場合は、サラリーマンと違って基本的に1人でこの点を考えて対応していかなければならないのであるが、これらの要素は足し算ではなく掛け算であるので、全てのファクターにバランスよく目を掛ける必要があるのだ。

そのためには、フリーランスだからと言って一匹狼でいいというのは誤りであり、ネットワークを強化し、たとえ社員が自分一人であったとしても経営者としての視座を高めておくことが求められる。

ここの出発点を理解して行動できるかできないかで、例えスキルは変わらなかったとしても、長期的には大きな売上(年収)の差になってしまうのである。

最後に:第2回フリーランスサミットの詳細はnoteで9800円で購入できます

<StockSun主催:第2回フリーランスサミット>
https://note.mu/kabumoto/n/nb1daa6603747

以上は、第2回フリーランスサミットの内、株本氏のパートのエッセンスのみであるが、こちらには他に8人の登壇者の以下の様なテーマのレクチャーが含まれている。

有料noteにしては9,800円は若干高めと感じる人もいるかも知れないが、これは合計3時間の動画であり、StockSun関係の様々な成功者の生の事例が本人から紹介されているのが特徴である。(登壇者1人あたりの持ち時間は20~30分程度)

効果的な使い方としては、気に入った或いは参考になると思われる講演者のパートを2~3回繰り返し聞くことである。そうすると、他に人にも教えてあげられるレベルまで理解することができる。一人当たりの時間は20~30分なので、繰り返して聞けば楽にマスターできる。これが動画コンテンツの便利なところである。

グロービスの創業者の堀義人さん曰く、「自分への投資が最も投資効率の高い投資」であるので、真剣にフリーランスを目指している人にはおススメである。

また、フリーランスだけではなく、将来稼ぎたいという就活生や若手サラリーマンも将来のキャリアを考える上で参考になるであろう。

<他の登壇者の講演テーマ>

・最大手WEBマーケ会社が見ていたWEB戦略の未来
・年収チャンネル流YouTubeマーケティングとマネタイズ
・フリーランスNG行動論
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