NewsPicksの「時給が高い会社」ランキングと、外資系金融機関の時給について

NewsPicksが「年収が高い企業ランキング」に続き、今回は切り口を変えて、「時給が高い会社」ランキングを公表して話題になっているようだ。
https://newspicks.com/news/4033384/?ref=index

この記事は、2019年7月10日現在、NewsPicksのプレミアムサービスに登録していないと読むことはできない記事ではあるが、10日間は無料で閲覧することもできるそうなので、興味がある方は登録してみてはいかがだろうか?

1. 外資系金融機関では「時給」における「時間」の意味を考える必要がある

NewsPicksの「時給が高い会社」ランキングは、面白いとか、斬新な切り口ということで概ね好評のようだ。

単純に給料だけの高さを競うランキングはありふれているが、それに、ゆとり度合い的な相反する要素を絡めたことが興味を惹くのであろう。

時給というのは、給料を時間で割ったものである。
ところが、外資系金融機関の場合は、この「時間」というのが曲者なのである。

というのは、狭義の「時間」というのは通常はオフィスでの拘束時間を意味するのだろう。
しかし、オフィスには拘束されていないものの、事実上仕事をしていると考えられる場合がある。

外資系企業の場合は、本社との時差があるため、日本時間の夜、本社と電話会議をすることが多い。日本とニューヨークとでは、夏時間で13時間、冬時間で14時間も時差があるので、冬だと日本時間の夜10時スタート(ニューヨークの朝8時スタート)という電話会議はザラにある。

そのような場合、仮にその電話会議がそれほど重たい内容で無かったとしても、飲み屋やレストランから電話会議に入るわけには行かないので、夜7時にオフィスを出たとしても電話会議が終わる夜11時位まではオフィスにいなくても事実上拘束されてしまうのである。

役職が上になればなるほど、この種の定例の電話会議に出席する頻度が高くなるので、これは単純なオフィスでの拘束時間とは異なる拘束を受けることになってしまう。

また、外資系金融機関の場合には、日本企業よりも成果主義的な要素が強いので、オフィスを離れても、その準備やパフォーマンスアップのために自宅等のオフィス外での労働が必要になるケースも少なくない。

例えば、外銀のようなセルサイドと比べると、運用会社(バイサイド)の場合はオフィスを出る時間は早いのであるが、PM(ポートフォリオ・マネージャー)は運用成績(パフォーマンス)という強いプレッシャーを受けるので、調べ物をしたり、リサーチ目的の用事で人と会ったりするなど、実働時間という意味では短くないケースも多い。

以上のように、外資系金融機関の場合には、年収を単純にオフィスに拘束されている時間で割って算出される時給を比べたところで余り意味は無いかも知れない。

2. 単純に拘束時間だけで見た外資系金融機関と職種

とはいえ、オフィスにいなければならない時間と、オフィス外で自主的な仕事をしている時間とを比べると、自由度という観点から、オフィスで拘束される時間は短いに越したことはない。

そこで、オフィスへの拘束時間という観点から見ると、以下の傾向があるのではないだろうか。

①IBDとセールス・トレーディング

日本の学生に聞いても、米国の学生に聞いても、外銀というとIBDが人気だという。
これは、外銀内部の人間からすると、理解し難いことである。

IBDは何といってもオフィスへの拘束時間が長い。
ピッチという名の打率の低い提言外交をするので、下準備が大変だったり、きめ細やかな顧客対応が求められるからか、VPになるまでの間は、夜中の2時、3時までの労働は珍しくない。

他方、セールスとかトレーディングの場合は、結果が全てという要素が強いのかも知れないが、IBD程の拘束時間はない。

もちろん、セールスやトレーディングには別の大変さがあるのだが、拘束時間・労働時間の観点からはIBDというのはそれほど羨ましがられる職種ではない。

②バックオフィス内における時給格差

外資系金融機関の場合には、収益部門であるフロントオフィスと、そうではないバックオフィスとの間の給与格差は大きい。それでは、拘束時間についてはどうかというと、それは部署や職種によって異なる。

バックオフィスの中でも外部的なアウトプットが必要とされる、法務部門(リーガル)、業務部門(オペレーション)、ファイナンス(財務・経理)、ITは人によっては拘束時間が長い人もいる。

他方、人事(HR)、コンプライアンス、内部監査、総務といった部門は、人や時期にもよるが、それほど拘束時間が長くない人もいる。

③セルサイド(外銀)とバイサイド(外資系運用会社)

これは業界の間においては、良く知られた話であるが、セルサイドとも言われる外銀と、バイサイドと呼ばれる運用会社とを比較すると、一般にバイサイドの方が遥かに労働時間は短いことが多い。

バイサイドの場合、会社レベルでは運用成績(パフォーマンス)が全てなので、遅くまでいてもパフォーマンスに関係しないからなのかも知れないが、一般的に帰宅時間は早い。
夕方6時位から人がいなくなり始め、夜7時位になると大半が帰っているのが実情である。

もっとも、前述の通り、その中でもPMはプレッシャーが強い職種であるが…

もちろん、給与水準は全般的にセルサイドの方が高いが、リストラリスク等は相対的にバイサイドの方が低いし、年を取っても働きやすいので、どちらがいいという訳ではない。

少なくともオフィスでの拘束時間に拘るのなら、バイサイドを選んだ方がいいだろう。

3. そもそも時給を気にするような人は外資系金融に向いていない?

そもそも外資系金融機関の場合、国内系金融機関の様に終身雇用が保証されている訳でも無いし、途中でリストラされる可能性もある。従って、楽をしたいから外資系金融という発想はあまり適合せず、稼げるのであれば多少の苦労は厭わないという人じゃないと勤まりにくい。

従って、時給が気になるのであれば、最初から国内系金融機関とか総合商社を選択した方がいいのではないだろうか。

  • ブックマーク