月収100万円も?外資系金融機関の役職員の副業について

1. 少しずつ注目され始めた副業?

働き方改革の一環というのか、終身雇用廃止とセットなのか、それとも、最近話題の金融庁の貯金2000万円とも関連するのかよくわからないが、サラリーマンの副業が注目され始めている。

外資系金融機関の場合、本業の給与水準が非常に高いこともあり、副業で稼ぐことができれば鬼に金棒な気もする反面、多忙・激務で知られている外資系金融機関のサラリーマンが副業をする余裕があるのか、そもそも副業というのが認められているのか気になるところである。

2. 外資系金融機関の一般的な副業についての社内的なルール

そもそも、外資系金融機関の者は副業が許されるのか?
これは、結論的には本業と無関係(要するに金融以外)の副業であれば、人事/コンプライアンス部門から承認を取れば可能である。

外資系に限らず金融機関の副業は、金商法とか投信法といった業法で規制されているのではなく、就業規則を始めとする社内規則に従う仕組みとなっている。
外資系金融機関の場合には、本社ルール(グローバル・ルール)も適用される。

結局は、多くの日本の大企業と似ていて、本業関連はダメだがそれ以外は会社の許可を取ればOKということだ。

もう少し具体的に見ると、以下の様になっている会社が多いのではないだろうか。

(1)非営利団体(慈善団体、PTA、マンションの管理組合等)の理事等に就任
(2)学校、マスコミ等の講演や出版
(3)本業(金融業)と無関係の親族が経営する会社の名目的な役員に就任
(4)自らの資産管理会社の役員に就任

(1)は大抵認められる。

(2)はリサーチ部門のアナリストとかバイサイドのPM等の場合に見られるが、承認される。もっとも、謝礼を受け取ると税金とか面倒なので受け取らない人も多い。

(3)は「名目的な」というのがポイントで、当然だが親族の会社の業務運営に関わり、物理的時間的に拘束されると認められないだろう。海外なども含めて、かなりの大企業の御曹司が修行のために外銀にコネで就職するというケースはあるのだが、実家を継ぐ時には兼業ではなく退職するのだろう。

(4)が最もポピュラーな、外資系金融機関の副業である。具体的には、不動産賃貸経営業である。但し、資産管理会社を設立せずに、単に従業員名義で不動産投資をするだけであれば、副業の許可すら不要であろう。
以下、この外資系金融機関の社員の不動産賃貸経営について見ていく。

3. 外資系金融機関の役職員の不動産投資について

①外資系金融機関の役職員は不動産が好き?

外資系金融機関の役職員は、不動産投資が好きな者が実に多い。
やはり相場や市況といった本業に関連するものが好きなのだろうか。或いは、有価証券投資は業界/社内ルールで厳しく規制されているので、規制が無く自由度の高い不動産投資に注力するのだろうか。

また、外資系金融機関の中でも外銀と言われる投資銀行は定年45歳とも言われ、成功しても失敗しても40代半ばには退職していく雰囲気なので、第2の人生の準備という側面があるのかも知れない。

とにかく、外資系金融機関で自宅以外に不動産を所有している人は結構多い。
(自宅は賃貸だったりすることも少なくないが…)

②外資系金融機関の不動産投資の規模感

外銀でも20代のアナリスト・アソシエイトあたりだと年収も時間的にも余裕が十分には無いが、VPになると年収はバックオフィスでも2000万円以上、フロントオフィスだと3000万円以上になるから、それまでの貯金も含めると、2000~3000万円位の原資は作れる。

そして、30代半ばまでVPとかSVPで生き残ると、5000万円位の原資は十分にできる。
また、彼らは金融のプロであるので、レバレッジ(要するに銀行借入。投資用不動産ローン)も活用する。

それでは、副業としての不動産投資でどれくらい稼げるのか、シミュレーションをしてみよう。
わかりやすく、以下の様なケースを想定する。

<1億円の不動産投資と賃料収入>
・自己資本5000万円
・銀行借入(不動産ローン)5000万円、金利2%
・物件の利回り(グロス賃料利回り):10%
・経費率(管理費、租税公課):物件の利回りの2割
・減価償却費:不動産価額の1%

入って来る年間の賃料は、1億円×10%=1000万円
そこから、維持管理費とか固都税が掛かるので、経費率を賃料の2割とすると、
経費控除後の賃料は、1000万円-200万円=800万円。

そして、減価償却費が不動産価格の1%と想定したので100万円
不動産ローンの金利を2%と想定したので、借入金5000万円×2%=100万円

これらの減価償却費と金利を経費控除後の賃料から引くと、不動産投資によるネット賃料は、800万円-100万円-100万円=600万円となる。

一月当たりにすると、600万円÷12か月=50万円。
最低限の生活費位にはなるのではないだろうか?

もちろん、これには税金がかかるが、減価償却費と借入金利は費用計上できる。
このあたりは外銀マンの抜け目の無いところである。高収入で税率が高い外銀マンは税金に敏感であるので、不動産投資の様に節税的要素が使える投資はピンと来るのだ。

③外資系金融で最後まで勤め上げることができると余裕?

以上は、30代半ば位のVP/SVPクラスを想定し、不動産投資の原資を5000万円と想定した。

そして、運良く外銀の実質的な定年である45歳位まで勤め上げることができると、フロント職の場合だと、退職金も含め、手元に2~3億はできる。

仮に先ほどの事例と同じ要領で、2億円を原資に借入金2億円で、不動産投資をしたとすると、原資が5000万円から2億円と4倍になるので、不動産からのネット収入も4倍の200万円になる。これだけあれば引退後も余裕であろう。

もっとも、これには留意点がいくつある。
上記の事例ではわかりやすさの観点から、不動産のグロス賃料利回りを切り良く10%と置いたが、これは日本ではそれほど低いハードルではない。利回りが高い物件はリスクが高く、首都圏でそこそこの立地であると、中古物件でも10%の優良案件がゴロゴロあるわけではない。

このあたりのイメージについては、例えば、野村不動産の投資用物件サイトを見れば良いだろう。

<ノムコムPro>
https://www.nomu.com/pro/?gclid=Cj0KCQjw9pDpBRCkARIsAOzRzit-wHPj5Z3DTvhq78aG66nGcHAlJJjNq7XhYQlR_ZersuMhw3McY5QaAlTgEALw_wcB&gclsrc=aw.ds

また、借入金も金額が大きくなるとできれば控えめにしたいので、借入金比率(レバレッジ)を下げた方が良い場合もある。リタイアして、以前のような高収入を稼げなくなると、なおさらリスクは控えめにしたい。その代わり、レバレッジを下げると当然その分利回りは低下することになる。

最高の課題というか留意点は、そもそも45歳位までフロント部門で働き続けることができるかということであるが、もしそれが達成出来たら、億単位の不動産賃貸経営をやれば十分リタイアできるということがうかがえるだろう。

そのための準備に向けて、30代くらいからコツコツと不動産賃貸経営の規模を大きくしていくのである。

4. それ以外の副業について

不動産賃貸経営以外の副業というのはあまり聞いたことが無い。
そもそも、20代のアソシエイトでも額面月収は100万円位あるので、飲食店とか塾の講師、或いは、クラウドソーシングの単純作業をやっていても割が合わないし、そんな時間的な余裕もない。

また、前述した通り、株や債券などへの投資は制限されているので、こちらで稼ぐことは難しい。

なお、FXであればルール上投資も可能だが、外資系金融の投資のプロ達はFXが儲からないこと位は知っているので、基本これはやらない。

まとめ

外資系金融の従業員は、飲食店とかクラウドソーシング的な副業は、時間的にも金額的にも割が合わないのでやらない。また、やりたくても格好悪くてとても人事とかに申請できないだろう。

また、有価証券投資は業界/社内ルールが厳しく、株式や債券などの投資で儲けることは難しい。

そこで、圧倒的に人気があるのは不動産投資、不動産賃貸経営である。彼らは、金融のプロなので巧みに銀行借入(新生銀行とか東京スター銀行とかから借入れて)も活用して、不動産から賃料収入を得る。コツコツと投資額を拡大していくと、リタイアする40代半ばにはかなりの収入が得られるようになる。

もっとも、そのためには生存競争の厳しい外資系金融機関でできるだけ長く生き残ることが前提となっているのだが。