1. 年収1000万円になる人は多いが、年収2000万円はかなり少ない
ある程度の成功の基準の1つとして、年収1000万円というのがある。
サラリーマンにとっては、憧れの数字であり、実際に年収1000万円以上ある人の比率は低く、給与所得者における比率は4~5%である。
もっとも、この比率は20代の新入社員・若手社員から60歳超のセミリタイアをしている人までを含めた数値であり、また、場所的にも東京から地方まで全て含めた統計である。
従って、首都圏エリアで年齢が40~50代に対象を絞り込むと、この比率はもっともっと高くなるであろう。
それなりの大学を出て、大企業に入社すればほとんどの日本企業は年功序列型賃金なので、多くの人が50歳位の時点で年収1000万円に到達できるのではないだろうか。
他方、年収2000万円になると、一気にハードルが高くなる。
全般的な給与所得者における年収2000万円以上の比率は、0.4~0.5%位と1%を切るし、トップクラスの優良企業に入社できても年収2000万円には自動的には到達しない。
総合商社、大手金融機関、マスコミ等でも、年収1600~1800万円にはほとんどの社員が到達できても、年収2000万円となると部長クラスまで出世できなかったりするので、年収2000万円の値打ちは高い。
2. 年収1000万円と年収2000万円とでは何が違うか?
普通に大企業に入るといずれ達成できる年収1000万円と、なかなか達成できない年収2000万円の違いは何か?頑張って年収2000万円を目指す必要はあるのだろうか?
①「中流」と「上流」の違い?
その違いを一言で言うなら、「中流」と「上流」との違いであろう。
年収1000万円代だと「中の上」というカテゴリーには分類されるのだろうが、「上流」と言える暮らしぶりには程遠い(特に不動産価格/賃料が高騰している東京の場合)。
他方、年収2000万円を超えてくると、「上の下」の方かも知れないが、「上流」の世界に足を踏み入れていくことを感じることができるであろう。
②「確定申告」と「年末調整」との違いは大きい
サラリーマンの場合も、年収2000万円を超えると副業・兼業の有無を問わず、確定申告が必要となる。他方、年収が1999万円でも年収2000万円未満であれば、年末調整で完了する。
わずかの違いでも、年収2000万円に到達できれば、それは国税庁から良くも悪くも「高収入」で要マークの人物として認定されるわけである。一般的には、役員クラスを想定しているのであろう。
確定申告をするかしないかで大きく異なるのが、税金に対する意識の違いだ。
年末調整だけで完了のサラリーマンは、自分の年収(額面)から手取りの額に至るプロセスがお判りだろうか?
これは、確定申告をする必要が無いと、税金は面倒くさいので知らないまま終わってしまう。だからこそ、高収入のサラリーマンは税金的に搾取をされているという見方がある。
ところが、サラリーマンでも毎年確定申告をすると、税の仕組みがわかるし、毎年確定申告ができるような地位にいたいというモチベーションも湧いて来るのだ。
③年収2000万円を越えると、今までとは違う贅沢が見えてくる?
年収1800万円と年収2200万円とでは、そこまで違うのかという見方もあるだろうが、やはり年収2000万円を超えてくると、年収1000万円台後半とは微妙に生活が違ってくると思われる。
定性的で、感覚的かも知れないが、年収2000万円を越えると、それまでとは違う贅沢が見えてくるのだ。
例えば、不動産。年収1000万円台であれば、不動産というと自宅のことしか思い当たらないだろうが、年収2000万円を越えると、2つ目の不動産が気になるようになるのだ。
別荘を持ちたいとか、或いは、投資用収益不動産に投資をしてみたいという余裕ができてくるのだ。もちろん、東京は特にここ数年で不動産価格が高騰しており、1軒目の不動産を持つので大変かも知れないが、年収2000万円台になって別荘とかワンルームマンションを購入した人は結構いるはずだ。
また、海外旅行の場合、年収2000万円を越えると飛行機はビジネスクラスを選択できる余裕がでてくる。年収1000万円台だと勿体ないと思う消費も、年収2000万円台になると余裕が出てくるのである。
それから、子供の教育費でも違いが出てくる。例えば、極めて難化している医学部であるが、年収2000万円を越えると、私立の医学部も視野に入ってくる。年収1000万円台だと子供が医学部に行きたいという場合、国公立の医学部というのが家庭内での暗黙の了解かも知れないが、年収2000万円を越えると、私立の医学部も可能になってくるという点で大きな違いがある。
3. 年収2000万円以上のサラリーマンになる方法
①普通の大手企業であればとにかく出世すること(役員クラス)
上場企業の場合であれば、一般社員であれば50歳位で年収1000万円に到達するのが標準的でも、取締役まで昇格すると一気に年収が上がる場合も多い。
従って、大企業のサラリーマンと言うことを前提とすると、とにかく頑張って取締役まで出世をすれば年収2000万円突破の可能性はある。
②就職・転職時に、特に高給が可能な業種・職種を選択する
上記①はタテ方向に頑張るという方法であるが、こちらはヨコ方向の選択を頑張るという切り口である。要するに、特に高給が可能な業種・職種を就活の段階で選択するとか、転職によって業界のヨコ移動を図るということだ。
まず、外資系金融機関が思い当たるだろう。外銀と呼ばれる投資銀行の場合だと、フロント職の場合だと、早ければ20代のアソシエイトのうちに、遅くとも30代でVPになれば余裕で年収2000万円に到達できる。外資系の運用会社(バイサイド)の場合でも、水準は外銀に劣るものの、30代VPであれば十分年収2000万円に到達できる。
外コンの場合も高給で知られているが、アクセンチュアとかPwCといった総合系ファームの場合だと、年収2000万円というと最上位のMDクラスにならないと難しい。他方、マッキンゼー、BCG、ベイン、ATカーニーといった戦略系ファームだと、30代のマネージャークラスでギリギリ年収2000万円、プリンシパルだと年収2500~3000万円に到達が可能だ。
同じ外資系といっても、非金融や非コンサルの場合は、かなり出世しないと難しい。
GAFA、マイクロソフト、シスコシステムズあたりだと30代のDirectorクラスであれば年収2000万円は十分可能であろうが、製薬とか消費財メーカーの場合だと部長クラスでも年収1800万円止まりであったりもする。
国内系企業の場合、部長クラスで年収2000万円に到達できる業種・企業は限られている。野村證券、東京海上日動、日本生命、電通、キー局、総合商社であれば可能だろうが、他だと優良企業でもなかなか難しい。
国内企業で年収2000万円に一番近いのはキーエンスではなかろうか。ここだと、20代でも可能な場合もあるだろうし、30代だと余裕で年収2000万円は可能である。年収は業務内容の割には、まだまだ入社は難しくないキーエンスなので、もう少し注目されてもいいかも知れない。
それから、外資、国内系を問わず、サラリーマンでも歩合系の営業職の場合には、軽く年収2000万円を突破できるだろう。
例えば、プルデンシャル生命等の場合、歩合系セールス職の最高年収は3億円クラスである。また、日本M&Aセンターの場合も、トップクラスの営業マンは年収4000~5000万円クラスである。成果報酬が青天井の営業職の場合であれば業種や年齢に余り関係なく、年収2000万円が可能となる。
③副業でまとまった金額を稼ぐことができる
これは今までには無かったやり方であるが、今後のエリートサラリーマンにとっては、副業で稼げるか否かによって生涯賃金ベースでは大きな差ができる可能性がある。日本のサラリーマンの場合、終身雇用ではあるものの、副業を禁止するケースが大半だったと思われる。しかし、経団連が終身雇用は将来もう維持することは難しいという旨の宣言をしたためか、副業の緩和というのが1つの方向性になってきている。要するに、会社は最後まで従業員の面倒を見れなくなるかも知れないので、その代わり副業を解禁するので、いざという場合には自力で収入不足を補ってくれということだ。
2021年時点で、ソフトバンク、LINE、サイバーエージェントといったIT系企業だけでなく、サントリー、パナソニック、キャノン、花王、みずほ銀行、丸紅等の伝統的な日本企業まで、副業を解禁する企業は増えてきている。
もっとも、制度として副業は解禁されたとしても、実際副業でまとまった金額を稼げている社員はほとんどいないだろう。しかし、ライティング、動画編集、家庭教師の様な時間や作業を売るような仕事を週末にやるだけでも、数万円程度稼ぐことは難しくない。その中で、得意なものを見つけると月に10万円も不可能ではないだろう。さらに、ブログ、YouTube、インスタグラムといったSNS系を頑張ると月に数十万という可能性も生じる。
そうなると、年収で見ると数百万円位違ってくるので、給料だけでは2000万円に到達しなくても、副業との合わせ技で2000万到達ということも可能となる。
副業で年収数百万円稼げるようになると、リタイア後も困らないし、独立・起業という途も拓ける。今後、エリートサラリーマンには是非挑戦してもらいたい分野である。
4. サラリーマンで年収2000万円を突破できる人と、年収1000万円台で終わる人との違いについて
ようやく本題であるが、年収2000万円に到達するには上記3のどれかのパターンを狙う必要がある。そのためには、以下の様な要件を充足できるかどうかが、年収1000万円台と年収2000万円超の分かれ目となるのであろう。
①就活時点で頑張って、役員まで出世できなくても年収2000万円を突破できる業界・職種に就くことができること
転職の場合だと不確実性があるので、外銀・外コンなども出来れば新卒時点で入っておきたい。また、総合商社、マスコミ、キーエンスなどの場合には中途採用はほとんど採らないので、なおさら就活時点で入っておく必要がある。
今だと、こういったクラスの企業に就職するには英語や固有の対策をするために、大学入学後の早い段階から就活対策を始めなければならない。
②グローバル人材を就活・転職で目指す
上記3の年収2000万円超が可能な業種・職種を見ると、外資系企業というのが多い。外資系の場合は、タイトル1ランクにおける差が大きいし、クビのリスクがある反面、稼いだ人には相応の報酬をお金で報いようとするカルチャーがある。
グローバル人材というのは英語力というのは当然として、外国人、特に外国人のボスに対する適切な対応が求められるので、グローバル・コミュニケーション能力とかグローバル・リーダーシップが高い次元で求められることに留意したい。
外資系企業の場合、最初は国内系企業でも同業態であれば中途採用で入社できる可能性が高いので、海外勤務とか留学の機会があれば積極的に自ら手を上げておきたい。
なお、少子高齢化によって国内市場の縮小が予測される。そうなると、企業は海外で稼ぐか、新たな事業で稼ぐ他ない。このため、海外での活躍が期待されるグローバル人材の人気は上昇中であり、就活においても、帰国子女や留学経験者は優遇される。社会人になってから、ゼロから英語を覚えるのは大変なので、学生時代から英語力は磨いておきたい。
③営業力があること:歩合制の企業への転職
外資系企業とかマスコミ、総合商社に入れなくても、強力な営業力があれば、フルコミッション系の営業職であれば年収2000万円は十分に可能である。
CXOと呼ばれる専門職、例えば、CFO、CHRO、CCO、CTO等いろいろあるが、収益に直結する営業が一番稼げる可能性が高い。
このため、語学力とか勉強には自信が無くても、営業ができれば明るい未来が待っている。
もっとも、営業ができてもそれを活かせて相応の報酬制度がある会社を選択しないとダメなので、情報収集・分析能力は当然必要となる。
④商才・ビジネスセンスがあること
まだまだ少ないケースなので、上記3のカテゴリーには含めなかったが、ベンチャー企業の幹部候補生としてストック・オプションをもらうという選択肢もある。その場合には、どういった業種・企業・経営者が有望であるかを感覚的・本能的にかぎ分ける嗅覚が求められる。この能力は練習して磨かれるものかどうかはわからないが、周りの考え方に流されずに自分自身の頭で将来を考えることができるタイプのビジネスマンは、今後伸びる可能性があるだろう。
このスキルがあると、ストック・オプション狙いの転職ではなく、自ら起業をして経営者になるという選択肢もあるが、そうなるとサラリーマンというカテゴリーから外れてしまうので、ここではそれ以上言及しない。
⑤上から気に入られること
これは上記3の①の国内系企業で出世するパターンだと不可欠な能力であろうが、それ以外の場合でもサラリーマンの場合は必要になる能力だ。
どうすれば上から気に入られるのかというのは、いろいろと議論のあるところであろうが、KYだったり人望がなかったりするような場合はダメだろう。
ある意味、この能力が高い人はサラリーマンに向いているのだろう。
5. 今後の方向性
現在は、年収2000万円を突破できる業種・職種として列挙しなかったが、今後は高い確率で「ITネット業界」「プログラマー」の存在感が急速に高まるはずだ。
今でもAI分野を中心にプログラマー不足が顕著であると言われているが、年収1000万円位の求人が多く、米国のように年収2000~3000万円クラスがザラというような状況には至っていない。
しかし、AI、ITインターネット関連というのは少子高齢化の日本においてもまだまだ伸びなければならない業種であり、その中核を担うプログラマーのステイタスが上がらなければならない。
既に、稼ぐことを重視しているプログラマーの中には、サラリーマンではなくフリーランスという形で数千万円稼いでいる者もちらほらいるようである。
今後は稼げるプログラマーが増えるような産業界になるか気になるところである。
また、同時に、優秀なプログラマーだけではビジネスが成功するとは限らない。やはり、創造性と実行力を備えた起業家タイプの人材も不可欠だ。
ところが、このタイプの人材は圧倒的に不足しているし、センスのある人たちはサラリーマンにならずに自ら起業したり独立したりできるのであろう。
しかし、今後はサラリーマンの中にも起業家的センスがある人材が求められるので、将来的にはそのような人材は高給を実現できるのではないだろうか?