1. 50歳を過ぎれば第二の人生を考えなければならない銀行員
銀行員というのはまだまだ安定している職業であり、将来はAIに仕事を奪われるとか、店舗と従業員の余剰感が強いとかネガティブなことが報道されているものの、今40歳以上のものは逃げ切れることができそうである。
もっとも、意外に知らない人がいるようだが、銀行員は定年60歳まで終身雇用が保証されているわけではない。50歳を過ぎると片道切符の出向対象者となってくる。出向すれば最初の数年は現状の年収保証をしてもらえるが、そこから先は出向先の給与水準に従うこととなり、年収が大幅にダウンしてしまう。
大手信託銀行の場合も、55歳になると役職定年で年収が半分になってしまう。
そこから先は低い賃金で65歳まで銀行に残って細々と生活するか、転職すると言った選択をしなければならない。
保険会社、証券会社、運用会社の場合はもう少し優しい場合が多く、57歳が役職定年で、年収カットは2~3割といったところが多い。
いずれにせよ、銀行員は50歳を過ぎれば第二の人生について真剣に考え始めなければならないし、銀行時代が第二の人生に向けた説明会とかをやってくれたりする。
2. しかし、銀行員を始め大手金融機関のサラリーマンは経済的に恵まれている
銀行員や大手金融機関の者は、役職定年はあるものの、退職金として十分な金額が支払われる。加えて、確定拠出年金だったり企業年金だったり、年金についても恵まれている。
従って、第二の人生を迎えるにあたって、金銭的・経済的な不安はあまりない。
これは非常に恵まれていることであり、第二の人生にあたっては、給与・収入的な条件に振り回されずに自分が好きなことを選択することができる自由度がある。
3. 副業・兼業が強調される時代であるが、銀行員のスキルは特にない…
第二の人生は、自分が好きなことをやれば良いというものの、固有のスキルをもった銀行員は少ない。英語が出来れば、外資系の保険会社とか運用会社の場合だと50歳以上でポジションがある場合もあるが、多くの場合、英語が出来ないのでそちらの方向は厳しい。
財務や経理的な経験を基に事業会社でポジションを探しても、単にマネージャー経験があるだけでは良いポジションは見つからない。
ありがちなのは、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士といった文系の資格取得に走るパターンであるが、この手の資格は取得するのに費用が百万単位でかかるし、時間も数年かかる。また、資格取得できたとしても市場は既に飽和状態であり、すぐに稼ぐことは容易ではない。
4. しかし、多額の金額を稼がなければならない訳ではない…
しかし、救いなのは前述の通り、銀行員には手厚い退職金と年金があるので、あくせくと金銭を稼ぐことにこだわらなくても良い。60歳まで銀行員としての年収が保証されないものの55歳までは大丈夫だし、それを過ぎても年収は減るが60歳まではそれなりの給与はもらえるはずだ。
そうなると、長期的に60歳を過ぎても続けられる副業・兼業的な仕事を見つければいいのである。
5. 副業としてのプログラミングという手もある
そうすると、意外かも知れないが、副業・兼業として月10万円程度であれば、プログラミングによって稼ぐという手もある。
今更、文系の者がゼロからプログラミングなどできるのかということであるが、それは可能である。
もちろん、プログラミング・スクールを利用しなければならないが、テックキャンプのようなところであれば、在宅中心に学習できるし、費用も年間20~30万円位のレベルであるので税理士、社会保険労務士といった国家資格取得と比べると遥かに安い。
また、プログラミングのどこがいいかというと、本業としてエンジニア転職を目指さなくても、副業レベルでスキルを習得するとネットベンチャー関係への世界が拡がるからである。
銀行員の場合、フィンテックという切り口があるので、人事・経理・コンプライアンス的な素養があると、プログラミングを媒介に、顧問としてベンチャー企業への転身という可能性が生じるのだ。
高学歴、一流金融機関勤務という肩書があっても、60歳を過ぎるとホワイトカラーの求人はまずない。あるのはスーパー、外食、ガードマン、建設といった現場関係の仕事ばかりである。この点については、ベストセラーとなった楠木新氏の「定年後」においても記載されている。
元銀行員はそういった現場関係の仕事は基本的にやりたがらないし、かといって、ホワイトカラーの仕事は無いので自分の居場所が無くなることが最大の問題だという。
そうであるならば、プログラミングを媒介として自分の居場所ができると、また違った新しい未来が拓けてくる。
もちろん、ネットとかプログラミングといった世界については好き好きがあるので、向き不向きはあるだろう。50歳を過ぎて、フィンテックとかネットベンチャーといった新しい世界に関心がある銀行員は、この種のプログラミング・スクールのお試し講座とかをやってみればどうだろうか?
55歳を過ぎると、良くも悪くも金融機関の者は閑職に追いやられるので、プログラミングを覚える時間や余力は十分にあるだろう。