外資系、コンサル、商社は必須?就活における留学の効用について

1. 神戸大学⇒伊藤忠、慶應大学⇒三菱商事、の共通点

OB訪問の関係で、たまたま、神戸大学から伊藤忠(現社会人)、慶應大学から三菱商事に内定した人達と接する機会があった。

私は金融系のキャリアなであり、商社で働いたことは無かったので、この2人に商社への内定を取るポイントや面接での対応についていろいろと聞いてみた。

話してみると、中途採用等を含め面接の経験が多い人はわかるかも知れないが、2人とも応対が的確で、いかにも他の学生とは違って優秀であるということが直感的に感じられた。

そのあたり、いろいろと聞いてみると、2人の共通点は在学中の「留学経験」であることがわかった。(なお、2人とも帰国子女ではない。)

既に、大学は同じであっても、体育会、帰国子女、留学経験者は別格であるという認識は浸透しているが、改めて留学経験者の強みについて感じることができた。

2. 留学することによる就活における効用

①就活に十分な英語力(TOEICスコア含む)の習得

先ず、留学によって得られるスキルは英語力である。
これは留学の最低限の目的であるが、就活において必要とされる英語力を着実にマスターすることができる。真面目に準備をして留学すれば、TOEIC860点は楽勝で、900以上も可能であろう。これで、外資系や商社において英語力を理由に書面で落とされることは無いだろう。

②グローバル・リーダーシップ経験の習得

これは、国内の語学学校に通うことによっては得ることができない経験である。
留学ならではの効用と言えるだろう。

外国人の学生とは、いろいろな意味で環境や共通認識が日本人とは異なるので、簡単な共同作業をやるにしても、いろいろなハードルが生じる。それらを乗り越えた体験は自信にもなるし、就活で求められるリーダーシップ経験についても良いネタができる。

③ロジカル・シンキング(クリティカル・シンキング)能力が高められること

これはコンサルで求められるような大げさな論理的思考能力という程のものではないが、社会人として長期的に使える重要なスキルである。

海外留学においてロジカル・シンキングの講義があるわけではないのだが、何故、これが身に付くかというと、英語力が不十分な中で外国人と異文化コミュニケーションを図ろうとすると、否が応でもロジカル・シンキング的な話し方が求められる。

結論⇒理由、とコンパクトに話さないと、なかなか理解してもらえないことは少なくない。限られた語彙を使って、必要最小限で自分の意図を理解してもらおうとすると、この結論⇒理由というパターンを駆使せざるを得ないのである。

自分が話を聞く場合もそうで、相手の意図を確認しようとすると、コンパクトに結論⇒理由を意識した聞き方になってくる。

商社に内定した2人の話し方は、まさにこれであり、話に無駄が無い。そして、相手の質問に対してコンパクトに的確に呼応している。

これは、留学における副次的な効果であるが、かなりいろいろな場面で発揮できる有用なスキルである。

3. 今後の就活においては、体育会よりも留学?

就活の際に、別格扱いしてもらえるスペックとして、体育会と留学経験がある。
しかし、近年では、体育会の就活における神通力が弱まり、留学経験の効果が高まっているのではないだろうか?

確かに、金融機関のリテール部門では、未だに体育会的なバックグラウンドは求められるものの、外資、商社、金融専門職となると、体育会経験が直接役に立つわけではない。
体育会の場合、時間的な拘束が長く、英語力やビジネスセンスを磨く時間が無く、そうなると就活で苦戦するケースも少なくない様である。(帰国子女で体育会であれば別)

もちろん、体育会は大学によって異なるが、ハードであり、単に就活目的で体育会に入部する学生はほとんどいないであろう。
しかし、就職に重点を置きたいのであれば、体育会を取るか、留学を取るか考えどころであろう。

4. どうやって留学を実現するか?

留学が就活に有効なことについては、既に学生の間でもあまり異論は無いかも知れない。
しかし、問題はどうやって留学を実現するかだ。
留学にはお金がかかるし、期間によっては4年で大学を卒業できない場合もある。
そうなってくると、親にも相談しなければならない。

理想を言うと、フォーマルな大学公認の交換留学が望ましいが、そのあたりは結構な狭き門である。しかし、別に留学にはいろいろあるので、短期のものでも構わない。
行くと行かないとでは大違いである。

夏休みとかを利用して1か月位で行ける語学留学であれば、50万円位からで対応可能だ。このあたり、親から借りるなり、バイトをするなり、資金繰りは楽では無いかも知れないが、それによっていい会社から内定をもらえれば、即座に回収できる金額だ。

自分への投資が最も効率の良い投資であるので、ここは考えてみたいところである。

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