学習院大学国際社会科学部の就職と課題について

1. GMARCHの国際系学部の中では狙い目?

学習院大学国際社会科学16年4月に新設の新しい学部だ。
既に、早慶、MARCH、関関同立といった有力私立大学の中でも、国際系の学部は非常に人気が高く、偏差値が高いのが特徴である。

https://www.univ.gakushuin.ac.jp/iss/

しかし、学習院大学国際社会科学部の場合は、2020年4月時点におけるパスナビ調査によると、偏差値は60.0と学習院大学の法学部や経済学部と比べても特に偏差値は高くない。

https://passnavi.evidus.com/search_univ/2310/campus.html

また、2020年4月時点において、MARCHの国際系学部と比べても、法政大学国際文化学部が60.0~62.5、立教大学異文化コミュニケーション学部が67.5と、偏差値的に狙い目な位置にある。

2. 学習院大学国際社会科学部の概要

学習院大学国際社会科学部の定員は200名と少人数制である。
他の国際系学部と異なる点は、英語や国際文化だけでなく、専門科目(社会科学)も同時に英語で学習することが特徴ということである。

また、いきなり全員大学1年生の段階から英語で授業をするのではなく、英会話能力に応じてクラス分けし、段階的に英語での授業を受けることが出来るようになっている。
このため、帰国子女程度の英語力が最初から求められるわけではなく、一般の学生も入りやすい仕組みになっている。

そして、国際系学部の特徴としての海外留学であるが、学習院大学国際社会科学部の場合、全員が卒業までに4週間以上の海外研修を経験できるようになっている。

男女比率は、2019年入学者においては、約1:2で女性が約2/3を占めており、女性の比率が高いのが特徴である。

3. 学習院大学国際社会科学部の就職について

学習院大学国際社会科学部は2016年4月に新設された学部であるので、2020年3月に最初の卒業生が誕生した。2020年4月時点においては、大学から就職状況についての情報はアップデイトされていない。近々公開されるであろうから、注目される。

この点については大学の公式HPにおいてQAで取り上げられているが、他学部と同じキャリアセンターを通じたサポート体制が受けられ、「メンタイ(面接対策セミナー)」や「就職いろは塾」という集団指導・個別相談などのインフラを活用できるので問題ない旨回答されている。

学習院大学の場合、中央大学法学部のような突出した学部があるわけではなく、普通に他学部のOB/OG訪問は難なく受けられると考えられるので、この点不便は無いであろう。

企業側からしても、新設の学部を不利に取り扱う意味は無く、GMARCHということであれば、学歴フィルターは通過できるであろうから、後は本人の努力次第ということであろう。

4. まずは、どういった就職対象企業を選定することが重要

どういった業界・企業を目指すべきかについては、入学した段階で決める必要は無い。
とは言え、経団連の就活ルールの廃止が公表されたため、就活の開始時期は予想されていた通り早くなってきている。従来は、3年生の夏というと、外資コンサルや外銀が最も早く事実上の選考を開始していたのだが、国内系企業でもインターンという名目での実質的な採用活動を大学3年生を対象に行っているところが目立つようになってきた。

従って、悠長なことは言っておれず、早めにターゲットを選定し対策を立てないと人気・難関企業への就職は難しい。

金融、総合商社、マスコミ、メーカー、IT、ベンチャー、その他サービス業のどういったところを狙うかについて、徐々にでも絞り込んで行く必要がある。

①総合商社:可能性はあるが第二志望も決める必要がある

例えば、総合商社の場合は難易度が非常に高いので、英語力・グローバルリーダーシップ経験だけだと不十分であり、それ以外の企業分析能力(ビジネスセンス)、専門性(会計、IT、成績等)も身につけないと行けないので早いうちからの準備が必要となる。また、それでも全落ちするリスクがあるので、第二志望以下も決めて就活することが必要となる。

②金融機関:国内リテールでもいいのか、グローバル職種に拘るか?

金融の場合も、学習院は全般的に大手金融機関への就職に強いが、せっかく国際系学部を出て、国内リテール業務となっても良いのか十分に考える必要がある。メガバンクなどはグローバル人材を欲しているので、将来はグローバル人員になれる可能性もあるのだろうが、その蓋然性について調査する必要がある。また、大手金融機関の子会社であることが多いので、年収等は1ランク落ちるが、運用会社とかVCを狙うと、将来の転職力はメガバンクや保険会社よりも高いので、そういった狙いもある。

もっとも、メガバンク等の銀行は、ここ数年で新卒採用者数を急速に抑制してきている。これは、グローバルの超低金利下における収益性の悪化や、実店舗と人員の余剰化が問題となって来たからである。このため、従来よりも大手銀行を中心とした大手金融機関への門戸は狭まっていくリスクを踏まえた上で、対応していくことに留意が必要である。

③国際メーカー:実は海外で稼いでいるのはメーカー

同じ国際系学部ということでは、公立だが国際教養大学の場合は、国際的なメーカーに就職する割合が高いので、海外勤務という切り口であれば、金融よりもメーカーの方が面白いかも知れない。

<参考:国際教養大学の就職について>
https://career21.jp/2019-03-01-064815

④インフラ系(通信、鉄道、電力・ガス)

わざわざ国際系学部でグローバルから遠い、インフラ系はどうかと思うが、安定性を重視するのであれば仕方が無い。通信といっても、ソフトバンクはグローバルで活躍できる可能性はドコモやKDDIよりは高いかも知れない。

⑤ベンチャー・ネット系

ベンチャー・ネット系は海外で稼げていないというか、海外に手を出す余裕まで無いところが多いが、ベンチャー・ネット系に最終的に就職するのではなく、学生のうちにこういったところでバイト・インターンをしたり、自ら起業(といってもWebを起ち上げる程度のもので構わない)をするのは面白いと思う。

グローバルセンスがあって、ネットビジネスにも強いとなると、武器が2つできることになるので、総合商社とかその他の人気業種でもグッと有利になるだろう。

また、総合系コンサルファームとかサイバーエージェントあたりの人気企業も狙えるようになってくる。

まとめ

学習院大学国際社会科学部は、国際系学部でありながら新設なので、まだ偏差値がそれほど高くなっていない。

カリキュラムを見ると、英語力は確実に身に付くであろうし、既存の学習院の就職インフラは使えるので、就職においては特に問題は無さそうだ。

もっとも、人気の企業を狙うとなると英語力だけでは不十分なので、それ以外のスキルを磨く必要があるが、ネットビジネス・起業経験はトップ就活生も意外に弱かったりするので、このあたりを強化するのはおすすめである。

いずれにせよ、少子高齢化による国内市場の縮小は避けられず、企業はグローバルで稼いでいくしかない。そういった人材はまだまだ不足しているので、国際系学部に進学するのは悪くない選択ではなかろうか。

なお、2020年2月頃より、コロナウィルスがグローバルで最大の問題となり、経済は非常に混乱を来している。辛い時期ではあるが、この間に、語学、会計、プレゼン、企業分析等、出来る限りスキル磨きに努めて、自分自身の競争力を高めることが求められる。

  • ブックマーク