就活ルール廃止後、東大・京大の就活生がインターンについて留意したいこと

1. 就活ルール廃止後に更に高まるインターンの存在感?

①就活ルール廃止後の新卒採用の早期化と多様化

2020年4月入社の就活生が、経団連の就活ルールの適用を受ける最後の学年である。2019年6月27日時点においては、もうほとんど内定は実質的に出揃い、この学年は就活終了モードであろうか。

そして、現在3年生の2021年卒業予定の学生には、経団連の就活ルールは適用されないのである。実際、既に2021年卒の学生からOB訪問を受けているが、人気・難関企業への就職を考えている有力校の学生は既に動き始めているようだ。

就活ルールは既に形骸化しているのであるが、その適用が廃止になると、ますます新卒採用の早期化が促進されるであろう。何故なら、経団連企業としては形式的なルールが無くなるので、堂々と青田刈りが認められるからだ。

また、終身雇用の廃止と相俟って、新卒作用の多様化も奨励されている状況にある。新卒採用の早期化というのは、この「多様化」の一部であるが、最近のくら寿司とかソニーの報道のように、初任給の同一性も今後は崩れていくだろう。

②新卒採用の早期化に伴い、ますます存在感が高まるインターン?

経団連の就活ルールが廃止される前から、外資系や非経団連企業だけでなく、経団連企業でさえ、「インターン」という名目で実質的な採用活動を行ってきたのは良く知られた話である。

今の大学3年生については、経団連企業も堂々と採用活動の一環としてのインターンを実行することができるので、大企業の採用側としてはインターンの柔軟性、使い勝手は良くなるであろう。

従って、今までインターンの採用活動としての位置づけが比較的低かった企業も、競合企業に優秀な学生を先に取られない様に、採用活動的な側面を引き上げる可能性がある。

また、定量的な意味において、インターンの定員・実施頻度・実施期間を拡大する動きも見られるであろう。

さらに、企業の新卒採用担当の視点からは、インターンの実施時期の更なる早期化(大学2年生)の動きも大変気になるところである。更なる早期化は採用コスト(費用と労力)が嵩むのでできればやりたくないのがホンネだろうが、他社が早めると追随せざるを得ないのは辛いところである。

いずれにせよ、今後、インターンによる実質的な就活時期の前倒し、とか、インターンの選考活動としての役割の強化等の影響があるので、就活生としては、戦略的にインターンに対応したいところである。

2. 従来の就活生側からのインターンのメリットと就活ルール廃止後の留意点

先ず、今までの就活生側から見た、インターンのメリットと、就活ルール廃止後の留意点について確認したい。

①インターン参加に伴う自分自身のスキルアップ

長期インターンの場合、金融系では企業価値評価やM&Aのプロセス、マーケティング系ではマーケティング戦略策定プロセスやPR手法、ネットベンチャー系ではプログラミングの基礎やWebマーケティングの基礎を学ぶ機会が与えられる。そして、その業界の現役社員であるインターン担当者が手取り足取り教えてくれるので、何からのスキルアップが可能というメリットがあると言われている。

しかし、ここで注意しなければならないのは、インターンというのは企業からお客さん的な立場で扱ってもらえるので、インターン参加者に対してはポジティブなコメントがなされがちである。また、スキルアップといっても長くても半年程度であり、そのインターン実施企業の外側では、果たしてどれくらいそのスキルが競争力を有するものなのかは不明である。

従って、インターンを通じてのスキルアップというのは否定はしないが、客観的に冷めた目で見るとその効果は限定的であると考えた方がいい。

②当該業界・企業の実態・雰囲気をつかむことができる

インターンをすると、当該業界・企業の中に入って、その会社の社員の人達と交流をすることになるので、現場の実態、雰囲気、従業員のタイプなどを肌で感じることができる。
百聞は一見にしかず、ということで当該企業の実態・雰囲気をつかむことができるというのはメリットとして挙げられるだろう。

もちろん、インターンで滞在する期間は1週間に満たない場合もあるし、接する従業員が当該企業の最大公約数的な人とは限らない。

このため、バイアスが掛かってしまう場合もあるが、あまりにもイメージとかけ離れていると志望対象企業(業界)から外すことができるので、志望先を絞り込むのにはある程度活用できるであろう。

③当該業界・企業との人脈が拡大

1 Dayインターン位では効果が無いかも知れないが、1週間も当該インターン実施企業で世話をしてもらうと、何らかの形で会社の人とコミュニーケーションを取る機会が増え、インターンをしないと得られない人脈が得られる可能性がある。

特に、ネット系企業や歴史の新しい企業の場合には、OB/OGの数が少ないであろうから、貴重な業界・企業の人とのコネクションができることは大きい。

インターンの場合、必ずしもその企業に応募しなければならないというわけでもないので、当該業界やライバル企業についての生きた情報を得る機会ができるし、いろいろな人を紹介してもらえる場合もある。

このため、当該業界・企業との人脈を拡げることができるというのはインターン参加の重要なメリットであり、インターンの実施時期が前倒しになると、ますますそれ以降長期的に効いてくるメリットと言えよう。

④ライバル達のレベル感を掴むことができる

就活が難しいのは、大学受験と違って、模試のようなものが無い。従って、自分自身の企業毎の内定可能性というのをつかむのが難しい。自分の認識と客観的評価との間にギャップがあれば、全落ちしてしまうリスクが高まってしまう。

そこで、インターンに参加することによって、他校の就活生のレベル感を実感することができ、語学、専門スキル、プレゼンスキル、リーダーシップ等についてのライバルの状況をうかがい知ることができる。

特に、京都大学の場合には、地元では王様的な存在でライバルが不在であるので、「自分はどこからでも内定をもらえるだろう」という油断が生じる可能性がある。そこで、東京開催のインターンに参加することで、東大や早慶等の在京のトップ学生のレベル感を知ることにより、危機意識を高めたり、モチベーションを上げることが可能となる。

また、ライバルのレベル感を知るだけではなく、一定期間共同作業をすることによって友達ができたりするので、そういった場合には、更に情報力をアップさせることもできる。

⑤志望企業の選考に有利になる可能性がある

これが、採用側企業からすると本来の目的であろう。インターンを通じて長期間過ごすと、形式ばった面接よりも、就活生の本来の姿をより正確につかむことができる。
そして、これはと思った学生については後日採用プロセスの方に誘導し、青田刈りをすることができるのである。

これは、就活生の側からすると、志望企業のインターンに参加することによって内定に効率的に近づくことができるとうメリットにつながることになる。

また、当該インターンが本命企業のものでなかったとしても、外資系とか総合商社のインターンに参加できると、箔付け的な効果があるので、他の本命企業の内定を得るためにプラスに働くこととなる。その意味で、内定に近づくための手段として、インターンへの参加は学生にとって有用だと言えよう。

もっとも、後述するが、反対にインターンでネガティブな評価が付くと内定は遠ざかってしまうので、この点は要注意である。

3. 就活生から見たインターン参加における留意点

次は、就活生がインターン参加に関して留意すべき事項である。上記のインターンのメリットの中で言及した点と重複する箇所もあるかも知れないが、今後、インターンの早期化、多様化、選考プロセス化が進展すると予想され、その重要性は従来よりも高まると考えらえる。
このため、東大・京大等のハイスペック学生は、行き当たりばったりではなく、戦略的にインターン参加を考えていきたいところだ。

①インターンにのめり込み過ぎて、本来の目的や希望を失わないようにすること

就活生の立場からすると、本命業界・企業のインターンのみに参加するわけではない。本命に向けた練習、本命企業と間接的につながりがある業界なので勉強目的で参加、単なる好奇心からの参加なども含まれる。

いろいろな企業の実態を知ることや社会人の人達とコネクションが出来たりするので、本命以外の業界・企業のインターンに積極的に参加することは悪いことでもない。

しかし、インターンの取捨選択において戦略性が無く、行き当たりばったりで選定・参加すると本来の自分の適性や目的に沿わない方向性に進んでしまうリスクがある。

その典型が、ベンチャー企業だ。こちらの就活メディアのワンキャリアの記事でも言及されているが、企業の実力以上(?)にインターンの評価が高いネット系ベンチャー企業に傾倒してしまうケースだ。
https://www.onecareer.jp/articles/1907

例えば、フリークアウト、Speee、レバレジーズあたりはトップ校の学生からの評価が極めて高い。このため、本命は金融・商社のような堅めの業界志望であったが、評判の高さから好奇心でインターンに参加したものの、インターンで当該企業に魅了されそちらの企業を就職先として選定してしまう可能性もある。

もちろん、インターン参加によって、そのような業界・企業に魅力を感じ志望替えを十分に納得した上で意思決定をしたのなら良いが、勢いで志望替えをすると後々後悔することになりかねない。

実際の社会人はいろいろと経験を積んでいるし、業務経験を通じて揉まれているので、社会経験の無い学生を説得すること位はお手のものである。昔から、リクルートあたりはそういったことが得意なので、金融や商社志望の冷やかしでインターンに来た学生を採り込むのが上手かった。

インターンの評価が妙に高いネット系ベンチャー企業の、利益水準、成長性、従業員の給与水準や市場での評価などを冷徹に分析すると、やっぱり、堅めの業界の方がファーストキャリアとしては無難であると再認識できるであろう。

従って、このあたりは冷静に判断したいところだ。

②本命度が高い企業のインターンには相応の準備と心構えで参加すべきである

インターンというのは採用側企業からすると、青田刈りが目的である。従って、選考プロセスの一環としての位置づけがある。

このため、就活生としては本命度が高い企業のインターンについては、選考プロセス・面接だという意識で参加をした方が良い。頭が真っ白で業界・企業分析無しで参加して素人的な質問をしたり、疲れている時期に参加して居眠りしたり思考力が落ちていて大したアウトプットが出来ないと、マイナス評価をつけられ、却って内定が遠のいてしまう場合がある。

従って、この点は戦略的なインターン参加計画が必要で、本命度が高い企業のインターンに際しては基本スキル(ファイナンス、マーケティング、プログラミング、経営戦略等)の予習を十分に行い、体力的・精神的にベストな状態で参加できるようなスケジュールを建てたい。

練習目的、好奇心目的でのインターン参加は、本命よりも前の日程に持ってきたり、参加したインターンでの学習効果を後の本命度が高いインターンで活かせるようにするなど、戦略的なスケジュールを組みたいところだ。

③インターンを「お金を稼ぐ」場と考えるべきではない

今後、インターンはますます多様化し、参加すれば報酬がもらえる有償型インターン参加の機会は増えるだろう。

しかし、インターン参加の目的はあくまでも志望の企業から内定を得ることであり、お金を稼ぐことが目的ではない。

「インターン報酬、〇十万円!」といった事例も見られるが、インターンで得られる報酬など、将来優良企業で稼げる金額からすると微々たるものである。学生のうちは、お金があまり無いので、そういった有償インターンに惹かれる気持ちはわからないでもないが、優良企業に入社すると5~6年目で1000万円近い年収を得ることできるわけである。

従って、報酬目当てのインターンに参加することは不可ではないが、本命企業の内定をもらえることを主目的として、インターンを選別して行くべきであろう。

4. インターンの探し方

インターンの探し方としては、大学のキャリアセンターの情報を利用したり、就活サイトから検索したり、知人の紹介を利用したり、なるべく多くの情報を収集した上で、吟味した上で選定していくのが良い。

就活というのも情報戦であるので、このあたりの情報収集分析能力というのも立派なスキルであり、社会人になってからも転職の際に使える重要なスキルである。このため、インターンの情報収集に注力するのは重要なことである。

就活ルールが廃止され、採用活動の早期化、手段の多様化が見込まれる環境下、インターンの位置づけは高まって行くだろうから、大学入学後早いうちからいろいろとキャリアについて考え、対応していくことが望まれるところだ。