メガバンクでアジア勤務は就活生にとって魅力があるキャリアか?

1. 国内で稼げなくなるメガバンクはアジア進出に熱心?

週刊東洋経済の2019年6月22日号の特集は「銀行員の岐路」である。
AI化で店舗や人材が余剰化するとか、地銀の経営難とか、メガバンクの新卒採用数大幅減の話とか、何かと暗い話題の多い銀行業界であるが、銀行業界は早慶、MARCH、関関同立等、有力校の就職者の上位企業である。

銀行以外に、他に魅力のある就職先があるわけでもないという消去法的な面も多分にあるのだろうが、これからも銀行を有力な選択肢の一つとして考えるトップ学生は少なくないだろう。

既に、有力校の学生の間ではメガバンクでもリテール職の人気は無いのであるが、グローバル職はどうだろうか?特に、メガバンク3行ともにアジアにおける銀行業務拡大に熱心なので、メガバンクのアジア勤務というのがキャリア的に気になるところである。
https://diamond.jp/articles/-/154690

2. メガバンクのアジア勤務によるキャリア上のメリット

①英語力は最低限習得することができる

銀行に限らず、証券、資産運用、保険ともに、外資系企業というキャリア上の選択肢があるのは金融業界の大きな特徴である。

それぞれの業界によって、可能な年俸水準とかリストラされるリスクは異なるのであるが、外資系金融と言う選択肢がある者と無い者とでは、将来キャリアにおける選択肢が大きくことなってくる。

外資系金融に転職できるかできないかの前提条件は、英語ができるか否かである。
今のところ、金融業界で外資系で働けるに足る英語力がある者はまだまだ少数であり、総合職の中でも1割もいないのではないだろうか?(特にリテール部門)。

反対に、英語さえできれば、その1割の中に入ることができるわけなので、専門スキルや経験は平均的であっても、外資系に行くことで国内系の同じ職種の2倍以上の年収を実現することは普通にある話だ。

従って、金融機関キャリアの場合には英語力をつけておけば、それだけでかなりのプラスになる。この意味で、メガバンクのアジア勤務を経験する意味は小さくない。

②海外勤務によってグローバルリーダーシップを習得することができる

単に外資系金融に転職するに足りる英語力を身に着けるのであれば、国内で語学学校に通って一生懸命勉強したら足りる。

しかし、海外勤務を経験できれば、英語力に加えて、グローバルリーダーシップを身に着けることもできる。

異文化で外国の人達と一緒にビジネスを行い、共通のゴールに向けて仕事を進めていくという経験は、貴重であり国内系金融機関で国内勤務をしている限りなかなか身に付かないものである。

また、アジアというのは、まだまだこれからも経済成長が見込まれる地域であり、現地のネットワークやビジネス慣習などに精通すれば、金融以外の業界も注力しているエリアなので、業界の垣根を超えた転職が可能になる場合もある。

3. メガバンクのアジア勤務の限界:外銀に転職するのは難しい

とはいえ、メガバンクのアジア経験だけでは、外銀に転職するのは難しい。
というのは、銀行業務と投資銀行業務とでは、内容が異なるので、語学力とグローバル経験だけでは、不十分なのである。

銀行業務では、IBDとか有価証券(特にエクイティ関連)を取り扱えないので、あたらずとも遠からずの専門スキルまでは修得できたとしても、国内系証券会社でIBDやグローバル・マーケッツの業務に従事している現職に負けてしまう。

このため、メガバンクのアジア勤務が実現できたところで、アップサイドを狙って次は外銀で30歳には年収3000万円以上というシナリオは描きにくい。

もちろん、外資系の商業銀行への転職の途は大いに拡がるのであるが、商業銀行は投資銀行と比べると年俸水準が全然高くないので、転職の大幅アップは期待できない。

4. それでも、国内業務よりもキャリアの選択肢が拡がることは確か

銀行業務という制約上、外銀への転職は難しいということであるが、若いうちであればいろいろと選択肢はある。例えば、機関投資家営業という営業職であれば、若いうち(30歳までくらい)なら、外資系の運用会社に転職する可能性はある。

また、人事、経理、法務コンプライアンスというバックオフィス系であれば、外銀或いは外資系の運用会社への転職の可能性はある。(もっとも、総じてバックオフィスの年俸水準はそれほど高くないのが)。

<外資系運用会社と年収>
https://career21.jp/2019-01-09-072810

ただ、それでも国内業務よりは外資系金融への転職の可能性が遥かに高まることは間違いない。

また、香港、シンガポール、上海あたりで現地に有力な人脈を築いたり、優良な転職エージェントを見つければ、現地で優良な転職案件に出くわす可能性もある。シンガポールはヘッジファンドなどが数多くあるので、若手の金融関係者は人気が高く、チャンスは結構あると思われる。また、金融に限らず、ネット系の現地法人等金融機関以外への展開もある。

従って、メガバンクでアジア勤務をするのは大いにポジティブな話だと思われる。

5. 問題はメガバンクで海外勤務の確約ができるか?

これがメガバンクの新卒採用の最大の問題点なのであるが、一部ITエンジニアとかマーケット関連の職種で最初から配属先が100%確約されているコース別採用はあるのだが、それ以外に海外勤務確約というポジションが用意されているわけではない(今後はできるかも知れないが)。

他方、ボストン・キャリアフォーラムなどでは、海外の有名大学出身者については最初からグローバル要因である旨にぎって内定を与えているケースもあるようだ。

また、国内での就職活動でも、外銀志望者などに対しては、グローバル職を仄めかしているようなケースもあるとのことである。

しかし、そういった場合にとりあえず入行後半年とか1年位はリテール営業に回される可能性がゼロとは言えないので、そのあたりは気になるところである。

いずれにせよ、新卒含め、グローバル要因になり得る若手社員に対する日本企業の需要は高いので、それなりの待遇はしてもらえるはずだ。
グローバル勤務が確約してもらえそうであれば、外銀や国内系証券の専門職の内定がもらえなかった場合、メガバンクのグローバル要因という選択肢もあるだろう。