1. 就活で失敗しても第二新卒で逆転するチャンスはある
終身雇用とそれを支える新卒一括採用も将来は崩壊していくという見方もあるが、まだまだ、大半の日本企業は新卒重視である。従って、新卒でどこの企業に就職するか、要するにファーストキャリアはその後の転職力とか留学力とかにも大きな影響を与える大変重要なものである。
しかし、いろいろな事情で既に就活は失敗したと考えている者にとっては、そんなことは言っておれない。新卒で入社した社員の約3割が3年以内に退職してしまう現在、第二新卒の採用市場は非常に注目されている。このため、第二新卒で逆転して良い企業に転職できるチャンスは本人の努力次第で十分残されている。
従って、就活で失敗して悔しい思いをし、第二新卒で逆転を図りたいと真剣に考えている者は、切り替えて第二新卒対策にフォーカスする必要がある。
もっとも、やみくもに動いたところで優良企業に第二新卒で転職できるわけではないので、今度は戦略的に十分な準備をして臨みたいところである。
2. まず、何といっても就活の敗因分析を行うこと
就活で失敗したからには、相応の理由があるはずだ。ここをキッチリと把握しておかないと、第二新卒でも同じ過ちを繰り返してしまうだけだ。
就活の敗因分析は、①スペック不足によるものと、②準備不足によるものとに大別される。
①スペック不足によるもの
ES、WEBテスト、GD、面接、インターンと就活にはいろいろなハードルがあるが、そういうテクニック的なものも無視すべきではないのだろうが、所詮はスペックの勝負である。従って、スペック不足によって失敗したというのであれば、スペック上げを図らなければ第二新卒でも逆転は難しい。
スペックというのは、就活においては、学歴、資格、語学力、留学経験(帰国子女)、体育会という基本的なスペックを言う。
求められるスペックは、対象となる企業によって異なる。大学入試の場合は、偏差値とか模試といったものがあるので、スペックのズレというのは基本的に生じないのだろうが、就活の場合はどのスペックを重視するかが明示されている訳では無いので、ここにズレが生じる可能性があるのが難しいところである。
例えば、東大法学部の学生がマッキンゼーとかゴールドマンを受けて落ちたのであれば、第二新卒での逆転の可能性はある。しかし、MARCHとか関関同立でマッキンゼーとかゴールドマンを落とされた場合には、第二新卒でリベンジするためには、スペック上げとかが必要となってくる。
第二新卒でどれくらいのスペックが必要となるのかは、対象とする企業・ポジションによって異なるが、これは後述するように複数の転職エージェントに相談するのが一番良い。
②準備不足による場合
現在は、就活サイトとか大学の就職課とか、多くの情報が溢れているので、スペックのズレで落とされてしまうというケースはそう多くは無いのかも知れない。
したがって、実際に多いのはこちらのパターンではないだろうか?
例えば、同じ大学でも就職結果が極端に異なる場合がある。ある学生は、外銀・外コン・総合商社内定全取り、同じ大学の別の学生は商社全落ちでメガバンクも落ちたということがある。特に早慶は就職に強いと思われているが、学生間の就活力に大きな差があるのも事実である。
人気企業というのはそこそこのスペックの者が集まってくるので、そこから先の勝負となる。そうなると、いかに十分な事前準備をできたかどうかが勝負の分かれ目となるのだ。
単にサボっていて就活のスタートが遅れたとか、競合体育会に拘束され就活がほとんどできなかった、或いは、大学が地方にあるため十分な情報が無かった等、原因は様々である。
準備不足によって、就活に失敗したという場合においては、第二新卒ではスペック的に足りていれば十分な準備・対策ができれば、転職の可能性はグッと高まることとなる。
3. 情弱とプレゼンテーション能力
スペック不足が原因の場合も、準備不足が原因の場合でも、総じて就活で失敗した学生には、2つの共通の弱点があると思料される。
第1は、情報収集能力の弱さ、第2は、プレゼンテーションが下手ということである。
①情報収集能力の欠如
記念受験と割り切っていたら別だが、スペック不足で落とされるというのは、内定難易度を読み間違えている訳で、情報収集能力が弱いと言える。
また、純部不足の場合も、体育会で拘束されたのであれば如何ともし難いが、準備が遅れるとか地方で情報が採れないというのは、やはり情報収集能力が弱いと言える。
そもそも、Web情報とかが溢れている時代において、どのような就活サイトを使っていただろうか?みん就とかリクナビだけでは不十分であり、外資就活とかワンキャリアあたりも見ておきたい。
また、日経新聞とか経済3誌(ダイヤモンド、東洋経済、日経ビジネス)には目を通していただろうか?
さらに、企業分析というのは就活頁やパンフレットを眺めていただけでは無いだろうか?中期経営計画の読み込みや、決算説明会向け資料は読んでいただろうか?
これは、基本的な会計リテラシーともつながるかも知れないが、第二新卒で逆転を狙うのであれば、NewsPicksだけではなく、オーソドックsな日経情報とか経済3誌に目を通す習慣をつけておきたい。
②プレゼンテーション能力の欠如
プレゼンテーション能力というのは極めて重要なスキルであるにも関わらず、客観的に測定してもらえる仕組みは無い。また、プレゼンテーションは不味くても、自分では気が付かない場合があるのが厄介なところである。
同じようなスペック(学歴、語学、資格等)で、同じレベルの企業分析能力であるにも関わらず、内定を取れる学生と取れない学生がいる。これはプレゼンテーション能力の巧拙が原因であるとも考えられる。
プレゼンテーション能力を高めるには、まず、そのセオリーを押さえる必要がある。書店にはTEDとかいくつもプレゼン関連の書籍が並んでいるので買ってみることが必要だ。最近売れているプレゼンテーションの書籍だと、グロービス講師の伊藤羊一氏が書いた、「1分で話せ」はわかり易くて良いだろう。
もっとも、本を読んだだけではプレゼンテーションは上手くならない。ある程度習慣化できるように実践練習が必要だ。大企業の場合、研修において鍛えてくれるところもあるかも知れないが、無ければ、グロービスのプレゼン講座に通うのが手っ取り早い。
ここだと否が応でも練習できるし、周りの参加者のプレゼン能力がイマイチだと感じることによっても成長することができる。
https://gms.globis.co.jp/curriculum/bup/
受講料は128,000円(2021年9月21日現在)だが、プレゼン能力は一生持ち越しできる有用なスキルなので、投資をしておく価値はあるだろう。
4. 成功している人に相談してみる
間接的かも知れないが、就活を失敗した人におすすめなのは大企業勤務でもいいし、個人経営者でもいいがビジネス界で成功している人に相談してみることである。
①40歳以上でそれなりの成功をしている先輩に相談する
OB/OG訪問というと、ゼミ・サークルの先輩や、名簿から年齢の比較的近い先輩から話を聞くことが多いであろう。しかし、望ましいのは成功している社会人から話を聞いてみることである。大企業でも個人経営者でも成功している人は、多くの人を見てきているし、ビジネスセンスにも長けているわけであるから、20代の成功体験が無くマネージャーにもなっていない若手社員とは質的に異なるアドバイスをもらえると思う。
年齢でいると40歳以上で、外銀・外コンのMDクラスとか、総合商社とか金融だと課長或いは担当部長以上位が望ましい。
学生/新社会人からすると、40歳以上でそれなりの管理職以上の地位についているOB/OGに会社訪問?をお願いするのは気が引けるかも知れない。しかし、自分がその立場になるとわかるのだが、それなりの成功を収めそれなりの年齢になれば、若手の育成というのが気になるものである。また、成功している人ほど心の余裕があるので、大抵の場合はきっちりと対応してくれるはずである。
②年代が近い、若くして成功している人の話を聞く(イベント等に参加)
上記①に加えて、成功した起業家など、自分と年代が近くて成功しているビジネスマンの話を聞いてみるというのも良いモチベーションになる。
そういった30歳までに一定の成功を収めたベンチャー経営者等に直接会うことは難しいが、起業家向けのセミナー、イベント等に参加してみると良い。
東京であれば、グロービス(グロービス・キャピタル・パートナーズ含む)、インキュベイトファンド、サムライインキュベイト、早稲田大学ビジネススクールなどがそういったイベントをやっているので検索して参加してみるのがお勧めだ。
5. 転職エージェント回りをして、自分の現状の市場価値を知る
ビジネスマンとしての市場価値が低い人に限って、転職エージェントとの付き合い方を知らない人が多い。
就活は情報戦であるが、第二新卒を含む中途採用市場は新卒以上の情報戦である。
会社説明会なんて基本無いし、インターン募集を一斉に募ったりしてくれない。
Webの採用情報のみをあてにしている時点で負け組であり、中途採用はWebの外で随時或いは常時行われているのだ。
就活で失敗したので、第二新卒で逆転したいというのは理解できるが、その前にどういった業種・企業・職種について、現状の自分ではどれくらいの可能性があるのかについて正確に把握しないと、レジュメ(中途採用はESは無いので)で落とされるだけである。
就活とか中途採用が難しいのは、大学入試とか資格試験のような模試が無いので、客観的に自分の実力を図る機会・手段が無いことである。
このあたりの可能性を把握しているのは大手の転職エージェントである。彼らは、多くの候補者のレジュメ情報や過去の面接状況や内定難易度(競争率、どの程度のスペックの者が内定したか、企業が求めるホンネの人材について)等について情報を持っている。
従って、まずは大手の転職エージェント回りをして、転職コンサルタントに自分の価値と、どういった企業であれば可能性があるのかについて聞いてみることが必要だ。
リクルート、JAC、エン・ジャパン、マイナビ等の大手のエージェントには登録をしてお声がかかるのを待ちたいところだ。また、ビズリーチには多くの中小、独立系のエージェントが乗っかっているので、ここも使うべきである。
それから、Google検索で転職エージェントを調べてみて、良さそうだと思うところには行ってみるべきだ。
転職エージェント自体、結構転職したり独立したりする人が多いので、ずっと同じ転職エージェントを使うことは難しい。また、自分のポジションとか業界によって、使うべき転職エージェントがある。このため、自ら転職エージェントを見つけるノウハウも磨いておきたい。
例え大手であっても、あらゆる企業をカバーしきれないので、複数の転職エージェントを活用すべきである。
面倒化かも知れないが、ここが出発点となるので、十分な対応をしたいところだ。