1. サラリーマンVSフリーランスの議論が地味に白熱しているようだが…
令和になって、終身雇用廃止とか、2000万円の貯金(年金はあてにならない?)の件とか、サラリーマンにとってネガティブな話題がマスコミ、ブログ、SNSの世界で取り上げられている。
サラリーマンがオワコンだということが強調されつつ、フリーランスで高収入を稼いでいる人達の発言が以前よりも注目されているように感じられる。
確かに、大手のサラリーマンの場合には、いろいろと嫌なことはあるけれど、終身雇用に守られ、手厚い退職金と企業年金で、最後まで勤め上げた場合には下手に独立するよりも良い生活を送れたというのが今までである。
ところが、手厚い退職金、企業年金、50歳を過ぎて戦力的には不要になっても60歳まで面倒を見てくれる制度が揺らいでしまうのであれば、サラリーマンという選択肢を考え直した方がいいかも知れない。
2. だからといって、安易にフリーランスに飛びつくのは危険
終身雇用や年金制度が崩壊すると、会社に依存をするサラリーマンは厳しくなるのは事実だ。だからといって、急激に従来の仕組みが崩壊するという訳ではない。
終身雇用が崩壊すると言っても、今40代、50代の人達は逃げ切れるかも知れない。また、年金崩壊というのは正確ではなく、支給額が十分かは別としてもらえることには違いない。
また、フリーランスと言ってもハロー効果で一部成功している人達がより注目されているだけで、大半はサラリーマンより厳しい生活をしている人も少なくない。
従って、フリーランスの魅力があるのは否定できないが、現在大手のサラリーマンをやっている人は、適性もあるので安易にフリーランスに飛びつかない方がいいだろう。
3. サラリーマンとフリーランスの基本的な違い
サラリーマンとフリーランスを比較するにあたって、以下のような違い(サラリーマンのメリット)があるので、現在サラリーマン(特にホワイト系大手)の人は、まずそこを認識する必要がある。
〇サラリーマンの給料は、「経費」の掛からないネットの報酬である。
〇サラリーマンには退職金、年金、社会保険、有給休暇がある。
〇サラリーマン(大手の場合)の給料は、継続性がある。
<サラリーマンとフリーランスの年収を比較するにあたっての留意点>
https://career21.jp/2019-06-12-094648
4. フリーランスに向いているサラリーマンとは?
①そもそもランサーズやクラウドワークスを見ているようじゃダメ
フリーランスの大前提というのは、仕事は自分で取らないといけないということだ。
良い仕事を取れないと、労働基準法が適用されない世界で、実質低賃金長時間労働の仕事を余儀なくされ、結局サラリーマンの方が良かったということになる。
この点、現在の日本では高単価な優良な仕事がそこらに転がっている訳ではない。
これは、クラウドワークスとかランサーズのサイトを見てみれば明らかだが、そんなに美味しい仕事は沢山転がっていない。
従って、高単価の良い仕事を発注してくれる先が無く、この手のウェブから仕事を物色しているようでは厳しいのではないだろうか?
②自分自身で良い仕事を取って来る能力、営業力はあるか?
誰でもアクセスできるWebサイトの中に良い仕事が転がっていないことは上述の通りである。それでは、自分で優良な仕事を取って来ることができる営業力、ネットワークがあるかどうかを考えなければならない。
もっとも、自分自身で直接優良な仕事を発注してくれそうなクライアントを見つけられなくても、そのようなクライアントを複数持っている人がいるのであれば、構わない。
しかし、一般的に商流が下流に行くにつれ、単価が下がって代替可能なコモディティ的な仕事になっていくので、なるべく上流に近い(クライアントに近い)ポジションの仕事を取れるかどうかがカギになる。
③自分はどのような専門性の高い有用なスキルを持っているか?
実はこれが最も重要で、これが何かを考えているようでは到底フリーランスで成功を収めることはできない。
ところが、プログラミングとかWEBコンサルティングといった特段のスキルを持たない文系サラリーマンにとっては、結構難問だ。
文系のトップクラスのエリートが就職する外銀なんて典型で、ベンチャー企業にCFOで転職するという手はあるが、ファイナンスとかトレーディングの専門性をフリーランスとして求められる市場はまず無いだろう。
コンサルも同様である。特にコンサルの中でも最高峰とされる戦略コンサルのマッキンゼーやBCGにいても、戦略コンサルで独立したところで、会社の看板が無くなると大して稼げないだろう。
総合商社になると、もっと厳しく、トレーディング(貿易、卸売)関連の仕事をしていてもフリーランスで求められる市場は無いだろう。
以上のように、現在就いている職業・企業の格付けが高くても、フリーランスで稼げることを意味しない。
となると、エリートでなくとも汎用的な文系サラリーマンのスキルというと、経理、人事・労務管理、法務というあたりになる。このあたりは、税理士、社労士、弁護士、司法書士の領域であり、ただでさえ飽和状況になっている市場なので、例え関連資格を取ったところで、文系サラリーマンが今以上に稼ぐことは難しいだろう。
結局、フリーランスで稼げると言っている人達がいるのは、WEB/IT周りの世界の話であり、それ以外の業界のサラリーマンは直ぐに参入して戦える世界では無いのではなかろうか?
5. WEB/ITスキルが無いサラリーマンは、しばらく様子を見よう
ブラック企業の場合は別として、何だかんだ言って、大手のサラリーマンは恵まれている。いや、悪い言い方をすると甘やかされていると言えるかも知れない。
サラリーマンには面倒なことも多いし、収入のアップサイドは限られているので、フリーランスで月に100万円以上稼げるという話を聞くと、それに惹かれる人は多いかも知れない。
しかし、退職金、年金、社会保険、有給休暇、仕事は勝手に降りてくるという世界から、フリーランスの世界に入るのは今までとは全く別の世界の住民になるということなので、相応の準備が必要だ。
副業・兼業が緩和されていく中、単純作業の文書作成・入力ではなく、発展性のあるアフィリエイトとか転売ビジネスを地道に初めて十分な練習をするのがいいだろう。
エリートサラリーマンの強みとして、コツコツと継続的に実行できることがある。また、文章力等については、会社でうるさく言われるので、ブログでもツイッターでも文章を書くのは苦にならないのではないだろうか?
従って、アフィリエイトで5万、10万でも稼げる実績を作ってじっくり考えればいいだろう。慌てなくとも、今後の日本の労働市場・雇用慣行等の変化を踏まえると、この世界はまだまだ拡大していくだろう。