1. 人気クイズ番組「東大王」の伊沢拓司君もYouTube市場に参入
TBSの人気クイズ番組「東大王」に、2017年から東大王チームいとしてレギュラー出演していた伊沢拓司君は、2019年3月末を以て東大大学院を中退し、QuizKnock社を起業した。
2017年にはYouTubeチャンネル「QuizKnock」を開設し、2019年6月17日現在で、チャンネル登録者数は71万人にも達している。
YouTubeの場合、チャンネル登録者数が10万人に達すれば、月収100万円も可能と言われており、このまま順調にいくと年収1億円も可能ではなかろうか。
ユーチューバーの場合、競争が厳しいし、YouTubeからアカBANされるリスクもあるので、収入の安定性は欠けるのだろうが、流石にこのレベルまで来るとメガバンクとか総合商社に就職するよりは遥かに多く稼ぐことができるであろう。
2. 他にも、意外に多い?、東大ユーチューバー
IT技術の進展と、スマホ社会の浸透によって、個人の情報発信力が高まり始め、ユーチューバーとかプロブロガーとかで成功すると年収1億位軽く稼げるようになってきている。
他方、例え東大生であっても、国内系企業に就職してしまうと、いくら頑張っても20年かけてようやく年収2000万円に到達すれば良い方である。
外資系金融とか外資系コンサルティング・ファームに行くと、うまく行けば年収5000万円以上を実現することも可能であるが、激務の中を勝ち抜かなければならない上、それ以前に東大生であっても外銀・外コンに就職するのは容易ではない。
そこで、目端の利く東大生の中には、いくらビジネス界で頑張ってもたかだか知れているので、それなら、YouTubeを攻めてみようと考える者がいても不思議ではない。
例えば、最近、以下のような東大ユーチューバーが出てきているが、ご存じだろうか?
(なお、チャンネル登録者数は2019年6月17日現在である)
〇もっちゃんねる:チャンネル登録者数4.8万人
〇マスザワ内閣 :チャンネル登録者数3.9万人
〇CASTDICE TV:チャンネル登録者数4.4万人
〇予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」:チャンネル登録者数16.6万人
この中では、Abema TVのホリエモンの東大受験企画番組「ドラゴン堀江」に出演したこともあり、「予備校のノリで学ぶ『大学の数学・物理』」を運営している「ヨビノリたくみ」さんが頭一つ抜けた形になっている。
やはりマスメディアの力は大きく、ゴールデンタイムのTV番組で有名になった伊沢拓司君とか、Abema TVに出演したヨビノリたくみさんはチャンネル登録者数の伸びが違う。
それ以外の、東大ユーチューバーはこつこつとファンを増やしてきているが、現在のところ4万人程度で推移している。
チャンネル登録者数10万人で月収100万円とすると、このレベルでようやく東大生なら誰でもなれた銀行員位なので、少なくともこれくらいには到達したいところだ。
3. 教育系ユーチューバーの限界?
クイズは娯楽系と教育系のいずれに分類すべきかは難しいところがあるが、基本的に東大ユーチューバー達は教育系のコンテンツで勝負している人達が多い。
YouTubeというと、音楽、或いは娯楽系がメインであり、最も稼ぐユーチューバー達はここのドメインで勝負をしている。
反面、ビジネスとか教育系はまだまだ未開拓な分野と考えられており、この分野に参入を図ろうする一般人(非有名人)は多い。また、教育系であれば「東大」というところが効いてくるので、東大ユーチューバー達がこちらの市場を狙うというのは理解できる。
しかし、まだまだこちらの市場はそれ程メイン市場になっていないのと、教育系の中でもピュアな受験系となると、大手予備校、リクルート、進研ゼミといった大手が既に参入しているので真正面からは戦いにくい。
また、教育系の中でも「受験」ではなく「就活」「転職」等を対象としたビジネス系については、大手が参入できないため、狙い目であるものの、ビジネス界で成功実績があるような東大生は既に数千万円位は稼げているだろうし、起業勤めの人達は兼業・情報発信が著しく規制されているのでYouTube市場に参入できない。
就職経験が無いとか、就職しても大した成功実績が無ければ、東大生とは言え、自らの経験に基づく充実した一次情報を発信することが出来ず、あまり競争力を持ちえない。
従って、東大ユーチューバーとしても、教育系ではチャンネル登録者数が100万人を超えるようなレベルにはなかなか到達できないのではないかと思われる。
4. 娯楽系で成功を収める東大ユーチューバーは現れるか?
結局、YouTubeで大成功を収めるには、娯楽系で勝ちたいところだ。
ヒカキン、はじめしゃちょー、ヒカル、ラファエル、シバター等と同じ土俵で戦うということになる。
もちろん、この世界では「東大」という学歴はあまり効かない。企画力、エンターティメント性、トーク力、ルックス、編集力等が求められる世界である。
しかし、ヒカキンのようにコツコツと努力を続けて芸磨きをすることは東大生にも向いている。また、漫才師のように自らがネタを演じることが求められるわけでもない。ヒカルとかラファエルとかは、テレビのバラエティ番組のような企画をやっているので、テレビ局で活躍している東大出身者が少なくないことを考えると、そのようなセンスを持っている東大生は必ずいるだろう。
また、ある程度有名になり始めると、東大生という意外性が効いてくるかも知れないし、予算ができるので他の人達と組んで組織で勝負をするという手もある。
近い将来、YouTubeの娯楽系で、ヒカルやラファエル達と真っ向勝負してくる東大生が出てくるかも知れない。
5. 大企業が終身雇用を廃止すると、さらにユーチューバーの魅力は高まる?
実は、東大生の場合、まともに就職せずにユーチューバーになった場合でも、あまりリスクは無いかも知れない。
というのは、東大生であれば、最悪塾とか予備校で雇ってもらえるので、月30~40万円位の収入は何とでもなるだろう。
また、娯楽とか動画ビジネスというのは、今後の5GとかAR/VRの進展に伴い、市場はますます拡大するだろう。そうなると、例えコケたにせよ、ユーチューバー経験のある東大生ということであれば、ベンチャー系企業から雇ってもらえる可能性もあるのではないだろうか?
他方、大企業の中でも特に給与水準が高くないメーカー系に行った場合、終身雇用の廃止によって安定性すら失われた場合には、ハイリスク・ローリターンになってしまう。
そうなると、ローリスクの世界が無くなるのであれば、アップサイドが無い大手企業に就職するよりは、YouTubeの世界で一発勝負した方が面白いと考える東大生も今より増えるのではないだろうか?