1. 年収4000万円という数字の意義
年収4000万円というのは中途半端な金額であり、年収3000万円の次の目標は普通は年収5000万円ではないかと思われるかも知れない。
しかし、年収4000万円という数字、金額にはそれなりの意義があるのだ。
①2006年より前であれば「長者番付」に掲載された
今、40~50代以上の人であれば覚えているかもしれないが、日本にはかつて、「長者番付」(正式名称は「高額納税者公示制度」)という税法上の制度があった。
これは、所得税については所得税支払額が1000万円を越える人の納税額(年収ではない)が公示されるという制度であった。しかし、プライバシーの観点や公示された人が犯罪に巻き込まれることの防止という観点から、2006年には廃止された。
当時、所得税額(住民税は含まない)が1000万円を越えるというのは年収に換算するとだいたい4000万円位であった。したがって、言い換えると、年収4000万円というのは「長者」の証ということであり、真の高収入者と言えるのだ。
②外コン(マッキンゼー、BCG)や大手渉外法律事務所の成り立てパートナーの年収?
就活生からの人気が高く最も難易度が高いと言われる戦略系コンサルの、パートナーの年収が4000万円~とされる。その1ランク下のプリンシプルとかマネージャーでは到達不可能な年収である。ただでさえ入社することが難しい、MBBクラスのコンサルティング・ファームで、さらに、その中の最高職位のパートナーになって到達できる金額が年収4000万円である。従って、年収3000万円とは異なる価値がある。
また、サラリーマンではないが、弁護士の最高峰が大手の渉外法律事務所である。給与体系は事務所によって異なるのだが、4大法律事務所のうちのある法律事務所のパートナーの最低年収保証額が4000万円と言われている。アソシエイトであれば、到達できない金額である。
このように、プロフェッショナル・ファームの最高位であるパートナーに就任して実現できる年収が4000万円~ということなので、その価値が如何に高いかがおわかりだろう。
③外資系金融でも、バイサイドのミドル・バックでは到達不可能な金額
外資系金融は、外銀と呼ばれる投資銀行(証券会社)とバイサイド(運用会社)を含む。このうち、外銀の方が一般的にバイサイドよりも年収は高い(リスクも高いが)。
そして、外資金融の中でも、フロントと呼ばれるトレーディング、セールスという収益に直結する職種と、オペレーション、経理、人事、コンプライアンス、ITというバックオフィスとに大別される。もちろん、年収水準はフロント職の方が高い。
このうち、外資系金融と言っても、バイサイドの場合、ミドル・バックオフィスでは部門長になっても年収4000万円は到達不可能である。ヘッジファンドに行っても同じである。
年収3000万円台なら散見されるが、年収4000万円というのはみあたらず、最大手のブラックロック、ピムコあたりに行かないと難しいと思われる。
このように、外資系金融の世界でも、年収3000万円と年収4000万円の間には壁があるのだ。
④国内系企業の場合だと、役員になるかフルコミッションの歩合職しかない?
外資系金融とか外コンの世界でも、到達困難な世界であるので、国内系企業のサラリーマンが年収4000万円を稼ごうとおもうと更に難しい。
一般社員では、本部長、事業部長でも無理で、役員になる他ないだろう。
また、ソニー生命とか住宅会社のフルコミッション職でトップクラスにならないと難しい。
<年収3000万円のサラリーマンの暮らし>
https://career21.jp/2018-10-24-131541
<年収5000万円のサラリーマンの暮らし>
https://career21.jp/2018-10-26-105742
2. 年収4000万円のサラリーマンの東京での住居
サラリーマンの場合、大変実現するのが難しい年収4000万円でも、悲しいかな、六本木ヒルズとか東京ミッドタウンという最高級のタワマンには全く住めない。低層階の小さな部屋はあるが、それはかえって惨めな気がする。このあたりの2LDKとなると家賃は優に100万円を超えてくるので、年収1億とまでは言わなくとも年収7-8000万は欲しいところだ。
年収4000万円といっても、所得税、住民税、社会保険を控除した後の手取りは、額面の6割を切ってしまう。だいたい、年間の手取りが2300万円程度だ。
となると、家賃は収入の2割が目安というセオリーからすると、家賃40~50万円位が無難なところだ。もっとも、外資系金融の場合のは、家賃を給与天引きにする準社宅制度(会社名義での借り上げ社宅制度)による節税策も使えるので、住居にこだわりがある場合には、60~70万円の家賃にすることも可能だ。でも、そこで見栄を張ってもトップクラスのタワマンは厳しい。
それでも、家賃40~50万円であれば結構良質な港区内の低層マンションであればそれなりの物件に住める。また、芝浦とかの湾岸の方に行けばタワマンも余裕である。
年収3000万円クラスであれば、住居は世田谷・目黒位がおさまりが良かったが、年収4000万円ともなると、港区(除く六本木ヒルズ)が射程圏に入ってくるところが違いである。
興味がある人は、このサイトで設定をいじってシミュレーションを楽しんでみてはいかがだろうか?
https://www.m-standard.co.jp/search/港区_CI/
3. 年収4000万円のサラリーマンのクルマ。フェラーリも可能?
アラフィフ以上の世代は、今の若い人たちと違って、クルマがステータスシンボルという環境で育ってきた。このため、クルマにこだわりのある人が多い。
年収3000万円であれば、ベンツやポルシェのSUV位が自然であり、フェラーリは少々厳しいレベルであったが、年収4000万円になると、十分にフェラーリのオーナーになっても恥ずかしくない年収水準だ。
ディーラーでも聞いてみると、年収4000万円クラスはオーナーの最頻値ゾーンである。
<フェラーリと年収>
https://career21.jp/2018-10-04-160210
住居で特に見栄を張る必要が無いという人で、クルマに拘りがある人は、フェラーリを視野に入れてもいい年収ゾーンである。
4. 年収4000万円のサラリーマンの食事。高給店の常連になりたい?
年収3000万円になればミシュラン星付きの店でも、そこそこ訪問することは可能である。
そこで、年収4000万円になると、行きつけの高級店というのも持ってみたいものだ。
年齢が40~50歳になってくると、フレンチ、イタリアンという洋食系を高頻度で食べると胃もたれするので、和食、特に高級寿司店を行きつけにしたいところだ。
ある銀座のミシュランの☆付の寿司屋の大将に聞いてみると、もっとも高頻度で来る常連さんは月3~4回位のペースだという。銀座の高級寿司店は結構高く、2人で5~8万くらいになるが、自分の好みに合った店を開拓するといいだろう。
5. 年収4000万円のサラリーマンの時計。
男性の場合、時計にこだわりを持つ人も多い。最近、高級時計の高騰化が激しく、ロレックスのサブマリーナとかエクスプローラーという定価が70-80万円クラスの汎用品が正規店では品切れで買えなくなっている。
それどころか、ロレックスよりも格上とされる、オーデマピゲのロイヤルオークは200万円以上もするのに、予約すら受け付けてもらえない。もっとひどいのは、パテックフィリップのノーチラスは定価が300万円以上するが、こちらも正規店では品切れ状態である。
そこで、ある程度マニアックな銘柄を見繕ってもらうという手もあるので、例えば、銀座のアワーグラスという超高給品の専門店で相談してみるのもいいだろう。
6. でも一番大事なのは、貯蓄と資産形成をしっかりとすること
上記の話は消費の話であるが、大事なのは貯蓄と資産形成である。
FP的に、望ましい貯蓄額は年収の2倍という考え方があるので、年収4000万円であれば、8000万円位の貯蓄が欲しいところだ。
年収4000万円の手取りは2300万円程度であるので、その2割位は貯蓄に回したい。
しかし、仮に貯蓄を500万円するとしても、8000万円の貯蓄をしようと思うと、16年もかかってしまう。もちろん、年収4000万円到達時点で貯蓄ゼロということはありえないだろうが、10年コンスタントとに年間500万円の貯蓄を継続しても、5000万円しか貯められないわけである。
上記の贅沢な話とは矛盾するが、それなりに倹約するところは倹約しないと、年収4000万円でも油断すると大した貯蓄ができずに終わってしまう。
貯蓄方法としては、積立投資に加え、ボーナスポーションが大きいので、ボーナスの多くを銀行預金とか国債にあてるということが現実的であろう。
もっとも、外資系金融の場合には退職金があるので、退職時には数千万円位が入ってくるので、年収4000万円を10年くらい継続できれば1億円位は貯めることができるだろう。
年収が高くなればなるほど、それを維持することは難しくなるので、如何にその状態を維持させるかを踏まえたキャリアプランが重要となる。
外コンの場合は、是非パートナーになって年収4000万円を目指して欲しいが、外資系金融の場合には、リスクの高い年収4000万円よりも安定的な年収3000万円の方がよい場合があるので、給料だけ見て怪しい転職話に飛びつかない方が賢明であろう。