金融庁の「老後に2000万円貯金が必要」の波紋。就活・転職時にも、退職金・企業年金のチェックが必要。

1. 金融庁の「老後に2000万円貯金が必要」問題とは?

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6325560

2019年6月に、金融庁が公表した、人生100年時代に向けた資産形成を促す報告書が問題となっている。

これは、金融庁の報告書によると、年金生活の高齢夫婦の場合、年金収入だけでは不十分なので30年間生きるためには約2000万円の貯金が必要という内容である。

この金融庁の報告書の内容自体は、特に問題あるようには思えないが、野党が与党の責任追及をするための口実ということもあり、結構メディアを賑わせているのである。

2. 大企業サラリーマンの場合、2000万円貯めるのは誰でも可能だが、それはお金の使い方や、金融リテラシーによって全く異なってくる

60歳を過ぎた定年時点で、大企業に勤めるサラリーマンが2000万円の貯
蓄をすることは、それほど難しい話ではない。

しかし、それは年収水準からの可能性の話で合って、コツコツ貯蓄や資産運用をする人と、ぱあっと使ってしまった貯金ゼロの人とでは全く異なる結果になる。

①貯蓄と退職金・企業年金の重要性

サラリーマンの場合、退職金・企業年金という大変有難い制度がある。
何故ありがたいかというと、以下の性質をもっているからだ。

(1)退職時点で一度に支給されるため、途中で消費してしまうリスクが無い。
(2)退職金については優遇税制が適用され、税金はゼロ、或いは課税されても5~10%程度と低い税率が適用される。
(3)確定拠出型年金の場合、適切な運用が行われたら、途中課税されないし、引き出せるのは60歳の時点なので、途中で消費してしまうリスクが無い。

このため、大手企業で定年まで勤めると、途中消費性向が高くて貯金ゼロであっても、退職金支給によって一気に2000~3000万円の貯蓄ができるのである。

更に、これは会社によって採用しているところとそうでないところがあるが、確定拠出型年金制度が有る会社の場合には、結構これがバカにできない金額になる。
確定拠出型年金のMaxの支給額年間約60万円であるが、仮に、月々3万円が支給されると仮定しよう。これを国産分散投資をして、入社時から定年時までの35年間支給してもらったとしよう。

運用利回りを3%と想定すると、定年時(60歳の時点)で受け取れる金額は、何と、2200万円となる。興味がある人はこの手のソフトで運用利回りを変えて試算してみよう。

<楽天証券の積立シミュレーション>
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/saving/simulation/

そうすると、退職金が3000万円だとすると、上記の確定拠出型年金を合わせると、何と60歳の定年時点で一気に5000万円の貯金ができてしまうことになる。

いかに、日本の大企業の退職金とか企業年金の制度が有りがたいかがわかるだろう。

②結構低い、日本の大手のサラリーマンの金融リテラシー

企業が全部やってくれるからか、有名大学を出たエリートサラリーマンでも、退職金、年金、税金、資産運用等に関する金融的な知識、要するに、金融リテラシーが低い人が結構多い。

例えば、お金にはシビアなはずの外資系金融の人達でも、転職時において、退職金や企業年金の制度をチェックしない人は少なくない。

<外資系金融機関の退職金>
https://career21.jp/2019-04-03-151029

年収が高くなればなるほど、税金も高くなるので、課税後の手取りから貯金をするには限界があり、一気に高額の貯金を作ることは無理なのである。

このため、税制上優遇されている退職金とか確定拠出型年金を上手に使って、資産形成をしていくのは、高給取りの外資系金融の者でも同様なのだ。

③真面目に貯蓄をしようと思えば、仮想通貨やFXとかで勝負をしないこと

貯蓄をするのには時間がかかる。20代や30代だとまだまだ年収は不十分であるが、いろいろと使いたいものが沢山ある。また、30代、40代で結構したりすると、生活費が嵩み、なかなかまとまった金額を貯めるのは難しい。

だからといって、仮想通貨やFXのような投機で勝負をすることはお勧めできない。少額でもいいので、コツコツと長く続けるのが堅い。財形貯蓄がある会社はそれを使えばいいし、ファンド累投、ロボアドバイザーでも構わないので長く続けることが重要だ。

この手の金融リテラシーに関する説明をしてもらえるところがいいが、金融機関だと自分のところの商品を勧めようとするので、なかなか中立性に不安がある。

かといって、日本では独立系のFP(ファイナンシャル・プランナー)も馴染みが薄いので、相談しにくい。

学校で正しい教育をするのが望ましいが、今は自分で勉強するしかない。

3. 就活の段階でどうやって退職金や企業年金を調べるのか?

就活生が気になるのは初任給とか目先の給与水準であろう。
先輩、友達、就活サイト等で、企業の年収についてはいろいろと気になって調べるのだろうが、退職金・企業年金制度まで調べている就活生はほとんどいないであろう。

確かに、就活の段階で会社の人に退職金とか年金のことを聞くと、「この学生はモチベーションが低い」と思われると困るのでなかなか聞けない。

従って、ゼミやサークル等の良く知っている先輩から、インフォーマルな形で聞き出すしかない。

もっとも、既存の日本の大企業の場合は、調べなくとも退職金とか企業年金制度はしっかりしているので何とかなるだろう。

注意すべきは、ベンチャー系である。ヤフー、楽天、サイバーエージェントは優良企業で安定しているが、既存の大企業と比較すると、退職金や企業年金では負けてしまう場合が多い。

また、一般に、コンサル系とかの終身雇用を想定していない企業では、年収の割に退職金制度が貧弱な場合もあるので要注意だ。

今後、終身雇用が廃止されていくと、退職金や企業年金として受取れる金額が少なくなってしまうリスクがある。そうなると、自力でコツコツと貯めないと、年を取った場合に不十分な貯金しかできなくなってしまう。

したがって、これからのエリートサラリーマンは、退職金、年金、税金、資産運用を包含する金融リテラシーを高めて行くことが求められる。また、金融リテラシーが高いサラリーマンは周りから重宝されることも期待できるので、この金融庁の「老後貯金2000万円」問題をきっかけに、おカネに関する関心度を高めることをおすすめする。