ヒューリック、WOWOW?東洋経済社の生涯賃金ランキングから狙い目企業を探してみた。

1. そもそも生涯賃金は「推計」なので、あくまでも参考にしかならない

毎年、東洋経済社が生涯給料ランキングを公表している。ビジネスマンの間ではそれなりに注目されているランキングである。
https://toyokeizai.net/articles/-/230725

コメント欄を見ればわかるが、生涯賃金はあくまでも「推計」によって算出するしかないので、正確なものを作ることは無理がある。

その理由としては、以下のものが上げられる。
(1)現在の平均年収を基に、その水準が将来も継続するという前提に立っている
(2)平均年収の内訳が不明。例えば、上位にランクされているM&A仲介系の会社の場合、歩合的要素が強いので一部の社員が平均を引き上げ、実態と合わない可能性がある。
(3)有価証券報告書で開示されている平均賃金は、一般職と総合職とが混ざっている。
(4)定年まで勤めることが考えにくい業種においては、高給を維持できるか不明(コンサル等)

従って、M&Aの仲介系の企業であるM&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、日本M&Aセンターあたりは、誰でもが平均年収をもらえるわけではないし、定年まで働けるとは限らないので、あくまで参考であった、成功した場合にはかなりの年収をもらえる可能性があるという程度であろう。

また、シグマクシス、ドリームインキュベータ、ベイカレント・コンサルティングなどのコンサルティング・ファームの場合、転職をする者が多く、60歳まで働けるものはごくわずかではないだろうか?したがって、このあたりもあくまでも参考値であろう。

2. 実態と合致していそうな業界は…

他方、このランキングと実態が合致していそうな業界・企業もある。
総合商社(三菱商事、伊藤忠、三井物産、丸紅、住友商事、双日、豊田通商)、大手デベロッパー(三井不動産、三菱地所)、大手マスコミ(朝日放送、電通)、製薬(武田薬品、アステラス製薬、第一三共)あたりがそうである。

このあたりの業界・企業は、基本的に終身雇用であり、年収の安定性も高い。もっとも、こういった事実は多くの学生は知っているので、穴場企業というのはなかなか見つからない。
この中では、将来厳しいグローバル競争はあるものの、製薬業界というのはもう少し注目されてもいいかも知れない。

反対に、もっと上位にランクされるべき業界・企業としては大手金融機関があげられる。
東京海上日動、日本生命、野村證券あたりの給与水準は高いし、終身雇用に立脚している上、退職金・企業年金等の福利厚生も充実している。これは、一般職と総合職の賃金差を適切に計算してランクに反映させることが難しいからであろう。

もっとも、金融機関の年収の実態は、就活生は十分に認識しており、だからこそ、上位校の多くの学生が金融機関に就職するのであろう。

3. 穴場企業はあるか?

上位30社の中で、穴場企業はなかなか見つからないが、7位のヒューリックと、28位のWOWOWは面白いかも知れない。

①ヒューリック

ヒューリックは、みずほ系の不動産デベロッパーである。
みずほ系の中規模な不動産会社であったが、リーマンショック直後の2008年11月に東証一部に上場して以降、ぐいぐいと成長し、平均賃金も急速に上がっていった。
https://www.hulic.co.jp/

地味ながら、ヒューリックの成長については経済誌で特集がなされたこともある。東京のデベロッパー関連の人であれば誰でも知っているだろう。

特に、銀座に中規模のビルを数多く保有しており、リーマンショック後の東京の地価高騰の流れに乗って、超優良企業になったのである。

給与水準、その上昇ペースについては、大手デベロッパーと類似している。
入社2~3年目で年収は600万円を越え、30歳で1000万に到達し、40歳では1200~1400万円というペースである。安定的にが長く働ける可能性が高いのでランキング通りの優良企業であろう。

もっとも、社員数が200名程度の人数的には小規模な会社であり、新卒採用数は7~8人程度でハイスペック学生でも内定をもらえるかどうかはわからない。結局、大手デベロッパーとの併願ということで対応するしかなく、ピンポイントで狙うのは厳しいところである。

②WOWOW

誰でも知っているWOWOWであるが、給与面でも魅力が高いということはそれほど知られていないかも知れない。

ここの高給のポイントは、少数精鋭ということで従業員が少ないことである。会社全体で300人に満たない規模である。よって、新卒採用数も10人程度と少なく、ヒューリック同様に内定を取るのは容易では無いだろう。

ここの年収増加ペースについては、入社5~6年目で600万円を超え、30歳前半で700万円、30半ばで800万円を越え、リーダーと呼ばれる課長クラスになると年収は1100~1200万円、その上の部長になると年収1300~1500万円というイメージである。

日本の企業にしては、比較的実力主義的で、パフォーマンスの差による評価もそれなりに反映されるという。

WOWOWはエンターテイメント系ということで、非金融の面白い企業を探している学生にとっては、会社研究・会社訪問の対象に加えてもいいのではないだろうか?

最後に:実は穴場はキーエンス

このランキングの真の1位はキーエンスでは無いだろうか?
B to Bの会社であって、実力や年収程には知名度は無いかも知れないが、就活生であれば誰でも知っているから今更穴場でも何でもないかも知れない。

しかし、キーエンスの給与水準は思われている以上に凄いのではないだろうか?
初年度で800万、2年目で年収1000万円に到達可能である。30歳では年収2000万円である。総合商社よりも明らかに高く、外コンを上回る水準である。キーエンスに年収で勝てるのは、もはや、外銀しかないというところまで来ているのだ。

仕事がキツイというが、上場していて高度なガバナンスが求められるホワイト企業である。
仕事のキツさでは、外銀・外コンの方が遥かに大変だ。

それにもかかわらず、外銀・外コン、いや、総合商社と比べても内定はキーエンスの方が遥かにもらいやすい。

キーエンスという名前を聞いただけで毛嫌いする学生が多いのかも知れないが、生涯賃金という観点からは、キーエンスこそ狙い目だと思う。