みずほFGの副業解禁と、就活、転職、他の金融機関への影響等について考えてみた

1. みずほFGが2019年度中に副業を解禁へ。人材育成が狙い?

<みずほFGが副業解禁へ。ヤフトピより>
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6325571

みずほファイナンシャルグループは、共同通信のインタビューで、2019年度中に人事制度を改定して、希望した社員の副業や兼業を認める方針を示した。

安倍内閣の、「働き方改革」の一環で、副業解禁が推進されているところであるが、大手金融機関では既に新生銀行が副業を解禁している。今回、みずほFGが副業・兼業を解禁すると、3メガバンクの一角を占めるみずほFGの人事施策であるだけに、他への金融機関への波及も考えられ、それなりにインパクトの大きい話と言えよう。

2. そもそも、みずほFGの社員は恩恵を受けるのか?

まずは、みずほFGが副業・兼業を解禁すれば、従業員はどのような影響を受けるだろうか?待ってましたと言わんばかりに、多くの社員が副業・兼業申請に飛びつくであろうか?

この点については、大半の社員は様子見であろう。
そもそも、副業OKと言われても、金融機関はそれなりに忙しいので、副業をやるような時間や体力が十分にあるとは考えられない。

また、クラウドワークとかランサーズで見つけられるような単純作業は別として、残念ながら既存の社員は稼げるようなスキルを持っていない場合が大半であろう。

本来であれば、プロブロガーのように、ネットを使ってアフィリエイトとかnoteのようなコンテンツ課金が適しているのだろうが、従来、金融機関の場合はインサイダーとか顧客の守秘義務等の規制が厳しいので情報発信は厳格に管理されてきた。
このため、能力の高いエリート社員程、会社からネガティブに受け止められたくないので、ブログ、SNS系の情報発信は強くないし、今後も活動しにくいだろう。

副業を有効活用できれば好ましいのは、40代後半から50代の窓際社員である。こういう人達が副業で稼げるようなると、出向や役職定年を機に、第二の人生にスムーズに移行しやすいのであるが、金融機関の窓際社員はIT、SNSやマーケティングスキルに乏しいという問題点がある。

従って、大半の従業員に対する影響は、少なくとも当分の間は無いであろう。

3. 他の金融機関への影響

何と言っても、3メガバンクのみずほFGが副業・開業を解禁したので、銀行、保険、証券、カード会社等、みずほFGの動きに追随する大手金融機関は存在するだろう。

気になるところは、他のメガバンクである三菱UFJと三井住友の動きである。
これらのいずれかが副業を解禁したとすれば、一気に他のメガバンクや大手金融機関も追随の動きになるかも知れないが、みずほFGは3メガバンクの中で、収益的・資産内容的に他の2行に大きく後れを取っている。

このため、プライドもあるので、他の2メガバンクに追随するかどうかはわからない。
三菱UFJとか三井住友の口の悪い幹部の中には、みずほの副業解禁はリストラ対策だという人達もいる。(もっとも、上述の通り、リストラ要因になるような人達は副業で稼げるスキルを持っていないのだろうが…)

とは言え、みずほFGの従業員数は連結ベースで6万人もいるので、中には、独自のスキルを活かして、フィンテックベンチャーに協力したり、脚光を浴びる者もいるだろう。
そういった従業員は、銀行側もPRをするだろうから、その成功事例を見て、追随する金融機関が増えていく可能性はある。

4. 就活生への人気は出るか?

みずほFGが副業解禁によって期待しているのは、フィンテックやAIの進展の流れの中で、従来の銀行員が持っていないような新規事業創造能力を有する人材を集める、或いは育てることであろう。

既存の従業員が今回の副業解禁によって急に新規事業創造能力を具備することは期待できないであろうから、新卒採用でそういった人材を集めることができるかがカギとなる。

ただ、金融機関は別として、ITネット系の業界であれば副業OKのところは珍しくない。ネット分野で稼ぐ能力を持っているような学生は極々一部に過ぎず、そういった人材は、総合商社とかコンサル業界からも引っ張りだこである。

初年度年収が400万円程度で、リテール配属リスクのあるみずほFGにそういった学生が来るとは考えにくい。そうすると、ネットビジネス周りの事業創造能力を有するような学生は、高い給与体系を用意し、副業を歓迎して別採用でもすれば採れる可能性はあるだろう。
しかし、その場合は他の社員とのバランスが気になるところであり、なかなかそこまでの施策は取りずらいだろう。

以上より、新卒採用におけるインパクトはあまり無さそうである(仮に副業OKが理由で良い学生が採れれば、翌年度から他の大企業も追随するだろうから、いずれにしてもその効果は限定的だろう。)

最後に

みずほFGの副業解禁の話は、それなりのインパクトのある話で、横並び志向の強い大手金融機関は遅かれ早かれ追随するだろう。

ただ、副業解禁がポジティブに機能するかどうかは、従業員側にかかっていそうである。今まで日本の大企業は、長年副業・兼業は厳格に規制してきた歴史があるし、SNS等の情報発信についても業務に関する話は厳しく制限してきたので、面白い副業のネタを持っている大企業のサラリーマンは極々一部に限られるだろう。

また、数少ない副業で稼げるような大企業のサラリーマンは、本業が楽なわけでもないので、副業の方がイケるとなると結局会社を辞めてしまうので、そういった人材を大企業はキープできない。(本来、副業は従業員のための制度であって、会社の利益の制度では無いので、やむを得ないとも言えるが。)

結局、副業を解禁すると、副業で稼げる有能な社員は去ってしまい、特段の創造性や施文スキルの無い自立できない従業員が会社に残ることになってしまうというのは、あまりにもネガティブな見通しであろうか。