青山学院大学経営学部の就職と課題について

1. 青山学院大学経営学部の概要

青山学院大学経営学部の定員は520名。
経営とマーケティングの2学科構成である。
男女比率は、約1:1で、ほぼ男女同数である。

偏差値は60.0~65.0とMARCHの中においては上位に位置し、センター試験利用の場合の得点率は85~87%である。(パスナビ情報)
https://passnavi.evidus.com/search_univ/2260/department.html?department=025

もうひと頑張りすれば、最近話題の立教大学経営学とか、慶應義塾大学の商学部、早稲田大学の商学部に届きそうなレベルである。(もっとも、慶應義塾大学商学部の場合は、試験科目の関係で併願しにくいかも知れないが…)

2. 青山学院大学経営学部の就職について

①青山学院大学経営学部の進路の概要

青山学院大学は学生の進路について、それなりに詳細なデータを提供してくれてはいるが、表になっており、グラフが無いのでなかなか見ずらい。

https://cdn.aoyama.ac.2xx.jp/wp-content/uploads/2019/12/cp_data_2018_2.pdf

進路の概要としては、経営学部の卒業生537名の内、大学院への進学者は6名と非常に少なく、大半が就職をすることとなる。これは私立文系としては一般的な傾向である。

そして、公務員となる者は5名と極めて少なく、就職者の1%程度のシェアしかない。

民間企業の業種においては、情報通信が96人(19.6%)と業種における最大シェアとなった。前年度においては、金融・保険がトップなので、世の中の経済環境に合った方向感となった。

金融・保険は87人(17.8%)、そして、卸・小売りが76人(15.5%)、製造業が74人(15.1%)と続く。

超低金利による収益減少、実店舗や人材の過剰感から、メガバンクが新卒採用者数を削減する中、金融機関のシェアた低下したのは、他の有名私立大学文系(経済・経営系)と同じトレンドだろう。

もっとも、IT、メーカー、小売り、その他サービスとバランス良く分散してきたという見方をすることもできるかも知れない。

②青山学院大学経営学部の就職先企業

青山学院大学の場合、具体的な就職先については学部別に上位20社を開示してくれている。経営学部の場合、3名以上の就職先が開示され、それは以下の通りである。

企業・団体名 人数
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 5
オリエンタルランド 4
サイバーエージェント 4
ニトリホールディングス 4
日本生命 4
野村證券 4
マイナビ 4
楽天 4
アビームコンサルティング 3
イオンクレジットサービス 3
NTTファイナンス 3
オービックビジネスコンサルタント 3
オリックス生命 3
大和証券 3
日本航空 3
みずほ証券 3
三井住友海上火災 3
三菱UFJニコス 3
山崎製パン 3
横浜銀行 3

(青山学院大学公式HPより作成。2018年度卒業生分)

こちらの上位20社だけだと、就職者の14%しかカバーできないので、正確な評価を行うことは難しい。ただ、特定の企業に収集することなく、かなり分散しているので、学生は周りに流されることなく、独自に判断しているとの仮説も成り立ち得る。

まず、言えることとしては、(広義の)金融機関が多いということである。上位20社中、11社が金融機関である。但し、前年度と大きく変わった点としては、メガバンクがトップ20から消えたことである。2017年度においては、みずほFGが1位(10人)、三井住友銀行が2位(7人)であった。

もっとも、野村證券、大和証券、みずほ証券、日本生命、三井住友海上火災などの大手証券、大手生損保は2018年度においても上位就職先となっている。

また、2018年度の特徴としては、イオンクレジットサービス、NTTファイナンス、三菱UFJニコスといった、広義の金融機関が上位に入った点である。メガバンクが採用減を進める中、金融志望の学生が広義の金融機関に対象を拡げて就活を行ったからであろうか。

それから、2018年度の特徴としては、サイバーエージェントと楽天がトップ20に入り、IT大手で存在感を見せたことである。特に、サイバーエージェントは藤田社長が青山学院OBということもあり、来年度以降も継続して青山学院大学経営学部の存在感を示したいところだ。

そして、アビームコンサルティングが2018年度はトップ20社に入った。2017年度は、大量採用をしている総合系コンサルティング・ファームが上位に見られなかったので、経営学部としては悪くない方向だと思う。来年度以降の就職状況も注目される。

3. 青山学院大学経営学部の就職における課題

大学側の開示情報だけでは、卒業生のほんの一部しかカバーできていないので、課題を見つけることも難しい。

大手金融機関や情報通信系の会社が上位にランクインしているので、基本的には他のMARCHと同様で、ある程度の大手企業には就職できそうなことはうかがえる。

ただ、これは、他のMARCHとの共通の課題なのであるが、総合商社の就職者数が少ないのが気になるところである。早稲田・慶應の商学部と比較すると、大学入学時点における偏差値に比して、総合商社における就職者数があまりにも大きい。

2018年度においては、青山学院全体で5大商社への就職者数は15名である。総合職に限ると、更に少なくなると思われる。他方、早慶は軽く100名を超えているので、もう少し増やして少しでも差を縮めたいところだ。

前述の通り、青山学院大学経営学部というと、何といってもサイバーエージェントの藤田晋社長である。学部は法学部であるが、ヤフーの川邉健太郎社長も青山学院である。
このように青山学院というと、ベンチャーに強いというイメージがあるので、経営学部だとこのあたりを攻める学生がもっと増えてもいいのではないかと思われる。その点、2018年度においては、サイバーエージェントと楽天で実績を出しているので、来年度以降も、ここは青山学院の強みとなり得るので重点的に強化したいセクターだ。

そのためには、OB/OGのサポートも求められるが、有名な起業サークルあたりが育っていけば面白いのではないかと思われる。明治大学のように、特に大企業への就職力を上げるべくサポートするという戦略もあるが、ベンチャー起業を支援に重点を置いてもいいのではないだろうか。

それから、ここ数年の課題として、メガバンクが新卒採用者数を抑制する中、金融機関志望者がどこを狙うかということだ。信託、地銀、政府系金融機関にシフトするのか、証券、生損保、カード系にするのか?あるいは、志望業種をITとか他のサービス業に変えるのか?このあたりは、学生は幅広く企業研究とOB/OG訪問によって、企業選択の幅を拡げることが重要だと思われる。

 

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