1. 外資系金融というと、とにかく派手な生活なイメージは強いが…
外銀や外資系運用会社の給与水準は高く、国内系大手企業の数倍はあることは知られている。そして、ストレス解消もあるのかも知れないが、高給を貯めこむというよりも、派手に使うイメージがある。
六本木ヒルズとかミッドタウン等の港区のタワマンに住んで、フェラーリとかランボルギーニ(ベンツやポルシェでは面白くない)に乗って、ミシュラン☆付レストランや麻布のワインバーで高級ワインを飲むイメージである。
当然、接待なんかも凄くて、銀座の高級クラブで接待したりするんだろうなあと想像されても仕方が無いかも知れない。
しかし、意外かも知れないが、外資系金融機関の接待は、節度があるもので、国内系大手企業のそれと大して違いが無いのが実態なのだ…
2. 外資系金融と言っても規制業種である
本当は、やれるものなら派手な接待をやりたいのかも知れないが、忘れてはならないのは外資系金融機関といっても、金融長官監督下の典型的な規制業種である。また、国内だけでなく、親会社もそれぞれ本国で厳しい規制・監督を受けているのである。
このため、業界統一的なグローバル・ルール的なものが存在するし、日本国内においても接待に関する業界慣行的な基準がある。
また、外資系金融は給与水準は高いかも知れないが、収益・管理会計には厳しいので、コスト管理はそれなりにキッチリ行わざるを得ない。何故なら、多くの外資系金融機関の親会社は上場しているので、それなりの経費に関するコントロールがなされているからだ。
更に、接待の受け手側の事情もある。外資系金融のクライアントは国内の大手の金融機関とか事業会社なので、接待を受ける側にもそれなりの社内的な管理があって、あまりにも高額な接待を何度も受けていると、社内的・人事的に良くない評判が起ち、評価が下げられるリスクもあるからだ。
3. 200ドル/250ドルルールとは?
外資系金融の人であればピンと来ると思われるが、法令ではないが、業界基準として、「200/250ドルルール」というのがある。
これは、接待をする場合において、一回、一人当たりの接待の金額を200/250ドル以下にしなければならないという社内ルールである。
200/250ドルというと、一人あたり2万円強なので、そこそこな気もするが、中止しなければならないのは、「一軒あたり」ではなく「一回あたり」の金額である。
要するに、二次会、三次会と行けば、それらを足し算して「200/250ドル」以内に収めないと行けないので、通常これだと一次会しかカバーできない。
それでは、200/250ドルを超えてしまうとどうなるのかというと、営業部門長とコンプライアンス部門から承認を取らないといけないのだ。
それでは、承認を取ればいいではないかということだが、一人当たりの金額が7~8万円レベルになると1回だけなら可能かも知れないが、それが続くと「ちょっと待った」ということになる。
銀座の高級クラブの場合だと、一人当たり最低5万円~、豪遊すると余裕で一人当たり10万円を超えるので、このクラスの接待は外資国内関係なく金融機関としては厳しいのだ。
4. 銀座の高級クラブに行けることを楽しみにしている学生には残念かも知れないが…
過剰接待の抑制という流れは、金融機関に限った話ではないようだ。
実は、昔から派手な接待をしていたのは製薬業界であることが知られている。しかし、不祥事等が起こるたびに、業界ルール的なものが厳格化し、今では製薬業界の医師に対する接待も難しくなったという。
5. 銀座が好きな人は起業して経営者を目指そう!
そもそも大企業の場合、税法上、交際費の損金不算入という制度があるため、交際費の使い過ぎは余り賢明ではない。
しかし、中小企業、個人経営企業の場合は、ある程度交際費を使うことが可能である。
従って、銀座で派手に飲みたいという憧れが強い学生は、外銀とか外コンではなく、起業して経営者を目指せばいいのではないだろうか?
もっとも、IPOをしてしまうと内部統制云々と言われてしまうので、IPOを目指してはいけない。また、VCからのお金で回している段階で、派手に銀座での費用を経費とすることは許されないだろう。
となると、VCを入れず、IPOを目指さなくてもやっていける、キャッシュフローを稼げるようなビジネスを起ち上げなければならない。そのためには、むやみに規模を追求するのではなく、自分一人で売り上げを作って行けるビジネスを追求していけばいいのだろう。
あまりにも優秀層が外銀・外コンばかりに行くので、もう少し、起業に流れる学生が増えてもいいのではないだろうか?