外銀・外コン等の民間企業志望者が法学部に進学する意味

1. 東大の文1、文2の逆転の背景

<東大の文1と文2の逆転と、進路、就活への影響>
https://career21.jp/2019-05-09-100053

2019年度の東大の入試で初めて、東大の文2が文1を、合格最高点、合格最低点、合格者平均点の全てで上回ったという。

これの原因・背景としては、弁護士や官僚の人気が低下したからだという。

東大の法学部の場合には、特に、伝統的に司法試験や国家公務員試験を受ける者が多く、長らく、弁護士>官僚>民間企業、という序列があった。このため、灘、開成、筑駒といった超進学校の生徒からすると、本当は法学部を志向していなくても、ステータス的により難関とされる文1を受けざるを得ない事情があったとも言われている。

しかし、難易度において、文2>文1ということが定着すると、最初から弁護士や官僚になりたいケースを除くと、わざわざ文1を受験する必要はなくなる。

伝統的に、法学部が看板学部である東大にそのような変化が生じると、もともと法学部が看板学部とは限らない大学の場合において、民間企業を志望する者にとっては、法学部に敢えて進学する理由は何かということになる。

2. 民間企業志望者が法学部に進学するデメリット

外銀、外コン、総合商社といった人気・難関の民間企業への就職を希望する学生にとって、法学部に進学するデメリットというのはあるのだろうか?

別に、経済学部とか商学部が、民間企業就職のサポートをしてくれたり、英語のサポートをしてくれるわけでなければ、経済/商学部でも、法学部でもどちらでも違いが無いという考えもある。

しかし、一般的に、法学部(法律学科に限る)の方が、専門科目の単位取得に掛かる労力がかかるため、就活に対する準備の自由度という観点からは、経済学部や商学部系の方が良さそうだ。特に、東大の法学部は法律系科目の単位取得の難易度が高いという。

また、最初から、外銀・外コン・総合商社への志望者の比率が高い経済/商学部系の学部の方にいる方が、情報交換・切磋琢磨という観点から、周りに法科大学院や国家公務員総合職の準備をしている学生の比率が高い法学部よりも、何かと便利であろう。

例えば、京都大学、一橋大学、早稲田大学の場合、外銀・外コン・総合商社等の高難易度企業への就職者の比率は、法学部よりも、経済系の学部の方が高いと思われる。

3. 民間企業への就職希望者が法学部に進学するメリットはあるか?

では、反対に、民間企業への就職希望者が敢えて法学部に進学するメリットはあるのだろうか?

まず、考えられるのは、法学部に進学すると、弁護士(法科大学院/予備試験)の途を選択できるオプションがあるということだ。すなわち、法学部か経済系の学部にするかを選択するのは高校生の段階だ。高校生の段階では、漠然と弁護士という職業への憧れがあるが、何が何でも弁護士になると意思を固めているというケースは多くないかもしれない。

そのような場合は、一旦法学部に行っておくと、弁護士を目指すこともできるし、やってみてダメそうであれば民間企業就職にも切り替えることができるのである。

もちろん、経済系の学部から弁護士の途を考えるというのも出来なくはないが、効率が悪いので、弁護士に強い関心があるのであれば最初から法学部に行った方が良いだろう。

実際、慶應大学法学部(法律学科)とか一橋大学法学部の学生と話したところ、法学部内には法科大学院を目指すか民間企業就職に絞るか、決めきれていない学生も相当数いるという。

その他のメリットとして、法律系の科目を一生懸命勉強して(金商法、商法、知的財産法等)、法律の詳しさを武器とすることも考えられるが、これはどうだろうか?

これについては残念ながらあまりお勧めできない。というのは、ただでさえ、弁護士は余剰気味になっているので、資格者(弁護士)>非弁護士、というのが明らかな企業法務の世界で、大学の法学部で一生懸命法律を勉強しましたという程度では大した差別化にはならないからだ。

4. 経団連の就活ルール廃止後は、入学後早期の就活対策が必要になると思われるが…

いわゆる経団連の就活ルールが廃止となる。それ以降は、実質的な就活準備の開始時期が前倒しになると考えられる。そうなると、法学部に入学後、中途半端に法科大学院進学のための専門学校通い等に足を踏み入れてしまうと、途中で、就活に転換しようとしても間に合わなくなってしまうというリスクもある。

特に、人気企業では英語力が求められるところ、英語力の向上は短期間ではできないので、この点は元法科大学院志望の法学部生にとっては厳しいところである。

高校生の段階で、将来の進路を決めてしまうことは難しいが、中途半端に弁護士への憧れを持って法学部を選んでしまうと、何かと不便なことが多いかも知れない。

法学部と経済/商学部系とで、就職格差が開くと、入学段階の偏差値にも反映されるだろう。
もっとも、就活だけにフォーカスをするのであれば、国際系の学部がいいのかも知れないが…。