1. 立教大学経済学部の概要
立教大学経済学部の定員は680名。
経済、経済政策、会計ファイナンスの3学科構成である。
2019年入学生については、約3:2で男子学生の割合が高い。
2. 立教大学経営学部との比較
同じ立教大学のビジネス系の学部の中で、新設の立教大学経営学部が注目を集めている。
立教大学経営学部は、独自のビジネス・リーダーシップ・プログラムを提供したり、英語力を上達させるためのプログラムにおいて充実している。
http://cob.rikkyo.ac.jp/blp/about.html
難易度についても、パスナビによると、立教大学経済学部の偏差値が60.0~62.5であるのに対して、立教大学経営学部は62.5~65.0と1ランク上となっている。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/3160/campus.html
これぐらいのランクの違いであれば、頑張って経営学部に行きたいところであるが、専攻分野が経済学と経営学という違いがある。
また、立教大学経営学部は手取り足取り指導をしてもらえるのだが、反面、自分の自由にできる時間が限定されるという問題点もある。
したがって、必ずしも、経営学部が経済学部の上位に位置するわけではない。
この点、就職においてどのような違いがあるのかが、学部選択の際に重要な判断基準となるだろう。
3. 立教大学経済学部の就職について
①立教大学経済学部の就職の概要
立教大学の場合、学部毎に就職先企業の上位30社までは社名を開示してくれている。
しかし、それぞれの企業に何人就職したかについてまでは開示されていないので、詳細な就職力を分析することは難しい。
https://www.rikkyo.ac.jp/about/disclosure/career/
立教大学経済学部の場合、業種別で見ると、以下の様なシェアとなっている。
金融・保険 23.1%
情報 16.9%
製造業 14.5%
サービス 13.0%
卸・小売り 9.2%
なお、公務員となる者の割合は5.4%であり、一般的に経済系の学部にありがちであるが、公務員志望者の比率は高くない。
②立教大学経済学部の具体的な就職先について
大学の公式HPを基に、就職先上位30社を並べてみると、以下の通りである。(2018年度卒業生)。
あいおいニッセイ同和損害保険 |
三菱UFJ銀行 |
東京都特別区 |
三井住友信託銀行 |
大和証券 |
三井住友銀行 |
三菱UFJ信託銀行 |
KDDI |
国歌公務員一般職 |
東京都庁 |
SMBC日興証券 |
みずほFG |
りそなグループ |
日本生命 |
三井住友ファイナンス&リース |
日本IBM |
パーソルキャリア |
全日本空輸 |
キーエンス |
野村證券 |
みずほ証券 |
千葉銀行 |
三菱UFJニコス |
オリエントコーポレーション |
日立キャピタル |
東京海上日動あんしん生命保険 |
三井住友海上火災保険 |
EY新日本有限責任監査法人 |
NTTドコモ |
千葉県庁 |
(出所:立教大学HP 「就職・進学データ」より外資系金融キャリア研究所作成)
③立教大学経済学部の就職における特徴
まず、最大の特徴は金融・保険が目立つということである。
金融・保険が23.1%のシェアで最大なので、これは当然かも知れないが、上位には、
3メガバンク、りそなグループ、2大信託銀行、大手証券会社(野村、大和、SMBC日興、みずほ)、大手生保(日本生命、東京海上日動あんしん生命)、大手損保(三井住友海上火災、あいおいニッセイ同和損害保険)が入っている。
もっとも、2017年度においては、金融・保険のシェアは30%以上減っているので、前年比においては大幅に減少している。
他方、三菱UFJニコス、オリエントコーポレーション、日立キャピタルという、2017年度にはランクに入っていなかった、リース、カード等の金融系の企業がランクインしている。
超低金利や実店舗の余剰化、証券会社の手数料ゼロ化問題等を考えると、今後は大手金融機関に入るのは難しくなる可能性があるので、この点、就活における業種・企業選びを慎重に考える必要があろう。
それから、情報セクターが2番目のシェアであるが、上位就職先企業30社を見ると、ランキングに入っているのは、KDDIとNTTドコモ位である。比較的小規模な情報系の企業に分散している可能性があるがこの点はよくわからない。
なお、2017年度においては、アクセンチュアとアビームコンサルティングが上位就職先企業に入っていたが、2018年度においては見られなくなった。
総合系コンサルティング・ファームについては、近年の採用過多による供給増が懸念されるが、依然として人気企業であるので、この点は若干寂しい気もする。
4. 立教大学経営学部の就職状況について
立教大学経営学部の上位就職先企業30社については、以下の通りである。
日立製作所 |
ソフトバンク |
三井住友海上火災保険 |
アビームコンサルティング |
日本IBM |
凸版印刷 |
東京海上日動火災保険 |
アクセンチュア |
三菱UFJ信託銀行 |
三菱UFJ銀行 |
パナソニック |
ジョンソン・エンド・ジョンソン |
大日本印刷 |
双日 |
阪和興業 |
オリックス |
日本航空 |
全日本空輸 |
首都高速道路 |
ADKホールディングス |
伊藤忠テクノソリューションズ |
NECソリューションイノベータ |
富士ソフト |
損害保険ジャパン日本興亜 |
オンワード樫山 |
有限責任監査法人トーマツ |
シグマクシス |
エイチ・アイ・エス |
特定非営利活動法人UMINARI |
三菱商事 |
(出所:立教大学HP 「就職・進学データ」より外資系金融キャリア研究所作成)
立教大学経営学部の就職先の特徴は、全般的に業種分散していることである。
その中では、金融・保険の比率が低く11.1%と、経済学部のシェアの半分もない。
反対に、製造業の比率が22.8%とかなり高くなっている。例えば、ランキングの中では、日本IBM、ジョンソンエンドジョンソン、パナソニックといったグローバル系製造業が見られる。
また、立教大学経営学部の就職先企業を見ると、難度の高い企業がちらほらと見られる。
例えば、三菱商事、双日という総合商社、アクセンチュア、アビームコンサルティング、シグマクシスといった総合系コンサルティング・ファーム、ADKホールディングといったところである。
立教大学経営学部の場合は、「リーダーシップ」と「グローバル」を武器に、戦略的なキャリア戦略と企業選びをしているように思われる。
5. 立教大学経済学部の就職における課題
立教大学経済学部の就職における一般的な課題としては、自分自身で、就活における武器、スペック上げを図ることができるかである。
経営学部の場合は、ビジネス・リーダーシップ・プログラムにおける企業分析能力やリーダーシップ形成、そして、英語力の強化がカリキュラム上、成長できる設計となっている。
他方、経済学部の場合には、自ら短期留学とかTOEICスコア上げの勉強をしないと英語力は強化できない。また、経済学部で学ぶ経済理論は必ずしも実務的に使えるものとは限らないので、簿記2級とか証券アナリスト試験(CMA)を自ら取得していく必要がある。
そうでないと、ありがちな、バイト、ゼミ、サークルだけの学生となってしまい、今後、新卒採用者数が削減されていくとなると、競争力を発揮できない。
もっとも、立教大学経済学部の場合は、経営学部程には大学に拘束されないので、自分が好きな分野にフォーカスすることが可能だ。
例えば、インターネット系のベンチャー企業で長期のアルバイトをしたり、学生の起業サークルに入ってみるとか、いろいろな切り口はある。
立教大学経済学部はMARCHの中では列記とした上位学部なので、それなりに大手企業であればどこかに就職できるかも知れないが、長期的なキャリア形成で成功者になりたければ何らかの専門性や強みを磨いておきたいところだ。