1. 法政大学国際文化学部の概要
法政大学国際文化学部は、1999年設置の比較的新しい学部である。
国際学部ブームの流れに乗って設置されたものと思料されるが、偏差値・難易度的に法政の中でトップの学部に成長しており、大学側の目論見は成功したものと考えられる。
実際、2019年の入試については、偏差値はパスナビ情報によると60.0~62.5と法政大学の中でも上位学部に位置していることがうかがえる。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/3050/department.html?department=020
定員は249名で、国際文化学科の1学科体制である。もっとも、情報文化コース、表象文化コース、言語文化コース、国際社会コースと専攻分野に応じて4コース体制となっている。
規模的には、東京の有名私立大学の中では、かなり小規模であり、勉強し易い環境にあると言えよう。
男女比率については、2019年の場合、1:2と女子学生の比率が高い。2018年と比べると、若干、男子比率が上昇した。国際系の学部の特徴として、女子の比率が高いことがあげられるが、法政大学の国際文化学部のその中でも特に女性比率が高い。
2. 法政大学国際文化学部の就職について
① 法政大学国際文化学部の進路の概要
2018年度の国際文化学部の卒業生のうち、大学院に進学する者の割合は2.4%である。
ICUとか国際教養大学など、国際系の学部の場合、海外留学や大学院進学者の割合が高い場合もあるが、法政の場合にはそれほど進学比率が高いわけではない。
公務員になる者の割合も2.4%と低く、ほとんどの学生は民間企業に就職している。
業種別でみると、サービスが17.3%と最大で、続いて、製造業が13.9%、情報・通信が13.0%、卸・小売りが12.5%、運輸・郵便が10.6%、金融が10.1%となっている。
東京や関西の有名私立大学の場合は、金融・保険の比率が高いのが特徴だが、法政大学国際文化学部の場合には、金融の比率は低く、バランスよく分散しているのが特徴であろう。
また、業種別でみると、運輸・郵便の比率が高いのが特色と言えるだろう。
https://www.hosei.ac.jp/careercenter/riyo/syushoku/jhokyo/kokusai.html
② 法政大学国際文化学部の就職先について
一番気になるところが、具体的にどういった企業にどれくらい就職したかである。
しかし、残念ながら、法政大学国際文化学部については、主な企業名が記載されているだけで企業毎の就職者数が開示されていない。このため、ある程度の傾向はつかめるかも知れないが、厳密な分析は難しい。
大学公式HPで紹介されている企業は以下の通りである。
清水建設、本田技研工業、キーエンス、凸版印刷、東芝、小松製作所、三菱UFJ銀行、明治安田生命保険、野村證券、ジェーシービー、全日本空輸、JALスカイ、JTBグローバルマーケティング&トラベル、ANAエアポートサービス、NTTドコモ、LINE、KDDI、ヤフー、日本ユニシス、日本アイ・ビー・エム、JTBグループ、エイチ・アイ・エス、東武トップツアーズ、日本旅行
(出所:法政大学公式HPより作成)
上記の企業数は24社である。1企業当たり1名とすると、上記の企業によるシェアは十数%程度にしかならない。これば、アイウエオ順ではないため、就職者数が多い順番で並んでいるものと思料されるが、各社の就職者数はよくわからない。おそらく、ロングテール型で、多くの就職先企業に分散されているのだろう。
特徴としては、何と言っても、運輸・旅行系の業種が多いことである。JAL、ANA、JTBのグループ会社、東武トップツアーズ、日本旅行などに就職している。国際文化学部は女子比率が高く、CA志望者もいるようであるが、就職者の状況等は大学側の開示情報からはわからない。
また、キーエンスとかヤフーといった難易度の高い会社への就職実績も注目される。
少々意外なのは、国際系学部ということで、外資系企業や総合商社への就職者が多いかと思ったが、外資メーカーは見当たらず、商社も前年度は双日が見られたが2018年度においては見当たらない。このあたりの学生の狙いはよくわからない。
3. 法政大学国際文化学部の就職の課題について
まず、全般的な課題として公式HPで紹介されているような企業への就職先への就職者の比率を増やすことだろう。例えば、東洋経済が時々ランキングを発表している「有名企業400社への就職率」ランキングをベンチマークにすることだろう。
https://toyokeizai.net/articles/-/301227
就職先は人それぞれだから就職先が大手でなくとも構わないと、大学側が開き直ることはできない。それだと、良い学生が入学してくれなくなるからだ。
この点、MARCHでは青山学院大学がトップで30.1%の就職率となっている。
法政大学全体では21.9%となっているので、国際文化学部では青学を超えることを一つの指標とすると良いだろう。
また、国際系の学部であるにも関わらず、それほど国際性が感じ取れない。
一般的に難易度は高いかも知れないが、商社や外資系メーカーなどの就職支援体制を強化し、結果を出せばアピールできるのではないだろうか。
さらに、法政大学国際文化学部の場合には女子学生の割合が高いので、女性が好む、或いは女性が強い企業への就職者を増やすなどすると、独自性をより発揮できるであろう。
今後も、企業のグローバル人材に対する需要は強いだろうから、就職力をさらに高めることは十分可能であろう。