就活における外資系金融の異常な難化、原因と対応策

1. 新卒採用において外資系金融の難化がエスカレートしてきた

① もともと外資系金融の難易度は極めて高いが…

ゴールドマン・サックスやJPモルガンなどの外銀は、東大や慶応の学生を中心に、文系のトップ学生を中心に人気が高く、採用人数が業界全体でも数百人程度と限られているため、その難易度は極めて高い。

② IBDやグローバル・マーケッツ志望者がオペレーションに流れる?

ところが、最近は外資系金融難化の傾向に拍車がかかっている模様だ。
というのは、IBDとかグローバル・マーケッツといったいわゆるフロント部門と、オペレーションやファイナンス(経理)、コンプライアンスといった(ミドル)バックオフィスとでは入社後の給与水準が全く異なるため、併願の対象にはならないはずである。

しかし、フロント部門から内定を取るのがあまりにも厳しいため、「とりあえず外資なら何でもいい」とか「入社してからフロント部門に異動することも可能」と考えて、オペレーションにもフロント志望者が流れてきているようだ。

例えば、ゴールドマン・サックスのオペレーション部門というのが新卒採用をやっており、勤務地がシンガポールという不便さがあり、初任給もフロントより劣るにも関わらず、本来のフロント志望者が押し寄せてきているという。

③ 外銀(証券会社)からの流入によりバイサイド(アセマネ)も超難化?

外銀内のフロント⇒バックだけでは吸収しきれないのか、外資系(バイサイド)にも外銀志望者が押し寄せてきているようだ。

外資系金融と言っても、バイサイド(アセマネ、運用会社)の場合は、相対的に小規模な組織であり新卒は例外的なので外銀のような教育体制が整っていない。また、給与水準も外銀よりは落ちるし、若い間はあまりすることが無いので、新卒ではマイナーな存在だったのだが、とにかく外銀が難化しているので、そこから外資のバイサイドにも大量に流れてくるようだ。

そもそも、外資のバイサイドなんて数社しか採用していないし、1社あたりの採用数は数名だ。外資のバイサイドの人に最近聞いた話では、新卒開始と同時に数百通のレジュメが集まり、人事の人もびっくりしているようだ。

採用者側からするとよりどりみどりで嬉しい話かもしれない。大学は東大で悪くとも京大。そして、留学経験者とか帰国子女がごろごろいるので、TOEICがどうこう以前に、普通にネイティブレベルの英語力、中には、中国語もしゃべれる候補者も珍しくない。

当然、その他のスペックも高く、体育会で全国大会に出たとか、数学オリンピックでメダルを取ったとか、楽器がプロ級だとかも珍しくなく、性格も社交的で話し上手が多いという。
リクナビとかワンキャリとかのESサンプルじゃないが、バイト、サークル、ゼミの幹事で云々なんていう候補者はいない(というか、いても目にとまらない。)。

2. 外資系金融が異常に難化してきている事情

何で、ここまで外資系金融人気が難化してきているのだろうか?
今、学生から外資系金融に行きたいと相談されたら、「内定を取れる可能性は低いから、あまり期待せずに、他もあたれ。」と言わざるを得ない。
近年の難化の原因としては、以下のものが考えられる。

① 弁護士(法曹)の人気の低下に伴う法学部の優秀層の流入

象徴的な出来事は、2019/3の東大入試における文1と文2の難易度逆転である。
https://career21.jp/2019-05-09-100053

東大法学部が典型的であるが、法学部の上位層は司法試験(法科大学院)に流れていたのだが、弁護士数の急増に伴う弁護士の魅力の低下が徐々に浸透し、法学部の優秀層が外銀や外コンに参入してくるようになったため、難易度が上がったということである。

もっとも、法曹・法学部の地位の低下というのは既に知られた話であり、これだけでは、近年の外銀の難化を説明できないだろう。

② 商社人気の低下

これは仮説であるが、商社人気も収まってきたので、国内系企業の中では最もハイスペックな学生が集まる商社から外銀に流れたという見方である。
従来は、外銀・外コンの内定を手にして三菱商事の内定をもらう。そして、外銀と総合商社で悩んだ結果、最後は何故か総合商社を選ぶというのが一つのパターンであった。
ところが、よくよく考えてみると、これはあまり理に適った選択とは思えず、商社よりも外銀という考えに代わってきたのかも知れない。
https://career21.jp/2018-11-27-123426

もっとも、ブランド志向・偏差値志向が強い、外銀内定者が外銀を蹴ってまで行きたい商社は三菱商事かせいぜい三井物産までであろう。また、昔から外銀と総合商社は併願するケースが多かったので、これだけでは外銀難化を説明できないだろう。

③ ベンチャー企業で行きたいところが無い

実は、5年以上前には、DeNAとかグリーといった大手ベンチャー系企業に東大からも何十人と就職した時期があった。ところが、その後の話はご存じであろうが、DeNA、グリー、mixiといった既上場の大手ベンチャー企業は長期低落傾向にあり、今では、ハイスペックな学生は、この手の既上場の大手ベンチャー企業を追わなくなった。

LINE、ZOZOといったそれなりに勢いのあるベンチャー企業もあるが、給与の点等においてハイスペック学生からすると候補には上がらないのだろう。メルカリなら、多少フレキシブルかも知れないが、未だに米国事業が足を引っ張っており、外銀を諦めてまでメルカリに行こうという学生はあまりいないのかも知れない。

もっとも、自ら起業をしようという学生ならともかく、既存の出来上がった大手ベンチャーに行こうという学生が外銀に流れたところで、それほど難化するとは限らないので、これだけの理由では外銀の難化は説明しにくい。

以上のように、単独の理由だけでは外銀の難化を十分には説明できないが、少なくとも、外銀と同じくらいの魅力がある業種・職種が見当たらないということは言えるだろう。

3. 外資系金融が異常に難化している現状において就活生が考えておきたいこと

① それでもどうしても外資系金融に行きたければ相応の準備をすること

ハイスペックな学生ばかりが集まる厳しい戦いなので、真剣に内定が欲しければ最低限の準備をしないと門前払いになってしまう。

必要なことは英語力であり、最低でもTOEIC860は欲しいところだ。もちろん、英語力の上手い下手で勝敗が分かれる訳ではないが、英語すら準備ができないようでは厳しい。

また、金融に関する知識・関心を高めることも必須である。ファイナンスの学習は当然として、IBDであれば「気になったM&Aのディールを10個上げよ」と聞かれても対応できるように日頃から関心を持つ必要がある。トレーダーやリサーチ志望の場合には、「今年の日経平均の高値・安値、理由」と聞かれて自分なりの回答ができるように、自分で少額の株式投資を始めるなどして相場観を磨いておくことが必要である。

そして、これが重要なのだが、プレゼン能力が重要である。これは自分ではわからないので、大学の卒業生で外銀にいったような人たちに見てもらうのが望ましい。連帯感が強い慶応大学などでは、このような自主ゼミが行われているという。

② 金融機関以外のキャリアプランも十分に練っておくこと

外資金融は異常に難しくなっているので、あまり期待し過ぎない方が良いということだが、更に追い打ちをかけるようで申し訳ないが、国内系証券会社の専門職コースも滑り止めにはならないと考えた方がよい。

具体的には、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券のIBDとかグローバル・マーケッツであるが、こういったところは各社10~20人といった人数しか採用しないので、とても外銀落ちのハイスペック学生を吸収しきれないということである。

そうなると、真面目に外銀の対策を立ててきて、国内系の専門職コースまで落ちてしまって、総合職でリテール営業などやってられないであろう。(もっとも、専門職コースと総合職との併願ができなくなってきているので、このパターンは現実的ではないが)

このため、他のキャリアプランも十分に練っておく必要がある。例えば、総合商社(双日、豊田通商含む)、総合系コンサル、国内系運用会社の総合職(いわゆる狭義のリテール営業が無いから)あたりだろうか?

ベンチャーに切り替えるのも面白いのだが、金融機関やコンサル向けの対策を立てていては時間的・体力的にベンチャーの準備をする余力は無いかも知れないが…

いずれにせよ、単なる大手ではなく、本当の難関企業から内定を取ろうと思えば、大学入学早々準備を始めざるを得ない。