1. 金融以外の選択肢を見つけるのが難しい文系の就職
文系の学生の場合、金融機関以外の就職先を見つけるのは難しい。
まず、金融機関とメーカーとの間には、大きな給与格差があるので、これを気にする学生は多い。
そして、「給料よりも仕事のやりがいを優先したい!」と考えても、日本の企業の場合、文系については総合職という一括りで一括採用する会社がほとんだ。
すなわち、企画、購買、生産管理、営業、新規事業開発、人事、経理・財務、法務・知的財産他、どの職種を担当させてもらえるのかは入社後に決まってしまうのである。
これだと、興味のある業界・企業までは選べても、職種が一切選べないとなると、リスクが高い。さらに、日本の会社の場合、勤務地ですら入ってからのお楽しみである。
日本企業の場合、現状では人材市場の流動性がメーカーの場合はまだまだ低く、転職によってキャリアを発展させることは難しい場合もある。
以上のような状況にあるため、金融機関は先行き不安だし、リテール業務は正直やりたくないと思っても、なかなかメーカーで良さそうなところを見つけることは容易ではない。
2. 新卒段階において職種別の採用をしてくれる資生堂
もともと化粧品のトップ企業であり、企業イメージの良い資生堂であるが、2018/12期の業績は良好で営業利益は1083億円と過去最高を更新した。しわ取りクリームが売れているということは有名だが、収益性の高いプレステージブランドが好調であり、アジアでのビジネス拡大の余地がまだまだありそうである。
男子学生からすると、そのプロダクトにはあまり興味を持てないかも知れないが、ブランドやPR戦略に関わってみたいという学生もいることだろう。
或いは、マーケティングではなく、グローバル企業で財務・経理をやってみたいという場合には、ファイナンスコースも選択できるようになっている。
<資生堂の新卒採用と募集職種>
https://www.shiseidogroup.jp/saiyo/work/
ひょっとしたら、金融機関の総合職でリテール営業に就くよりも、資生堂のような優良グローバル企業で何らかの専門スキルを習得した方が将来性はあるかも知れないのである。
3. 資生堂の年収について
① 資生堂の給与等に関する全体観
資生堂というと、進歩的で新しいことを手掛ける企業のようにも見えるが、人事面についてはかなり年功序列的色彩が強い。40歳位で管理職になるまでは、かなりの横並びであり、
顕著なスピード出世やボーナス格差はほとんど見られないという。
給与水準については、近年業績は好調でボーナス水準は悪くないが、基本給は低く、結局、残業代とボーナスで稼ぐというモデルである。
そして、トータル年収のレベル感も、大手金融機関の7掛けあるかどうかという水準である。メーカーとしてはまずまずかも知れないが、見た目の企業イメージ程は良くないようだ。
② 資生堂の入社年次と給与の推移
初年度の年収は400万円程度である。ここからの給与の上昇速度は遅く、3年目で500万円に行けばいい方で、5年目の20代後半でも年収600万円に届くかどうかである。
30歳の時点でようやく600万円代くらいである。
入社10年次の32歳位で年収700万円位で、30代は700~850万円位で1000万円はまだまだ遠い。
早ければ40歳手前位で管理職になれるが、それは一部の社員のみである。管理職になるとようやく年収1000万円位となり、課長の場合は年収1000~1200万円位である。
部長になれば年収1500万円以上も可能という。
最近では、スペシャリストの採用を社外から積極的に行っているようであり、外部からの中途採用組が生え抜き社員よりももらっているのではないかという話もある。
4. 資生堂の中途採用について
<資生堂>
https://hrmos.co/pages/shiseido/jobs
SCM、マーケティング、デジタル・マーケティング、R&D、クリエイティブと、まさにコアな職種を広く中途採用で探しているというのは意外な気もする。生え抜き社員にこういったスキルを有する人が十分いそうだからである。
これを見ると、デジタル・マーケティング、要するにSNSとかWebマーケティングであるが、業種を問わず、このデジタル・フォーメーションとかネット・IT周りの人材に対する需要が強いことがよくわかる。
総合系ファームででも、IT、デジタル・フォーメーション周りのプロジェクトに参画できれば、その後のキャリアは大変明るいものとなりそうである。
反対に、人事、経理・財務、法務あたりの文系定番バックオフィス業務については、それほどポジションは無さそうである。
まとめ
非金融機関を対象とすると、資生堂はイメージ、業績、職種別採用からメーカーの中では魅力的な企業であると考えられる。
しかし、年俸水準等を聞いてみると、やはり大手金融機関との差は存在するので、この点が気になるところである。
資生堂の場合には、コア領域についても積極的に中途採用を手掛けており、十分な専門スキルがある者については生え抜き社員よりも厚遇されているのではという話も聞く。
マーケティングの中でも、デジタル・マーケティングというネット・SNS周りについては、業種を問わず、多くの企業が求めているようであり、この領域についてのスキルを取得できると業種を超えて転職することも可能なようだ。
金融機関志望の学生が、すぐに志望変更しても、内定を取るのは容易ではなさそうだ。