中央大学国際情報学部の就職と課題について

1. 倍率は61倍!好調なスタートを切った中央大学国際情報学部

2019.5.13号のアエラで取り上げられていたが、中央大学の新設の国際系学部、国際情報学部の初年度の入試の倍率が61倍ということで、予想以上の人気を集めているようだ。

入試の競争率だけからは難易度を判断できないが、パスナビ調べによると偏差値(62.5~65.0)となっており、初回から看板学部である法学部レベルになっている。https://passnavi.evidus.com/search_univ/2680/department.html?department=040

なお、男女比率は、54:46と若干男子学生の比率が高い。しかし、法学部や商学部と比較すると、相対的に男子学生の比率は低い。国際情報学部は、女子学生からも人気が高いということであろうか。

2. 各大学で看板学部にもなっている国際系学部の就職はいいのか?

前述のアエラによると、国際系の学部というと、ICU、国際教養大学、上智大学、立命館大学アジア太平洋大学、早稲田大学が「グローバル5」と呼ばれているようだ。

その中で、国際教養大学の就職の良さは各メディアで取り上げられており、早稲田大学の国際教養学部も就職は良好のようである。

<国際教養大学と就職>
https://career21.jp/2019-03-01-064815

<早稲田大学国際教養学部と就職>
https://career21.jp/2019-02-19-064858

他方、ICUや上智大学の場合には、偏差値・入試難易度を考慮すると、そこまで就職力が強いとは言い切れないのではないだろうか?もちろん、これは、学生が就職偏差値を意識した就活をしないのかも知れないが…。

<ICUと就職>
https://career21.jp/2019-01-25-073331

そこで、中央大学国際情報学部の場合は新設学部なのでまだ就職実績は無いが、どのような就活を展開すべきかについて検討したい。

3. まず、英語力は確実に習得したい。

中央大学国際情報学部の公式HPを見ると、IT×IT法律×グローバル教養を学びの軸としているようだ。
https://www.chuo-u.ac.jp/admission/global_f/itl/

これ自体は、ユニークだし問題無いのだが、気になるところが英語のカリキュラムである。
2年次後期の国際情報演習において「ICT留学」「国際ICTインターンシップ」という記載があるが、それ以外に英語教育の特徴が見られない。

ICU、国際教養大学、早稲田の国際教養学部のように、大半の授業を英語で行うので、否が応でも卒業時にはTOEIC900超えというわけではなさそうである。

しかし、就活においては英語力というのは極めて他の学生との差別化要因にもなるし、企業側もグローバル人材としての最低限の条件ということで、英語力は気になるところである。

せっかく、「国際」系の学部に入学したのであるから、留学等の機会をフル活用して最低でもTOEIC800以上は早期に確保しておきたい。

4. 大学の授業だけで競争力のあるスキルが身に付くわけではない

カリキュラムの軸として、情報系(プログラミング基礎等)、情報法、グローバル教養があるが、これらは大変魅力的であり、就活においてもプラスに作用するだろう。

もっとも、悪く言うと、浅く広くということになってしまう。法律で勝負しようとなると、弁護士とか法科大学院を目指していた者に勝てないわけだし、情報系といっても、それを専門としている情報系専攻の理系学生に負けてしまう。また、英語力だけでは、帰国子女とか他の留学経験者と差別化することは難しい。

従って、情報系、情報法、英語力をどのように組み合わせて、自分独自の強みを作って行くかが就活におけるカギとなろう。

5. 目指すべき進路の方向性は?

中央大学の公式HPでは、進路の例として、コンサル、フィンテック、広報・カスタマーコミュニケーション、現代視覚文化が上げられているが、これらはあくまでも例である。

コンサルは面白いかも知れないが、高学歴でITの専門スキルを持っている理系学生やMBB志望者等との戦いになるので、国際情報学部というだけでは内定をもらえる保証は無い。

フィンテックといっても、大手金融機関はフィンテックコースというのは無いし、国際情報学部では金融系のカリキュラムが充実しているわけではないので、この分野がおススメとは言い切れないだろう。もっとも、楽天、メルカリ、LINEはフィンテック人材を求めているようなので、この辺の大手ネットベンチャー系はアリかも知れない。

むしろ、ITビジネスに詳しいグローバル人材というと、総合商社が面白いかも知れない。総合商社はコンサバでハイスペックな人材は沢山いるだろうが、年功序列の社会であるため、ネットビジネスに強い人材は不足しているようだ。中央大学から総合商社への就職者数は少ないが、英語力が身に付けばチャンスはあるのではないだろうか?

日立、三菱電機、富士通、ソニー、日本IBMといった電機系メーカーという無難な選択肢もあるが、文系の場合には職種別採用をやっていないので、必ずしも志望の部署に配属される保証は無い。

面白いと思うのは、自ら起業に挑戦してみることである。いきなり学生の内に起業というのはハードルが高いが、まずは、パッションナビでネットベンチャー企業でのバイトをすることによってそちらの世界を覗いてみたらいいと思う。

起業まで行かなくとも、Word Pressで個人メディアを開いて、簡単なプログラミングとかアフィリエイトで小さく稼いでみるというのでも良い。ハイスペックな学生でも、その手のスキルや実績がある者は著しく少ないので、就活において十分な武器となるだろう。

もちろん、将来の起業をも視野に入れて、サイバーエージェントとかメルカリあたりを狙うのでも面白い。

6. 何といっても魅力的な市ヶ谷キャンパス

国際情報学部の魅力は何といっても、市ヶ谷キャンパスである。
中央大学の場合、多摩キャンパスの立地によって、大学のステータスが下がってしまったという苦い過去があるので都心に復帰させようという戦略がある。

市ヶ谷の場合だと都心のど真ん中で、ネット企業でのバイトやイベントに参加しやすく、早稲田や慶応の学生との交流もし易い。もちろん、就活するにおいても便利である。

この立地の良さは十分フル活用したいところだ。

最後に

中央大学国際情報学部はキャンパス立地が良く、カリキュラムも面白い。
英語力が習得できるかが気になるところであるが、留学等で対応すれば、かなりの競争力のある人材になれる可能性がある。

ネット系ベンチャーでのアルバイトや、他の起業サークルの学生と交流をするなどして、起業できるようになれば、非常に面白いと思う。

更に、2020年2月頃からコロナウイルスの問題が世界中に拡がってしまっているが、ITビジネスに関するニーズはコロナウイルスによるネガティブな影響を比較的受けにくいのではないかという考え方もある。

リモートワークを中心とした、ビジネスインフラを支えるのはIT技術であり、今後ますますテクノロジーへの注目度が高まる可能性がある。また、それは、グローバルで共通していると言えるだろう。

そういうことを考えると、中央大学国際情報学部の人気は今後も継続していくことが期待される。

 

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