関西大学の就職の概要について。同志社や関学と比較するとどうか?

1. 製造、IT、流通、金融、サービス、公務員と多様性はあるが…

① 学部別の詳細な上位就職先の開示が無い

関関同立の一角を占める、大阪府内でトップの私立大学の関西大学である。大昔から、関関同立という学校群で捉えられてきたが、近年、大学入試段階における難易度でライバル校の同志社や関学との差が開きつつあるのが気になるところである。

もっとも、大学で大事なのは多少の偏差値やそれに基づく相対的序列ではなく、やはり出口の就職状況である。就職がしっかりしていれば、かならず大学入試段階における偏差値等もキープできるはずだ。

しかし、残念ながら、関西大学の場合は大学の公式HPでは学部別の具体的な就職先上位企業の開示をしてくれていない。このため、学部別の詳細な分析・検討ができないので、ある程度全体的な就職の概要を把握するという分析になってしまう。

<関西大学の就職実績:大学HPより(2018年度)>
http://www.kansai-u.ac.jp/career/examinee/about.html

② 全体的な就職における特徴

上の大学の公式HPによると、全体での就職者数は5,551人であり、そのうちの約7.3%が公務員・公立学校教員となる。残りの約5000人が民間企業への就職をすることとなる。

この点、大学公式HPでは、企業の規模別に分類しているが、民間企業就職者のうち、1,222人(全体の約24%)が中企業(従業員499~100人)、611人(約12%)が小企業(従業員99人以下)に就職している。民間企業就職者の内、約三分の一が中小企業への就職となっている。

大企業以上に就職している比率が約三分の二ということになるので、ここは少々気になるところである。もちろん、規模が大きい会社に行く方が必ず望ましいとは限らないが。

なお、業種については、最大シェアが製造業で20.2%、次いで、教育・広告・その他サービスが17.3%、情報通信業が14.1%、金融・保険が13.4%、卸・小売業が12.7%、と続く。
業種については各業種まんべんなく就職しているので、この点はバランスが取れているのではないだろうか?なお、前年度(2017年度)と比較すると、金融・保険業を情報通信業が追い抜いている。これは、他の有力大学に見られるのと同様の傾向であり、メガバンクを始めとする銀行が新卒採用者数を抑制したためと推測される。この傾向は、今後も継続する可能性があるだろう。

③ 就職先上位企業について

多くの者が気にするのは、人気企業にどの程度就職できるのかということであろう。本来これについては学部別に確認したいところであるが、データが全学部まとめたものしか無いので、細かな分析は難しい。大学公式HPでは、前年度(2017年度)までは、上位50社程の就職先と就職者数を開示していたが、2018年度においては、業種と企業名のみを「主な就職先の一例」として紹介している。これだと、就職者が1名の会社も30名の会社も同列に開示され、また、ネームバリューの高い会社に1名でも就職者がいれば開示されてしまうので、全体的な傾向を把握しにくい。

この点、早稲田や慶應大学はかなり詳細な情報開示をしているので、関西大学についても同様の対応が期待されるところである。

建設業

 

 

大林組、鹿島建設、清水建設、積水ハウス、大成建設、竹中工務店、千代田化工建設
製造業 旭化成、アサヒビール、アシックス、味の素、Apple Japan、オリンパス、花王、川崎重工業、キャノン、京セラ、キリンビール、クボタ、コクヨ、島津製作所、積水化学工業、ソニー、ダイキン工業、帝人、デンソー、TOTO、凸版印刷、トヨタ自動車、ハウス食品、パナソニック、バンダイ、日立製作所、富士通、ブリヂストン、本田技研工業、三菱電機、村田製作所、ユニ・チャーム、ローム。YKK,ワコール
電気・ガス・熱供給・水道業 大阪ガス、四国ガス、四国電力、東京ガス、北陸電力

 

情報通信業 SCSK、NTTデータ、オービック、カプコン、KDDI、テレビ大阪、NTT西日本、日本放送協会、日本電気、毎日放送、ヤフー、楽天

 

運輸業・郵便業 川崎汽船、商船三井、シンガポール航空、センコー、全日本空輸、JR東海、JR西日本、日本通運、日本郵政、日本郵便、日本航空、阪急阪神ホールディングス、郵船ロジスティクス

 

卸売業・小売業 伊藤忠商事、岩谷産業、JFE商事、住友商事、高島屋、東京エレクトロン、日本アクセス、阪急阪神百貨店、三菱食品

 

金融業・保険業 オリックス、関西みらい銀行、東京海上日動火災保険、日本銀行、日本政策金融公庫、日本生命保険、野村證券、みずほFG、三井住友銀行、三菱UFJ銀行

 

教育・広告・その他サービス業 アクセンチュア、あずさ監査法人、ADKホールディングス、オリエンタルランド、京都大学、JTB、監査法人トーマツ、日本年金機構、ベネッセコーポレーション、ユー・エス・ジェイ

 

公務員・教員 国歌公務員一般職、国税専門官、労働基準監督官、裁判所事務官(一般職)、防衛庁自衛隊幹部候補生、財務専門官、防衛省専門職員、北海道職員、栃木県職員、得京都特別区職員、神奈川県職員、福井県職員、愛知県職員、三重県職員、滋賀県職員、京都府職員、大阪府職員、兵庫県職員、奈良県職員、和歌山県職員、鳥取県職員、京都市職員、大阪市職員、堺市職員、吹田市職員、神戸市職員、広島市職員、愛知県教員、大阪府教員、兵庫県教員、奈良県教員、大阪市教員、神戸市教員、警視庁、京都府警察官、大阪府警察官、兵庫県警察官、東京消防庁、大阪市消防吏員、堺市消防吏員

 

(出所:関西大学HP「関西大学キャリアセンター」 「主な就職先の一例」)

2017年度においては、上位10社に池田泉州銀行、紀陽銀行、近畿大阪銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行、関西アーバン銀行と銀行が6行もランクインしていた。2018年度においては企業別の就職者数が不明であるが、関西みらい銀行、みずほFG、三井住友銀行、三菱UFJ銀行が例示されている。この点、AERAの2019.8.5号の「主要50大学の人気企業への就職者数」を参考にすると、三菱UFJ銀行は2017年度は25人だったのが、2018年度においては13人と大幅に減少している。みずほFGも三井住友銀行も同様に減少している。従って、割合的には地銀が多いのではないだろうか。

非金融系においては、積水ハウス、JR西日本、パナソニック、全日本空輸が上げられている。

気になる企業としては、味の素、Apple Japan、キリンビール、ソニー、トヨタ自動車、大阪ガス、NTTデータ、KDDI、NHK、ヤフー、楽天、アクセンチュア、ADKホールディングス、オリエンタルランド、ユー・エス・ジェイ等が見られる。

2. 同志社大学との比較はどうか?

同志社大学も学部別には就職先上位の企業名を開示していない。このため、詳細な分析を行うことは難しい。

<同志社大学(経済、法、商)の就職について>
https://career21.jp/2019-05-27-090937

同志社大学と関西大学は、上記企業を見ると、金融機関の割合が高く、大手に加え地銀の比率も高いという点において類似している。

しかし、同志社の場合は上位10社に、3メガバンク、日本生命、東京海上日動火災、野村證券がランクインするなど、業界最大手企業の比率が高い。

金融機関の場合は、大手程競争力が高く、年収等の待遇も良いので、これだけ見ると同志社の方がかなり見栄えが良いと言わざるを得ない。

もっとも、業種分散という多様性においては関西大学の方がバランスが良いと言えるかも知れないが。

3. 関西学院大学との比較はどうか?

関西学院大学の場合は、ある程度上位就職先の開示状況が良く、学部別に開示がなされている。もっとも、関西大学の学部別の開示が無いので、厳密な比較はできないが、関西学院大学の看板学部の経済学部の就職状況は以下のようになっている。

<関西学院大学経済学部の就職状況について>
https://career21.jp/2019-03-16-072007

これを見ると、関西学院大学経済学部の就職状況は、同志社大学文系学部の就職先とかなり類似している。金融機関が上位を占め、地域金融機関の比率も高い。ただ、上位はメガバンク、日本生命、東京海上日動であり、大手の比率が高い印象である。

だいたい同志社と同じか、若干、同志社の方が大手シェアが高いというイメージであろうか?

厳密に比較をすることができないが、上位の就職先企業の顔ぶれを見た印象としては、関西学院大学の方が優勢と言わざるを得ないのではないだろうか。

4. 関西大学の就職における課題

① 大企業・巨大企業への就職割合の増加

関西大学の場合、大企業・巨大企業への就職者の割合は約三分の二となっている。中小企業よりも大企業への就職の方が必ずしも望ましいとは言い切れない。何故なら、親の事業を継ぐ場合や、戦略的にベンチャー企業に就職する場合もあるからだ。

しかし、日本の現状においては、セカンドキャリア、待遇、世間的な信頼性等を考慮すると一般的には大企業が望ましいと言える。この点、ライバルである立命館大学の経営学部においては、大企業への就職者の割合が約72%である点を強調している。関西大学としても、大企業・巨大企業への就職者の比率をベンチマークとして、就職支援の強化をしていくことが望まれるのではないだろうか。
http://www.ritsumei.ac.jp/ba/recruit/

② 大手金融機関への就職者数・就職割合の増加

三菱UFJ銀行が今後の新卒採用者数の大幅な抑制を公表する等、今後メガバンクの新卒採用枠は減少していくことが予想される。金融機関は収益の大半を国内であげているし、IT/AI化の流れを考えると、将来は決して楽観できない。

しかし、金融機関は典型的な規制業種であり、経営資源において大手の方が優位である。このため、地銀や信金といった地域金融機関については、日銀レポート等で公表されている通り、より厳しい状況にあると言える。

金融機関を志望するのであれば、大手の方が手堅いと言えるだろう。この点、同志社大学や関西学院大学の方が、関西大学よりも大手金融機関の割合は高いと推察される。大学の総合力としては、今のところ、関西大学の方が良好よりも弱いということはないはずなので、大手金融機関への就職者数や就職割合を意識した就活支援の強化が望まれるところだ。

③ 総合商社、コンサル対策

総合商社、コンサルというのは、トップ学生の間で最も人気があるところであり、このあたりへの就職者数が大学の就職力の1つの指標となり得る。

実は、総合商社への就職については、関関同立全体として、京都・大阪・神戸という国立に負けているところである。特に、関西大学の場合、総合商社への就職者数で同志社、関学とも差を付けられている。

 

関西大学

同志社 関西学院

立命館

三菱商事 0 1 1 1
三井物産 0 3 3 2
住友商事 1 6 3 1
伊藤忠 1 2 3 0
丸紅 0 1 0 1

(合計)

2 13 10

5

(出所:AERA2019.8.5号 「主要50大学の人気企業への就職者数」より外資系金融キャリア研究所作成)

総合商社の新卒採用者数は多くないので限界はあるかも知れないが、関西大学の場合、学歴フィルターは通過できるはずなので、そこから先の対策について、OB/OGと協力してもらうなどして、強化したいところだ。

なお、コンサルについては、アクセンチュアに5名就職している。他の総合系ファームについても、就職者数を増やせる余地はあると考えられるので、このあたりも強化の課題となるだろう。

まとめ

関西大学は、大学のブランドや難易度的に、関関同立のライバル校と大きく変わらないと思う。特に、首都圏在住者からすると、関関同立間の格差というのはほとんどない。しかし、就職においては、同志社や関学に差を付けられつつあるように思える。

明治大学が就職支援を徹底的に強化させ、就職力を向上させたことは成功事例として良く知られている。このため、関西大学も明治を参考に、就職支援体制を強化していくことが期待される。

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