関西大学の就職の概要について。同志社や関学と比較するとどうか?

1. 製造、IT、流通、金融、サービス、公務員と多様性はあるが…

① 学部別の詳細な上位就職先の開示が無い

関関同立の一角を占める、大阪府内でトップの私立大学の関西大学である。大昔から、関関同立という学校群で捉えられてきたが、近年、大学入試段階における難易度でライバル校の同志社や関学との差が開きつつあるのが気になるところである。

もっとも、大学で大事なのは多少の偏差値やそれに基づく相対的序列ではなく、やはり出口の就職状況である。就職がしっかりしていれば、かならず大学入試段階における偏差値等もキープできるはずだ。

しかし、残念ながら、関西大学の場合は大学の公式HPでは学部別の具体的な就職先上位企業の開示をしてくれていない。このため、学部別の詳細な分析・検討ができないので、ある程度全体的な就職の概要を把握するという分析になってしまう。

<関西大学の就職実績:大学HPより(2017年度)>
http://www.kansai-u.ac.jp/career/examinee/about.html

② 全体的な就職における特徴

上の大学の公式HPによると、全体での卒業生数は5,479人であり、そのうちの約8%が公務員・公立学校教員となる。残りの約5000人が民間企業への就職をすることとなる。

この点、大学公式HPでは、企業の規模別に分類しているが、民間企業就職者のうち、1,215人(全体の約24%)が中企業(従業員499~100人)、570人(約11%)が小企業(従業員99人以下)に就職している。民間企業就職者の内、約三分の一が中小企業への就職となっている。

大企業以上に就職している比率が約三分の二ということになるので、ここは少々気になるところである。もちろん、規模が大きい会社に行く方が必ず望ましいとは限らないが。

なお、業種については、最大シェアが製造業で20.5%、次いで、教育・広告・その他サービスが16.0%、金融・保険が15.6%、卸・小売業が13.3%、情報通信業が12.2%と続く。
業種については各業種まんべんなく就職しているので、この点はバランスが取れているのではないだろうか?

③ 就職先上位企業について

多くの者が気にするのは、人気企業にどの程度就職できるのかということであろう。本来これについては学部別に確認したいところであるが、データが全学部まとめたものしか無いので、細かな分析は難しい。大学公式HPでは、以下のようなランキングになっている。
公式HPでは上位56社まで開示しているが、長くなるのでここでは上位30社について紹介する。

就職先 就職者数
1 国家公務員一般職 41
2 日本郵便 37
3 大阪府警察官 31
4 池田泉州銀行 28
5 紀陽銀行 26
5 住友生命 26
7 近畿大阪銀行 25
7 三菱UFJ銀行 25
7 りそな銀行 25
10 大阪府教員 24
10 関西アーバン銀行 24
10 大和ハウス工業 24
10 ニトリ 24
14 JR西日本 23
14 パナソニック 23
16 あいおいニッセイ同和 22
16 みずほFG 22
16 三井住友銀行 22
19 大阪府職員 21
20 全日空 20
22 日本生命 19
23 イオンリテール 18
24 尼崎信用金庫 17
24 富士通 17
24 みなと銀行 17
27 ゆうちょ銀行 16
28 京都信用金庫 15
28 第一生命 15
28 マイナビ 15
28 明治安田生命 15

(出所:関西大学HP「関西大学キャリアセンター」 就職先上位一覧より抜粋)

この上位30社のランキングを見ると、うち16社が金融機関である。そのうち地銀が6行、大手行が5行、大手生保が4社、大手損保が1社という内訳である。

非金融系では、大和ハウス工業(24人)、JR西日本(23人)、パナソニック(23人)、全日空(20人)が上げられる。

ランキング30以下で、気になった企業としては、アクセンチュア(9人)が上げられる。

2. 同志社大学との比較はどうか?

同志社大学も学部別には就職先上位の企業名を開示していない。このため、詳細な分析を行うことは難しい。

<同志社大学(経済、法、商)の就職について>
https://career21.jp/2019-05-27-090937

同志社大学と関西大学は、上記企業を見ると、金融機関の割合が高く、大手に加え地銀の比率も高いという点において類似している。

しかし、同志社の場合は上位10社に、3メガバンク、日本生命、東京海上日動火災、野村證券がランクインするなど、業界最大手企業の比率が高い。

金融機関の場合は、大手程競争力が高く、年収等の待遇も良いので、これだけ見ると同志社の方がかなり見栄えが良いと言わざるを得ない。

もっとも、業種分散という多様性においては関西大学の方がバランスが良いと言えるかも知れないが。

3. 関西学院大学との比較はどうか?

関西学院大学の場合は、ある程度上位就職先の開示状況が良く、学部別に開示がなされている。もっとも、関西大学の学部別の開示が無いので、厳密な比較はできないが、関西学院大学の看板学部の経済学部の就職状況は以下のようになっている。

<関西学院大学経済学部の就職状況について>
https://career21.jp/2019-03-16-072007

これを見ると、関西学院大学経済学部の就職状況は、同志社大学文系学部の就職先とかなり類似している。金融機関が上位を占め、地域金融機関の比率も高い。ただ、上位はメガバンク、日本生命、東京海上日動であり、大手の比率が高い印象である。

だいたい同志社と同じか、若干、同志社の方が大手シェアが高いというイメージであろうか?

厳密に比較をすることができないが、上位の就職先企業の顔ぶれを見た印象としては、関西学院大学の方が優勢と言わざるを得ないのではないだろうか。

4. 関西大学の就職における課題

① 大企業・巨大企業への就職割合の増加

関西大学の場合、大企業・巨大企業への就職者の割合は約三分の二となっている。中小企業よりも大企業への就職の方が必ずしも望ましいとは言い切れない。何故なら、親の事業を継ぐ場合や、戦略的にベンチャー企業に就職する場合もあるからだ。

しかし、日本の現状においては、セカンドキャリア、待遇、世間的な信頼性等を考慮すると一般的には大企業が望ましいと言える。この点、ライバルである立命館大学の経営学部においては、大企業への就職者の割合が約72%である点を強調している。関西大学としても、大企業・巨大企業への就職者の比率をベンチマークとして、就職支援の強化をしていくことが望まれるのではないだろうか。
http://www.ritsumei.ac.jp/ba/recruit/

② 大手金融機関への就職者数・就職割合の増加

三菱UFJ銀行が今後の新卒採用者数の大幅な抑制を公表する等、今後メガバンクの新卒採用枠は減少していくことが予想される。金融機関は収益の大半を国内であげているし、IT/AI化の流れを考えると、将来は決して楽観できない。

しかし、金融機関は典型的な規制業種であり、経営資源において大手の方が優位である。このため、地銀や信金といった地域金融機関については、日銀レポート等で公表されている通り、より厳しい状況にあると言える。

金融機関を志望するのであれば、大手の方が手堅いと言えるだろう。この点、同志社大学や関西学院大学の方が、関西大学よりも大手金融機関の割合は高いと推察される。大学の総合力としては、今のところ、関西大学の方が良好よりも弱いということはないはずなので、大手金融機関への就職者数や就職割合を意識した就活支援の強化が望まれるところだ。

③ 総合商社、コンサル対策

総合商社、コンサルというのは、トップ学生の間で最も人気があるところであり、このあたりへの就職者数が大学の就職力の1つの指標となり得る。

実は、総合商社への就職については、関関同立全体として、京都・大阪・神戸という国立に負けているところである。特に、関西大学の場合、総合商社への就職者数で上位20に入っていない。この点は、同志社、関学、立命館と異なる点である。

総合商社の新卒採用者数は多くないので限界はあるかも知れないが、関西大学の場合、学歴フィルターは通過できるはずなので、そこから先の対策について、OB/OGと協力してもらうなどして、強化したいところだ。

なお、コンサルについては、アクセンチュアに9名就職している。他の総合系ファームについても、就職者数を増やせる余地はあると考えられるので、このあたりも強化の課題となるだろう。

まとめ

関西大学は、大学のブランドや難易度的に、関関同立のライバル校と大きく変わらないと思う。特に、首都圏在住者からすると、関関同立間の格差というのはほとんどない。しかし、就職においては、同志社や関学に差を付けられつつあるように思える。

明治大学が就職支援を徹底的に強化させ、就職力を向上させたことは成功事例として良く知られている。このため、関西大学も明治を参考に、就職支援体制を強化していくことが期待される。