同志社大学(経済、法、商)の就職と課題。関学、明治、慶應との比較はどうか?

1. 受験界では、関関同立の中では頭一つ出ているという説もあるが…

関関同立というと、首都圏のMARCHと同様に、同じくらいのレベルの学校群として良く知られている。

もちろん、昔から関関同立の中では大雑把な順位はあるものの、最近受験界では同志社が頭一つ出ているとか、同志社は関関同立で一括りにされたくないといった話も聞く。

しかし、大学入試の難易度の変化によって大学の序列が変わるわけでは無いし、そもそも、偏差値自体がその時々の人気によって変動するものである。

就活という切り口において、特に首都圏在住の者からすると、関関同立における序列はあまり気にならず、特に同志社が頭一つ出ているという認識は浸透していないと思われるが、現時点における同志社(経済、法、商)の就職力と課題について検討したい。

2. 同志社(文系学部)の就職状況について

同志社の就職に関する開示状況は特別良いわけではない。個別具体的な就職先について、学部別の開示をしてくれないからだ。
開示されているのは、文系学部という大きな括りである。

本当は、経済、法、商学部について個別に分析をしたいところであるが、ここは文系学部全体の就職状況を基に分析するしかない。

同志社大学の文系学部全体の就職者数は、公務員も含めると4362人にも上り、かなりの規模である。なお、そのうち公務員への就職者数は180名(全就職者数の4.1%)なので、大部分(約95%)は民間企業に就職することとなる。

こちらは大学公式HPを基に抽出した、同志社大学の文系学部の上位就職先リストである。文系の学生が5名以上の就職先を抽出したが、5~9名のところは全部抽出ではなく、人気企業等を中心に一部を抜粋した。その点、主観的要素が入っていることにご留意下さい。なお、10名以上の企業・団体については、全部抽出である。

〇2019/3卒業生対象 同志社大学文系学部の上位就職先リスト

40名以上 国歌公務員一般職
30~39名 三菱UFJ銀行、みずほFG、日本生命、東京海上日動、京都銀行

 

20~29名 滋賀銀行、りそなグループ、京セラ、京都市、三井住友銀行、三井住友信託銀行、大和証券、野村證券、住友生命、関西みらいFG、楽天、全日本空輸

 

15~19名 パナソニック、村田製作所、三菱電機、富士通、JR西日本、ローム、キーエンス、京都信金、第一生命、SMBC日興証券、JAL、三井住友海上、京都府、三菱UFJモルガンスタンレー証券、みずほ証券、パーソルキャリア、日本郵便、明治安田生命

 

10~14名 島津製作所、トヨタ、ニトリ、NTT西日本、日本IBM、アクセンチュア、スズキ、ソフトバンク、日本郵便、ネオキャリア、USEN NEXT HOLDINGS、サイバーエージェント、裁判所職員、日本政策金融公庫、三菱UFJニコス、マイナビ

 

5~9名

(抜粋)

ダイキン、日立、トヨタ、三菱自動車、関西電力、村田機械、TIS、三菱UFJ信託銀行、NECソリューションイノベータ、ダイハツ、積水化学、LIXIL、大和ハウス、堀場製作所、三井不動産リアルティ、ヤフー、キリンホールディングス、シャープ、積水ハウス、KDDI、サントリーホールディングス、ユニクロ、アビームコンサルティング、船井総合研究所、NTTファイナンス、ライオン、住友商事、デロイトトーマツコンサルティング、第一三共、大同生命、DYM、NHK、阪急交通社、福岡銀行、バンダイ、三井住友カード、ユニ・チャーム、他

 

(出所:同志社大学公式HP「就職統計情報」より)

https://career-center.doshisha.ac.jp/attach/page/CAREER-PAGE-JA-9/122188/file/ninzu2019.pdf

3. 関西学院大学(経済学部)との比較

まず、比較したいのは、関関同立の中で同志社と総合的に同レベルであると考えられる関西学院である。本来は、関西学院大学の文系学部全体との比較をする方が正確なのだろうが、いずれにせよ上位就職先のみの一部開示であるのと、関西学院大学経済学部については過去記事があるので、これを参考に検討したい。

<関西学院大学経済学部の就職に関する分析>
https://career21.jp/2019-03-16-072007

就職先企業についてスコアリングをするわけには行かないので、ある程度感覚的な評価にならざるを得ないが、ほとんど就職においては変わらないのではないだろうか?

就職先は、同志社文系学部と関学経済学部はかなり類似している。
ランキングのほとんどが金融機関であり、特にメガバンクを含む大手金融機関が最も多い。続いて、関西圏の地銀が多い。これは関関同立の特徴である。そして、時折、メーカーが見られるという点も共通している。

少なくとも、関学と比べて同志社の方が明らかに良いとは言えないのではないだろうか?

4. 明治大学(商学部)との比較

続いては、関関同立のライバルと思われる学校群MARCHの筆頭格の明治との比較である。
明治大学も特別就職先の開示が良いわけではないが、学部別でも主な就職先の開示はしてくれている。
https://www.meiji.ac.jp/shushoku/6t5h7p00000c2zmv-att/6t5h7p00000c2zv1.pdf

また、過去記事において、明治大学商学部の就職状況について分析を行った。

<明治大学商学部の就職に関する分析>
https://career21.jp/2019-03-28-192345/

明治大学も文系学部全体での上位就職先の開示をしている。同志社の文系学部全体と比較すると、大手金融機関が中心で時折公務員がランクされているところは共通している。

しかし、以下の2点の相違点があると考えられる。

① 同志社は京都銀行、滋賀銀行等地銀が上位にランクされている
② 明治の方が非金融の事業会社が上位にもランクされ、多様性がある。

① に関して、同志社から地銀への就職者が多いということは、地元に就職したいという意向があるからで、大手に落ちたから地銀というわけではない。この点は、学生の価値観によるので、それがいいとか悪いとかいうものではないが、就職偏差値的、就職人気ランキング的な関連からは、地銀のシェアが多いと、見栄えの点で良くは無いと言えるだろう。

② についても、これは価値観の問題で、金融を選ぼうが非金融を選ぼうが優劣は無いはずだ。しかし、明治の場合は、JR東日本、アビームコンサルティング、キーエンス、日本IBM、有限責任監査法人トーマツといった、金融機関に見劣りしない事業会社が上位にランクしており、多様性という点から、学校全体で見ると明治の方が何となくバランス的に優れているようにも見えるがどうだろうか?

5. 慶應大学との比較

慶應大学は、私立大学というか、国立大学を含めてもその就職力は日本でトップレベルである。従って、慶應大学と比べると同志社には酷かも知れないが、就職トップ校との比較をすると課題が浮かんでくると思われる。

<慶應大学商学部の就職に関する分析>
https://career21.jp/2019-02-14-064610

<慶應大学経済学部の就職に関する分析>
https://career21.jp/2019-02-08-145539

同志社大学の文系学部の就職状況は大手金融機関を中心に良好と言えるのだろうが、慶應大学文系学部の就職と比較すると、以下の差異が見られる。

(1) 総合商社への就職者

慶應大学の場合には、経済学部、法学部、商学部ともに就職上位20社の中に総合商社が複数ランクインしている。総合商社の中でも大手五社については、いずれも慶應大学が日本で最多の内定者数となっている。

これに対して、2019/3卒業生の場合、同志社大学は大学全体で五大商社への就職者数は13人にである。慶應大学全体と比較すると、10倍以上もの差がついている。

 

同志社

慶應

三菱商事 1 29
三井物産 3 41
住友商事 6 39
伊藤忠 2 25
丸紅 1 21

(合計)

13

155

(出所:AERA2019.8.5号「主要50大学の人気企業への就職者数」より外資系金融キャリア研究所作成)

総合商社の内定者を増やせばよいという訳ではないが、国内系企業で最も人気があるのが総合商社であるので、ここへの内定者数は大学の就職力を測る上での基準の一つとなるだろう。

(2) コンサルへの就職者数

コンサルの中でも最上位に位置する戦略系については、慶應大学のランキングにも出てきていないので就職状況はよくわからない。しかし、慶應大学経済学部、商学部の上位20社の中には、アクセンチュア、アビームコンサルティングがランクインしている。

コンサルは東大、京大を始めとするトップ校の学生の間で極めて人気が高いので、就職力という点では、コンサルの内定者数も重要であろう。

6. 同志社大学(経済、法、商)の就職における課題

① 商社、コンサル、マスコミ等の最難関企業への内定者数を増やすこと

業種については学生の価値観によるというとそれまでなのだが、少子化が進展する中、就職力は大学選びにおける重要なファクターである。大学側は、大学入試レベルで、国際系の学部を新設したり、内部進学や推薦・AO枠を拡大することによって一般入試枠を減らしたり、入り口段階での偏差値上げに腐心しているようにも見える。

しかし、大事なのは出口であって、就職力を高めるような施策を大学が強化することが望まれる。

この点、明治大学も21世紀になって学校のステイタスを上昇させたと評されているが、その理由としては、大学側が極めて熱心な就職対策を採ったという。

もちろん、大学側だけでできることには限界があるが、OB会を巻き込むなどして、就職対策を強化したいところだ。

同志社大学の、文系学部(経済、法、商)の場合、もう少し、商社やコンサルへの内定者を増やすことは可能であろうから、OBと協力して学生の就活を支援する等の対応をとるべきだろう。

早慶、或いは、京大・阪大・神大と、関関同立との就職における差の1つが総合商社への就職力である。同志社の場合、総合商社への内定者数を増やせば、関関同立の他校を引き離すチャンスである。

② 参考になるのは、京都大学経済学部?

もっとも、同志社の場合、立地が京都になるので東京にある学校と違って就職面で立地的に不利なのは否めない。そこで、参考になるのは同じ京都の京都大学経済学部だ。

<京都大学経済学部の就職について>
https://career21.jp/2019-02-26-064501

京都大学経済学部の場合、金融、商社、外資、官僚、ベンチャーと、それぞれ非常に高いレベルで多様な就職力を発揮している。
外資系企業やベンチャーの場合、就活の場所は東京になってしまうので、その点は負担が大きいにも関わらず良好な結果を出している。

この点は、大いに参考になるのではないだろうか?

最後に

同志社大学の就職状況は大手金融機関を中心に十分良好と言えるのであろうが、更に上を目指そうと思うと、最難関業種への内定者を増やす戦略が必要になるだろう。

大学入試段階においては、関関同立の中で頭一つ抜けているという説もあるが、就職についてはそこまで差異は無いのではないだろうか?

出口においても、関関同立の中から抜け出そうと思えば、慶應や京大あたりを目標に、就職支援を強化し、結果を出していくことが必要では無いだろうか。

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