1. 旭化成と比べて、東レへの就職は文系学生にとってどうか?
メーカーで文系学生にとっても魅力的な企業を見つけることは容易ではない。
まず、金融機関と比べてそれなりの水準の給与をもらえるようなメーカーはそれ程多くは無い。
また、メーカーの中にも比較的給与水準が高い会社もあるが、事務系社員でどういったキャリアが形成可能か気になるところである。
この点、繊維業界から旭化成が文系学生にとっても魅力的なのではないかと考えた。
https://career21.jp/2019-05-23-154442
そこで、同じ繊維業界の中で、東レはどうかと気になるところである。東レは大昔、高度経済成長の時代から日本の経済成長を牽引した企業であり、当時は東レに就職できるのはトップ学生に限られたという。また、最近でも、東レはユニクロのヒートテックの素材を開発する等、技術力の高さで知られている。
従って、文系の学生にとって、東レは旭化成同様に魅力的な就職先となり得るかについて検討したい。
2. 東レの年収水準
① 全体観
結論的には、旭化成と比較すると、東レの給与水準はそれ程は高くはない。
メーカーとしてはまずまずの水準ではあるが、イメージ程は高くはない。
また、横並び・年功序列型の給与体系となっており、管理職になるまで同期間でほとんど差はつかない。会社の理念として、長期的な視点で見ているようであり、目先のアップダウンで差を付けたり、年収の大きな変動は避けたいという意向があるようだ。
このため、給与水準自体はそれほど高くはないが、ボーナスの変動はそれ程大きくなく、安定性重視ということのようだ。
そして、住宅関係については、寮や社宅が揃っており、準社宅制度も充実しているので、それによって実質的に年間100万円位の嵩上げ効果はあるという。
② 東レの入社年次、タイトルと年収の推移
初年度の年収は残業代とボーナスを合わせて年収350万円位でスタート。
3年目で550万円、5年目で600万円位のペース。もちろん、残業代によって異なってくる。30歳時点での目安が年収700万円前後というところ。
30代で年収800万円にはなるが、年収1000万円に到達するには課長に昇格する必要があり、早くて30代後半。通常40歳位か。大卒の場合だと、大体40代で課長・年収1000万円位は想定できるのではないだろうか?
3. 東レでのキャリア、転職について
文系の学生の場合、メーカーで汎用性が高いプロフェッショナルスキルを習得するのは難しい。業種によって業務内容や求められるスキルが異なるので、社内のみで通用する知識・業務経験の比率が高いからだ。
結局、文系の場合だと、人事・労務管理、経理・財務、法務・知的財産というところとなってしまう。旭化成のような多角化展開やM&Aを駆使するスタイルではないので、そういった面で付加価値を経歴に加えることが難しい。
もっとも、東レの場合も国際競争力を有する企業であるし、積極的な海外展開を行っているので、海外勤務にはチャレンジしたい。そうすると、英語は当然として、海外でのマネジメント経験をつけることができれば、経営職クラスのシニア・ポジションでの転職という可能性が生じるのである。
もちろん、海外勤務をすると海外手当が付くし、相対的に年収水準を上げることができる。
まとめ
東レは古くからの名門企業であり、技術力の高いグローバル企業である。
イメージ程には給与水準は高くはないが、製造業としてはそこそこ悪くない水準にある。これは、年収の安定化を重視しているということなので、安定性という点では恵まれているだろう。
文系の場合は、そのメーカーの製品にある程度興味が無いと面白くないだろう。東レのハイテク商品に興味があり、海外勤務経験をしたい、給与のアップサイドよりも安定性を重視したいという学生の場合には、東レはフィットしているのではないだろうか?