1. 足利銀行との経営統合で規模的には地銀ナンバー3となったが…
茨城県の第一地銀である常陽銀行への就活について検討したい。
もっとも、常陽銀行は2016年10月に栃木県の第一地銀である足利銀行との経営統合によって、めぶきファイナンシャルグループという地銀グループを形成することとなった。
もともと常陽銀行だけでも、統合前は総資産ベースで地銀第5位に位置する大手地銀であったが、めぶきFGで捉えると、規模では地銀ナンバー3と存在感を増やした。
ここでは、めぶきFGではなく、常陽銀行にフォーカスして検討したい。
2. 実は裕福な茨城県
茨城県というと、テレビのバラエティ番組等において、魅力度ランキングで最下位になることでいじられがちだが、実は人口は300万人にも及び、経済規模(県内総生産)でも11位(静岡県と広島県の中間位)に位置する大きい県である。
また、地理的にも首都圏(一都三県)の隣に位置し、場所によっては通勤可能であり、エリア的には恵まれていると言える。
実家が茨城県以外でわざわざ常陽銀行を目指すという学生は少ないかも知れないが、実家が茨城県の場合には、十分Uターン就職先の候補になり得るだろう。
3. 常陽銀行の年収について
① 全体観
大手地銀の給与は、メガバンクの8掛け位と言われることが多いが、地銀の場合は20代の給与がかなり少ない。30代で役職が付くとそこそこの水準になり、40代で管理職になるとそれなりの年収になるというパターンが多い。
常陽銀行も例外ではなく、このパターンである。全般的に年功序列で極端な成果主義ではないため、40代になるとそこそこのレベルになるというのが今までである。
なお、寮とか社宅は完備しているので、住居に関する問題は特にない。
② 常陽銀行の入社年次、タイトルに伴い年収の推移
常陽銀行の場合、初年度は残業代とボーナスを含めて年収350万円程度である。
問題は、ここから3年間はほとんど伸びない。これは、ボーナスが4年目まで特に増えないからである。従って、入社3年目でも年収は400万円程度である。
入社5~6年目の20代後半でようやく年収500万円に到達し、30歳前後で係長になると年収は600~700万円位になる。そして、30代半ば位に支店長代理になると、年収は少なくとも800万円は突破できる。人によっては、30代の支店長代理の段階で年収1000万円の人もいるという話もあるが、だいたいは年収は900万円位であろうか。
40代で管理職になると年収は1000万円を突破し、支店長になると年収1200~1300万円位も可能である。
4. 常陽銀行でのキャリア、転職について
足利銀行とめぶきFGを形成したので、今後はどうなっていくのか不透明なところもあるが、中期経営計画を見ると、とりたてて目新しいことには言及されていない。
目標利益を達成するために経費削減が標榜されているので、固定費の大部分を占める人件費にはあまり回してもらえるようには思えない。
県内でのリテールや法人ビジネスは特段競争力を持ちうるスキルではないので、市場部門で証券・運用関連業務に従事するのが、望ましいだろう。
また、フィンテックを用いた合理化というのは導入せざるを得ないので、文系とはいえ、ITシステム面にはアンテナを高く張り、システム企画関係の部署に就くというのは勝ち組キャリアになるのではないだろうか。
まとめ
常陽銀行は、厳しいと言われる地銀の中では恵まれた位置にいるだろう。しかし、将来の収益源がなかなか見出せないので、現状のそこそこの給与水準が継続するという保証は無い。
Uターン就職というのは悪くないかも知れないが、いざという時に備えて、金融スキルを磨ける部署を狙いたい。