ベネッセ。教育業界への就活、年収、キャリア、転職について

1. 教育分野は将来性があり、専門性を有する人材も少ない

東大、一橋、早稲田、慶応等、有力校の文系学生の間では将来の転職を前提とした、スキルが習得でき若いうちから活躍できる職種に人気が集中する。
外銀、外コン、国内系金融機関のコース別採用がその典型である。

しかし、IBD、トレーディング、機関投資家セールスといった金融分野はこれから需要が拡大していくことは期待し難い。他方、この種のスキルを持っている人材は結構飽和状態にあるため、ポジションを巡る椅子取りゲームが展開されることになってしまう。

人気のコンサル分野も同様だ。従来、マッキンゼーとかBCGとかは、一学年一桁しか採用しなかったのであるが、近年では1社だけで30~40人も採用するようになっている。
総合系コンサルに至っては、一学年あたり数百人以上の大量採用をしており、スキルとしては魅力があるのだが、供給サイドに目をやると将来は楽観できないかもしれない。

そういった中、教育分野というのは少子化の環境下でも一人当たりの単価があがっており、市場は縮小していないし、社会人の教育という観点からも展開力は高い。
他方、キャリアの展開力・応用力に欠ける塾業界を除くと、教育分野で専門スキルを習得できる企業は極めて限られ、供給面において有利である。

このため、教育業界ではもっとも優秀な学生が集まると考えられるベネッセは狙い目の業界・企業といえる。

2. ベネッセの年収について

① ハイスペック学生のベネッセを活用したキャリアプラン

ハイスペックの学生からすると、ベネッセは物足りなく感じるかも知れないが、終身雇用を想定するのではなく、将来の転職や起業を想定したキャリアの第一歩と考えると、汎用性・展開力は高いと考えられる。

このため、ベネッセの年収水準に拘り過ぎる必要は無いが、ベネッセは若い時は比較的給与水準が高く、30歳以降は鈍化してしまうので、早めにスキルを身に着けて、転職するということを想定すると、都合がいいと言えよう。

② ベネッセの入社年次と年収水準の推移

ベネッセの場合、基本給の高さではなく、残業代とボーナスで稼ぐという給与モデルになっている。初年度から、それなりの残業を行えば年収は500万円にもなる。
そして、2年目には年収が早くも600万円位になる場合もある。
問題はここからはそれ程上昇しないことだが、30歳の時点では年収700万円位になる。

30代の半ば以降には課長に昇格できるが、管理職になると残業代が付かなくなるので、昇格によって年収がジャンプすることはない。よって、30代の課長でも年収900万円位で頭打ちとなる。スタートでの年収の伸びは早いが、30代になると鈍化し、1000万円というのは部長にならないと達成できない。

しかし、20代のうちに頑張って働いてそれなりの給与をもらって、スキルを付けると転職するという戦略の場合は、この点は問題無いであろう。

3. Edtechという方向性

ベネッセで経験とスキルを習得すると、その後のキャリアプランの一つとしてEdtech分野への転職、起業という方向性がある。
Edtechというと、5年以上前にVC業界等で注目された分野であるが、レアジョブはIPOは出来たがその後は低迷している。Schooなんかも、どうなったのかはよくわからないが、特に注目されてはなさそうである。

このため、既存のEdtechベンチャーに幹部として転職するよりも、自ら起業するとか、リクルートのような大手の関連部門に転職する方がいいかも知れない。

Edtechビジネスは概して収益性が低いものが多いという意見もあるが、コンテンツ課金というビジネスモデルも可能であり、必ずしも儲からないビジネスというわけではないはずだ。

この点は、むしろ教育系ベンチャーを手掛ける人達が理念・理想追求型で、ファイナンスや収益へのこだわりが低いという特性があるのではないかと考えられる。収益性重視のビジネスモデルを開発できれば、特に大きな成功者が出ていないマーケットであるだけに、面白いと思われる。

4. 塾、予備校という既存分野で勝負する。

起業というと、かならずしもネットに結び付けなくとも、既存のリアルビジネスに挑戦するという選択肢もある。
塾・予備校業界は大きな出来上がった市場であり、競合は多いが変化に欠けるし、勝てるチャンスはあちこちにあるだろう。

その典型が、武田塾である。ここは、実際にリアルな教室を開いて講師を雇って生徒を集客するビジネスであるが、「授業をしない塾」というユニークなビジネスモデルで成功を収めている。

2020年度の大学入試改革や小学校の英語教育の強化という外部環境を踏まえると、チャンスは十分にありそうだ。

5. HRM、HRテック分野に展開する

教育と言っても受験生の教育に限定する必要は無い。むしろ、人材の質の重要性が高まるし、経団連の終身雇用終了宣言や、就活ルールの廃止によって、人関連の分野の重要性は今後高まるばかりであろう。

そうすると、リクルート、パーソル、アトラエといったHRMとかHRテック関連の既存の大手に転職するという選択肢もある。

また、HRテックというのは今後注目されていく分野であるので、自らベンチャー起業するという方向性もある。

いずれにせよ、教育という分野で確固たる専門性、スキル、業務経験を積めば、将来それで大いに稼げるチャンスは出てくるはずだ。

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