マネックスグループ、松井証券。ネット証券への就活、年収、キャリアについて

1. 金融ではなく、ネット業界/フィンテック企業への就職という視点

文系のトップ学生からすると、金融業界への就職は厳しい状況にある。
早慶以上の上位校の学生は、外銀に行きたいところだが、ほとんどの者は内定をもらうことができない。そして、外銀人気によって高騰してきているのが、国内系証券会社のコース別採用である。IBD、グローバル・マーケッツとも、各社数十名位しか採用しないので、競争が大変厳しい。

他方、銀行や証券会社の総合職だとリテール配属にされてしまい、仕事は厳しいし、将来のキャリアにもつながらない。しかし、メガバンクが今後の新卒採用大幅抑制の方向性を打ち出しているので、大手金融機関の総合職ですら、内定を今までのように簡単にもらえなくなるかも知れない。

閉塞感が漂う金融機関でのキャリア形成であるが、思い切って視点を変えて、ネット証券を狙うという手もある。もちろん、後述するが、ネット証券の給与水準は大手金融機関と比べると考えられない程低い。したがって、当然終身雇用ではなく、スキル取得のための短期滞在プランである。

狙いとしては、フィンテック系のベンチャー企業にストックオプションをもらって転職するとか、或いは、大手金融機関のフィンテック系のポジションへの転職である。

2. フィンテック企業だけでなく、フィンテック関連で狙えるポジションは少なくない

フィンテックというのは大変広い概念であり、金融免許が必要な業態から、金融業界へのサービスプロバイダーとしてのフィンテック企業まで様々である。

例えば、今でこそ低迷しているが、ICO等の法令整備が整えばIPO前にビットフライヤーを狙うという選択肢もある。また、金融免許は不要だが、マネーフォワードとかフリーあたりを狙うという手もある。

仮想通貨という切り口だと、楽天コイン、LINEコイン、メルカリコインというものが将来出てくる可能性があるので、大手ネット企業も可能性がある。

もちろん、既存の大手金融機関であるメガバンクや大手証券会社においても、既存社員はネットビジネスに弱いので中途採用でフィンテック要因としてポジションをつかむというのも面白い。

さらに、総合系コンサルというのも面白い。アクセンチュアとかデロイトトーマツ・コンサルティング等においてはITシステム関連で大手金融機関はクライアントであるので、フィンテックに強い社員は重宝される。

以上のように、ネット証券で働くといろいろな展開可能性がある。

3. ネット証券の年収水準

言うまでも無く、ネット証券の給与水準は低い。加えて、年金・退職金、住宅補助といった福利厚生もほとんどない。

これは承知の上なので、このプランは期間を自分で決めて転職するというのが前提である。当初の3年間位で一通り、ネット証券業を学べたら、転職を実行すべきだ。

ちなみに、給与水準であるが、実はネット証券も最初だけは悪くない。
マネックスの場合、残業代を入れると、初年度でも500万円は可能だ。しかし、そこからはほとんど上がらず、20代後半でも600万円に行くかいかないかである。
30代でマネージャーになっても、700~900万円位であり、1000万円には到達できない。

松井証券の場合は、初年度は400万円強で、そこからほとんど増えないのはマネックスと同じ。20代後半で500~600万円位、マネージャーになって700~800万円というのが目安である。

もっとも、冒頭でも述べた通り、これは入社後3年程度で転職することを想定しているプランなので、長くいるということは想定していない。

最後に

これは、ネット金融、フィンテックで成功して大金を掴もうというambitiousな人向けのプランである。従って、やる気と野心がある学生じゃないとお勧めできない。だらだらと残ってしまうと失敗キャリアとなってしまう。

でも、金融機関でリテール営業をするよりも、確実に市場価値の高いスキルを取得できるプランではないだろうか?

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