三越伊勢丹。流通業界への就活、年収、転職、キャリアについて

序. コロナウイルスの問題発生後、デパート及び流通業界への就職をどう考えるか?

①2020年初頭に生じたコロナウイルスの問題によって業界全体が苦境に…

2020年の初頭にコロナウイルスの問題が発生し、緊急事態宣言の期間、基本的にデパートは食料品売り場等を除いて休業した。このため、2020年の4~6期の業績は極めて大きな影響を受けるだろう。それだけではなく、2020年の7月以降も、コロナ前と同様の来客数や売上に復帰するかどうかはわからない。

特に、インバウンド関連の売上はワクチンが開発され、グローバルでコロナウイルスの問題が沈静化して以降じゃないと、回復は見込めないのではないだろうか?

②コロナウイルスの問題以前から、デパート業界の構造的な問題が見受けられた…

そもそも、コロナウイルスの問題が発生する前から、デパートにおいては構造的な問題が見受けられた。特に、地方の百貨店や店舗は、地域経済の疲弊やECの進展に伴い、どのような打ち手を取ればいいのかまだ解決策が見つからないのではないだろうか?

以上の様に、デパート、流通業界の外部環境は極めて厳しい状況にあるため、安定や終身雇用を求めてデパート業界に就職する学生はまず見当たらないのではないだろうか?

③転職を前提にあえてデパートに就職する意味とは?

しかし、だからといって、流通業界に就職することがキャリアとして誤りとは言い切れない。何故なら、デパートは仮に将来衰退するとしても、流通・消費というものが無くなることはない。従って、自分が務める会社や業界がダメになったとしても、自らが転職によって勝ち抜くことができれば問題はない。

また、優秀な人材が新たに入って来ないだろうから、逆バリ的な意味において、この業界で第一人者になることができれば貴重な人材になれる可能性がある。

その意味で、デパート業界のトップ企業、三越伊勢丹への就活やキャリア等について考えてみたい。

1. 流通業界でのキャリアを形成するために三越伊勢丹へ

何故、今更デパート業界かということであるが、上記の通り、当然これは終身雇用を前提としていないキャリアプランである。

三越伊勢丹は、基本的にあまり給与水準が高くない流通業界にあってはトップクラスの給与水準にあり、実際、早稲田、慶応からも相当数の学生が就職している。例えば、2019/3卒業生については、早稲田から6名、慶應からも6名三越伊勢丹に就職している。

しかし、狙いは給与水準ではなく、流通業界におけるスキルを取得することにある。流通業界の中では、元ヨーカドーグループの人と元伊勢丹の人達があちこちの新しい流通業態で活躍しているのは、良く知られた話である。

デパートという業態は衰退するかも知れないが、流通業界全体が衰退するわけではない。例えば、楽天、アマゾン、ZOZOというのはECであるが、流通業界でのスキル・業務経験はネット系のECビジネスでも十分に活用することができる。

また、伊勢丹の場合は、オウンドメディア(FASHON HEADLINE)でも定評があり、Webマーケティングのスキルを磨くことも可能だ。

<FASHION HEADLINE>

https://www.fashion-headline.com/about

以上より、終身雇用狙いではなく、将来ECを含む流通業界のトップになって大きく稼ごうという人にマッチしたキャリアプランとして、三越伊勢丹を検討したい。

2. 三越伊勢丹の年収水準

① 三越伊勢丹の年収に関する全体観

三越伊勢丹は老舗だが、単なる年功序列ではなく、実力主義であり、比較的若手登用の傾向が強い。給料も昇格しなければ頭打ちになってしまう。
課長とそれ以下のポジションとで、かなりの違いがあるが、課長になるためには外部委託された試験に合格しなければならない。早ければ、30過ぎで課長になることが可能である。

② 入社年次、タイトルと年収推移

初年度は300万円強のスタートで、この時点で、大手金融機関やメーカーより若干遅れ気味である。これは初年度のボーナス水準が低いからである。そこから係長になるまでの4年間位は給与の伸びが悪く、2年目で350万円、4年目で450万円という水準でなかなか厳しい。30前に係長になると、年収はようやく500~600万円程度となる。

カギは課長への昇進であり、無事試験に合格し課長になると、年収は800万円位となる。課長はレンジが広く、上の方になると年収は1100万円位になる。40歳課長で年収1000万円というのが一つのモデルである。

そこから更に昇格して部長になると年収は1200~1500万円位となるが、同期で課長になれるのは2割にも満たないため、なかなかここまでは辿りつくのは難しい。

なお、住宅補助制度が無いのが、地方出身者には厳しいところだ。20代の年収400万円台の時代に家賃を全てアフタータックスで自己負担となると、生活は楽ではない。

その代わりという訳ではないが、四半期に一回くらい社内販売制度があって、定価の7掛け位で購入できる機会がある。買い物が好きな人にとっては嬉しい制度かも知れない。

3. 三越伊勢丹におけるキャリア、転職について

流通業というのは、その時々によって、いろいろな新しい形態が生まれる。そうした中、給与水準とか将来性を考えると、ECビジネスを狙ってみたい。

三越伊勢丹にいると、当然流通に関する基本的な知識と経験をつかむことができるが、Webマーケティング系のスキルを磨いておきたい。
このため、そういった部門への配属を希望したいところだ。

せっかく、三越伊勢丹で修行するのだから、課長にはなっておきたい。30歳前半に課長になると、労務管理などを含めかなり幅広い業務経験が可能になる。また、流通業界で三越伊勢丹の課長というと見栄えもいいので、幹部クラスでの転職で大幅な年収アップを目論みたいところだ。

最後に

ネットビジネスにおいてECというのは大きい分野である。ネットビジネスでなくとも、新しい形態の流通系企業は登場している。したがって、流通業界でのスキルを磨き、将来転職して成功したいというのは面白い狙いではないかと思う。

もっとも、20代の給与水準と家賃補助無しというのが辛いので、実家から通いたいところである。

特に、コロナウイルスによる休業等によって、業績悪化ということになると、それは賞与や残業代等に響いてくることが懸念される。したがって、上記の待遇が維持されるという保証は無い。このため、デパート業界に就職を考えるにあたっては、待遇に期待するという受身な姿勢ではなく、積極的にノウハウの習得のためと割り切れるようなタフさが必要になるのではないだろうか。

 

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