文系学生のファナックへの就活(第二新卒含む)、年収、キャリアについて

1. 超高収益優良企業、高年収にも関わらず人気が無い?、不思議な企業

ファナックは産業用ロボットで長年世界トップの会社である。短期借入金すら無い、「実質」ではなく「完全」無借金企業である。
給与水準も、金融機関以上に高い。

それでも、不思議なことに就職人気ランキングの上位どころか、100位にも入らない。
これは何故だろうか?考えようによっては、かなりの穴場の狙い目企業ということになる。

人気が無い最大の理由は勤務地であろうか?基本的に山梨県忍野村という富士山の麓で働くことになるので、都会が好きな若者からすると耐えられないということであろうか?

また、良く言われるのが同族経営に起因するガバナンスの欠如や、人事制度における不透明さや不満である。

もっとも、勤務地は都会ではなくて自然を好む者にとっては良好な環境とも言えるし、山梨県なので首都圏からは近い。
同族経営による人事制度の問題は理解できるが、サントリー、味の素、資生堂、トヨタ等の優良メーカーにも同族企業は数多くあるし、非同族企業においても人事の不透明さの問題は存在している。したがって、この点は相対的な問題に過ぎないという見方もできる。

そうであれば、ファナックも文系学生にとって検討対象となるのではないだろうか?

2. ファナックの年収水準について

① 全体観

ファナックの人気が無い理由で述べた通り、人事制度や昇格基準が不透明な点があり、人によってかなりの差があるという話もある。また、東大や東工大が優遇されるという噂もある。
このため、商社や大手金融機関のように入社年次とタイトルでほぼ正確に年収が推定されるということはない。

給与水準は大変高いのは間違いないが、ただ、それは残業代とボーナスによって上昇しているところがあり、基本給だけで見ると他の大手メーカーと比べるとその差は縮まる。

年金・退職金等の制度は充実している。

② ファナックの入社年次やタイトルと年収推移について

ファナックの場合、残業代によるところが多いが、最初の内からそれなりの年収が期待できる。初年度の年収は500万円位であり、2年目には600万円、3年目には700万円という事例もある。大体、30歳で1000万円というのが目安である。タイトルでいうと、主任になると、年収1000万円は超えるだろう。

30代で係長になると、更に年収は増加し、30代で1400~1500万円位は期待できる。これはメガバンクを上回り、ほぼ総合商社に近い水準である。

40歳で課長になると、1700~1800万円位の年収水準となる。やはり、年収2000万円の壁は存在するようだが、40代で年収2000万円というのが一つのターゲットである。
もちろん、部長になると余裕で年収2000万円は超えてくる。

以上のように、ファナックより年収水準が高いメーカーは、キーエンス位しか思い当たらない。メーカーに限らず、メガバンクを上回り、総合商社に近い水準だろう。

もっとも、最近は中国のスマホ特需の減退の影響で、業績は低迷しがちである。
年収は残業代やボーナスに依存しているので、この点は不安材料ではある。

3. 事務職でファナックに入社した場合のキャリアと転職について

気になるところは、文系の場合、ファナックに事務職で入社して転職力を高めることができるかということである。

今のレベルの給与水準で定年まで働けると問題無いのだが、ファナックといえ、30年位先はわからない。いざという時に備えて、それなりの転職スキルを磨いておきたい。

この点、メーカー事務職となると、人事・労務管理、経理、法務・知的財産といういつものパターンしかない。もっとも、ファナックの場合は飛びぬけた優良企業であるので、何らかの経営的な秘訣をつかむことができると、評価は違って来るだろう。

若いうちであればポテンシャル採用で、今ならアクセンチュア等の総合系コンサルに転身をするという選択肢はあるだろう。もちろん、他のメーカーへの転職可能性はあるが、そうなると年俸水準が大幅ダウンしてしまうのが辛いところだ。

あるいは、若い時からそれなりの給与が支払われるし、忍野村だと使うところが無いので、コツコツと貯めて海外MBAを取得するという狙いもあるだろう。

最後に

文系から事務職でファナックに行くのは、キーエンスと同様に、不安なところはあるだろう。しかし、単に大手金融機関の総合職でリテール職に就くよりは、自らの転職価値を高めるチャンスはあるかも知れない。何といっても、ファナック出身者は少ないので、稀少性は十分にある。

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