1. 極めて堅固な財務健全性
地銀は将来の収益性が大変厳しいと見込まれているが、静岡銀行の場合は該当しないかも知れない。地方では少子高齢化、人口流出が取りざたされているが、静岡県の場合は比較的経済的な基盤は良好である。加えて、「シブ銀」と言われるほどの質素・倹約を是とする社風によって、静岡銀行の自己資本比率はメガバンクを凌ぐ邦銀トップレベルの健全性を有しているからである。
2. 静岡銀行の年収について
① 静岡銀行の年収に関する全体観
静岡銀行は「シブ銀」と揶揄されるものの、給与水準自体は地銀の中では最上位にあり、決して低い水準ではない。
もっとも、年功序列型だという人もいるが、30代になると役席に就くか就かないかで、かなりの年収差が付くことになる。
また、20代の間は辛く他の地銀やメーカーと大して変わらない水準ではあるが、30代で役席に就くと一気に増え、それ以降はメガバンクと比べてもそこそこの給与をもらえるという傾向がある。
② 入社年次、社内タイトルと年収の推移
静岡銀行の場合、総合職社員は3つのカテゴリーに区分される。
ビジネスアソシエイト(BA)と言われる平社員と、ビジネスリーダー(BL)と言われる係長クラスの役席、そして、管理職であるビジネスマネジメント(BM)職である。
初年度は年収300万円強のスタートで、2年目も大きく増えないが、3年目で若干増え、年収が400~500万円となる。5~6年経過時の20代後半でも年収は500万円台であり、30歳時点で600万円強である。
しかし、早ければ10年目で役席(BL)に昇格すると一気に跳ね上がり、年収は800万円以上となる。そして、30代半ばまでには年収1000万円に到達できる。
その上の課長(BM)に昇格する目安は40歳位であり、その場合は、年収1100~1200万円位となり、メガバンクに近い水準となる。更に、部店長まで順調に昇格できると、年収は1400~1500万円レベルまで到達する。
以上のように、20代というか、BLに昇格するまでの給料が低いのでメガバンクと比べるとかなり劣るが、BL以上になるとそれなりの年収となるのが特色である。
静岡県の企業としてはトップクラスであり、静岡県の生活コストを考えると悪くないかもしれない。
3. 静岡銀行のキャリア、転職について
実は、新卒で静岡銀行、その後2年以内に国内系証券会社に転職して、今では外資系金融機関で2000万円以上もらっている人に会ったことがある。
しかし、これは例外的なので、基本は終身雇用をいうことになるのだろう。
もちろん、静岡県内では信頼性も高いので、県内の企業に転職することは可能であるが、その場合にはキャリアダウンになってしまうだろう。
最近では、マネックスグループの株式を取得したり、コモンズ投信に出資をしたりしており、銀行以外の他業態に手を拡げようとしている。また、海外にも拠点はある。
このため、キャリアの幅を拡げる意味で証券・運用会社に係る業務や、海外勤務を経験できる機会があれば挑戦したいところである。
まとめ
静岡県という環境でまったりと安定的に働けるのであれば、静岡銀行は悪くない選択だ。
もっとも、社風は真面目で、のんびり、ゆったり暮らしてそこそこの給料をもらおうという考えには馴染みにくいようだ。
首都圏からは近いようで結構遠いので、実家が一都三県にある者からすると、あえて静岡銀行を選択するという妙味は無く、そうなると、静岡県出身者の有力なUターン就職先ということになるのだろうか。