凸版印刷と大日本印刷。印刷業界への就活(第二新卒含む)、年収、キャリアについて

1. 何故印刷業界?

文系で上位校からそれなりの人数の学生が就職する、凸版印刷と大日本印刷である。
週刊東洋経済2019/5/11号の早慶特集によると、早慶合わせて、凸版印刷に29人、大日本印刷に21人も就職している。これはシェアでいうと、1割以上である。

それでは、何故、他にも選択肢の多い早慶の学生が、大手印刷会社である凸版印刷や大日本印刷に就職するのであろうか?

まず、言えるのは、あえて金融機関とかコンサル、商社といったところは追いたくないということであろう。

そうすると、メーカーの場合は、キリン、サントリー、味の素のような消費財系とか、重厚長大系の鉄鋼、化学という選択肢もあるが、何故印刷業界だろうか?

1つ、言えるとすれば、テクノロジーに強いというイメージであろうか。凸版印刷などは電子材料系も手掛けており、昔からユニークな特許を有する企業として知られていた。大日本印刷も半導体の材料等、最新の技術を持っているというイメージがある。

また、両社ともに財務状態が良いということがあげられるだろう。両社ともに格付けが高く、凸版印刷は、有利子負債が2000億円台なのに対して、現金・有価証券を3000億円以上保有しており(平成31年度3月末時点)、実質無借金である。

こうしたことから、安定性も高く、将来も安心というイメージもあるのかも知れない。

2. 大手印刷会社の年収について

① 給料も良さそうなイメージはあるが…

財務内容も良好で、最新テクノロジーを有している巨大企業である。給料もそれなりなイメージを持つであろうが、実は、凸版印刷、大日本印刷ともに給与水準はかなり厳しいようである。

その理由としては、利益率の低さがある。営業利益の絶対額は300~500億円位で上場企業としても少ない額ではないが、売上高が1兆数千億円もあるので、売上高営業利益率で見ると数%しかない。

また、印刷業という性質上、労働集約的であり、凸版の場合だと連結ベースで従業員数は5万人にも上る。このため、給与的になかなか大盤振る舞いは難しい状況にある。

② 凸版印刷の年収水準について

まず、全般的に言えることは、凸版印刷の場合、基本給の水準が低く年数が経ってもほとんど伸びないことである。このため、残業代で稼がなければならない賃金モデルなのだが、昨今の働き方改革で残業がしずらくなったという事情がある。

また、福利厚生、特に住宅補助系が不十分であり、寮に入らなければ家賃補助は一切無い。寮に入れれば、月1万円位の負担でいいのだが、寮に入れないとなると実家から通うか借りるしかない。しかし、住宅を借りた場合には家賃補助が一切出ないので、大変厳しくなってしまう。

初年度については350万円スタートであり、この時点では他の大企業と特に変わらない。
しかし、その後は約10年後に主任になれるまで、極めて基本給の昇給スピードが遅い。

このため、入社3年後の25歳時点でも400万円に行くか行かないかであり、入社5~6年経過時の20代後半でも500万円に到達しない。

そして、節目の30歳になってもまだ主任になれないので、給与の増え幅は変わらない。主任になるまでの30代は年収500~550万円位である。

入社8年目位で主任に昇格できると、年収は650万円に上昇し、ようやく平均的な大企業の水準になる。そして、30代半ば~後半の係長で750万円、課長に昇格すると850万円位になる。課長でも1000万円に到達できないのが厳しいところである。

福利厚生についても、子供手当てが月に2万円位支給される他は、特にこれといった制度は無いようだ。

3. 凸版印刷、大日本印刷の転職、キャリアについて

以上のように、会社の知名度、規模、イメージに反して、給与水準はかなり低い。このため、給与が不満で転職する者(特に若手社員)も少なくないようだ。

もちろん、文系の場合、印刷業界なので、金融、商社、コンサルといったところは難しいが、会社のネームバリューが高く現職での給与水準が低いため、転職先は探しやすい。

第二新卒レベル(25歳未満)で、ハイスペック(高学歴、英語力あり)の場合だと、総合系コンサルへの転身のチャンスはあるかも知れない。

なお、留意するべき点は、残業代を稼がなければならないということもあるが、もともと印刷業界という性質上、勤務時間は長くなりがちだということだ。そうなると、自己啓発とかキャリアップのための準備がしずらくなってしまうことだ。

最後に

何となく、金融機関は避けたいという考えは理解できなくもない。しかし、給与水準が低いからといって、その分、スキルが身に付くとか、ワークライフバランスが高いとか、仕事が面白いと言った保証があるわけではない。

従って、特に行きたいところが無いからとりあえず給与水準が高い金融業界に行ってみるというのはあながち誤りとは限らない。

給与水準は極めて重要なファクターであるので、いろいろな業界を比較して、納得した上で就職先を決めたいところだ。