三菱ケミカル、三菱ガス化学。文系からの化学業界への就活(第二新卒含む)、年収、転職、キャリアについて

1. 何故文系から化学業界に就職するのか?

①20世紀から、トップ校の文系学生の一定数が化学業界に就職している

大昔から、東大、一橋、早稲田、慶應の文系学生が一定数化学業界に就職している。
文系学生に人気の金融、不動産、マスコミ、商社、コンサルではなく何故彼らは、化学業界に文系でありながら就職するのだろうか?

まず、言えることは、金融やコンサルを落ちたから化学業界に行くという訳ではなさそうだ。何となく、金融機関には興味がないからメーカーを志望するという学生はいる。

非金融⇒メーカー、という考え方もあるのはわかる。それでは、メーカーであれば、キリン、サントリー、味の素といった消費財メーカーの方が面白そうな気もする。また、そういった企業はメーカーの中では給与水準も高い。

しかし、化学業界を志望する文系の学生達は、著名な消費財メーカーのような華やかな雰囲気を好むわけではないのだろう。むしろ、重厚長大、歴史的に日本経済を牽引してきた、経団連の幹部を輩出してきた産業界におけるステータス性といったところに惹かれて選択するのだろう。

②実際は、体育会とかゼミ等を通じての先輩からの引きで就職するケースが多いのか?

もちろん、非金融⇒化学業界、と最初から決めていることは多くはないだろう。ゼミ、体育会、サークルといったつながりでOB訪問し、何となく流れで化学業界に就職することにしたというのが多いのではないだろうか?特に、体育会の様なタテの繋がりが強い場合においては、先輩が後輩を一本釣りで引っ張るというケースが多いのかも知れない。

2. 鉄鋼業界ではなく、何故、化学業界か?

この点、非金融⇒メーカー、メーカー⇒非消費財の重厚長大系の経団連企業、という切り口であれば、鉄鋼業界でもいいだろう?

<日本製鉄、JFE。文系学生の鉄鋼業界への就職>
https://career21.jp/2019-05-20-091732

鉄鋼業界と化学業界とを比べると、日本製鉄やJFEの方が化学業界のトップ企業よりは若干給与水準は良いように思える。

しかし、文系の場合には、それ以外にはキャリア的に大きな違いは無いように思える。このあたりは、OBと実際に会ってみて、お互いに相性的なところで決めたことが多いのではないだろうか?

3. 化学業界でおすすめの企業は?

それでは、化学業界に興味がある文系学生にとっては、どこの企業がおすすめであろうか?ここでは、化学業界トップの三菱ケミカルと、収益性が高くてまったりとした雰囲気の三菱ガス化学を紹介したい。

① 三菱ケミカルについて

寄らば大樹ではないが、業界最大手企業である。この会社は伝統的に合併を数多く繰り返してきた。バブル期位までは長い間、「三菱化成」という会社が母体であったが、バブル崩壊後の1994年に三菱油化と合併し、三菱化学となった。そして、比較的最近、三菱樹脂、三菱レイヨンと合併して、現状の三菱ケミカルとなった。

この点は重要なところであるので、文系学生の場合は、OB訪問や面接に先立ってこのあたりの経緯を十分予習しておいた方がいいだろう。

<三菱ケミカル:沿革>

https://www.m-chemical.co.jp/company/history/index.html

合併によって、当然ながら規模感や存在感は大きくなったが、寄せ集め的で給与水準も出身母体によって微妙に異なるといったデメリットもある。

経済団体に幹部を送り込んでいる三菱グループの中核企業であり、産業界におけるステータスは高く、給与水準もメガバンクには若干劣るものの、メーカーとしてはトップクラスである。

以上より、化学業界に関心があれば、とりあえず会社説明会には行く価値はあるだろう。

② 三菱ガス化学について

業界的には、三菱ケミカルの次は、住友化学とか三井化学では?、といった考えもあるかも知れないが、化学業界の中ではここは穴場的な存在で面白いのではないかと思う。

ここは化学製品の中でも、天然ガス系化学品、芳香族化学品、電子材料等の特定のプロダクトに強みがあり、収益性が高いのが特徴である。給与水準も悪くなく、まったりしていておすすめだ。

なお、文系の場合、三菱ガス化学がどういったプロダクトを扱っているのかについて、ある程度把握しておく必要がある。三菱ケミカルとの違いなども押さえておく必要もあるだろう。そうでないと、OB訪問や面接において、「何故当社を志望したのですか?」という質問において説得力のある説明ができなくなってしまう。

<三菱ガス化学:事業紹介>

https://www.mgc.co.jp/company/

4. 三菱ケミカルと三菱ガス化学の年収について

① 三菱ケミカルの年収について

基本的に年功序列であり、若い時の給与水準はそれ程ではないが、長く働けばじわじわと上昇していく。

初年度は年収350万円スタートで、5~6年後の20代後半で550~650万円程度となる。
30代前半で700~900万円というのが一つの目安である。
だいたい40歳位で年収1000万円に達し、40代の課長で1100~1200万円といったところだ。

② 三菱ガス化学の年収について

ここも、初年度は年収350万円スタートで、20代のうちは大体600万円台位までしかいかないが、30代半ばで750~900万円になる。課長になると年収は1000万円を越え、50歳前後だと年収1300~1400万円になる。極めてゆっくりであるが、着実に年収は上昇していくイメージである。

5. 化学業界に就職した場合の転職、キャリア

①従来は、終身雇用で良かったのだが…

問題はこれである。両社ともに、終身雇用を前提とすれば、悪くないキャリアである。
しかし、経団連の終身雇用終了宣言が出された今となっては、終身雇用シナリオ一本だけではリスクも高い。

何故なら、重厚長大系のメーカーの事務系社員は、必ずしも転職価値が高い訳ではないからだ。

消費財メーカーのように、マーケティング系のキャリアは形成できない。となると、お決まりの、人事・労務、経理・財務、法務・知的財産、といったキャリアしか形成できないし、業界によってこれらのルールは異なるから、あまり潰しは効かない。

また、ネットとか新規事業立ち上げという世界からは程遠く、ベンチャー・起業の方への転換が効きにくいからだ。

特に転職を考える上でのリスクは、両社ともに地方の工場勤務があるからである。地方にいると、面接に行けないことは当然として、それ以前に転職エージェントと会えないので、情報収集さえ十分に出来ない環境にある。

②今後は、いざという時に転職もできることを想定した方がいい?

従って、このあたりをどうするかを考えた上で選択すべきであろう。これは化学業界に限った話ではなく、ほとんどの一流企業が終身雇用に立脚してきたので、20年後、30年後には終身雇用が無くなっていることを想定すると、転職を想定したキャリア形成が課題となってしまう。

両社の場合は、もし、海外勤務の可能性があれば積極的に手を上げて海外経験を積むとか、経理部門の場合にはUSCPAを取得して専門性を深めるといったキャリア形成を意識的に行う必要があるだろう。この点、メーカーの場合には比較的にワークライフバランスは良好であろうから、いざという時に備えて、自らの市場価値を高めるような行動を取るのが望まれる。

 

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