1. 大手不動産会社(デベロッパー)は超難関
就職偏差値、就職人気ランキングにおける最上位・最難関の企業が、三井不動産と三菱地所である。ある意味、内定を取るのは三菱商事よりも難しいかも知れない。
その最大の理由は、単に採用人数が少ないからである。三井不動産も三菱地所も例年新卒採用者の枠は30人位である。これはバブル期からそんなものであった。
グローバル企業では無いので、別にハイスペックな学生が欲しい訳では無いので、ゴールドマン・サックスやマッキンゼーの内定を持って行っても内定はもらえない。むしろ、重要なのは「一緒に働きたい」と思ってもらえるかどうかであり、この点、内定をもらえるかどうかはやってみないとわからない。
実質的な学歴フィルターも厳しく、東大、一橋、早稲田、慶應でほとんど席が埋まってしまう。このため、両社を狙ったところで、内定をもらえる保証は全然無い。
2. そこで、東京建物と東急不動産
それでも、どうしてもデベロッパーに行って都市開発に関わりたい、というトップ校の学生は、三菱地所と三井不動産に加えて、東京建物、東急不動産あたりも併願することは多い。この2社であれば、大手デベロッパーとして業界の内外から相応の評価を受けるし、また、年俸水準も良好だからである。
しかし、東京建物も東急不動産もそれぞれ新卒採用枠は十数名しか無いので、こちらも相当な難関であることには変わりない。
例えば、東京建物の直近5年間の総合職の採用者数は、17名(2020年)、18名(2019年)、17名(2018年)、14名(2017年)、14名(2016年)と非常に少ない。
東急不動産も同様で、直近5年間の総合職の採用者数は、31名(予)(2020年)、33名(2019年)、29名(2018年)、30名(2017名)、32名(2016年)と非常に少ない。なお、東急不動産のこの人数は一般職も含んだ数字である。
三井不動産、三菱地所、東京建物、東急不動産とこのあたりを全滅してしまうと、デベロッパーを諦めて、他の業界を探ることになる。これらの大手以外のデベロッパーとなると、業界でのプレゼンス・ステータスも落ち、また、年俸水準も低くなってしまうからである。例えば、森ビルなどは仕事のスケール感は非常に大きく、東京では知名度も高い会社なのだが、待遇面が大手4社と比較するとかなり劣ってしまうようだ。
<森ビルの年収、就職等について>
https://career21.jp/2020-01-24-133857/
3. 東京建物と東急不動産の年収について
① 東京建物の年収
初年度の年収は400万円程度である。3年目になると社内タイトルが1ランク上がる(2級⇒1級)ため、年収は600万円程度に上昇する(残業代込)。
30歳前に主任になると年収は750~800万円になる。30歳時点で年収800万円というのが一つの目安である。そして、早ければ31歳で課長代理に昇格でき、この時点で年収1000万円に到達できる。大体、入社10年、30代前半で1000万円になると考えて良いだろう。
そして、37歳位で課長になれると、年収は1200~1300万円にはなる。40歳、課長で年収1200万円位というのが平均的なところである。
基本的には、課長には昇格できるようである。
課長から上は、その人の評価、出世次第であるが、ここから上のGLとか部長になっても、大きくは増えない。課長代理とか課長クラスの中間管理職には比較的手厚いが、上になってもそれ程は報われるということはない。
生涯賃金ベースで見ると、ほぼメガバンク並みではないだろうか。20代の内から、給与の伸びが良好なのが強みである。もちろん、財閥系であるので福利厚生面も充実している。
② 東急不動産の年収について
東急不動産の年俸水準とか上昇ペースは、東京建物と類似している。
最初の数年は400~500万円で、入社5年目には750~800万円位になる人もいる(残業代が多い場合)。一般的には30歳で年収800万円というのが目安である。
そして、入社10年目、30代前半には年収1000万円には到達できる。30代後半に課長になると、年収1100万円~となる。
ここから先の昇格は難しく、部長だと年収1500万円クラスになるようだが、ここまで昇格するのは容易ではない。
福利厚生としては全体的には悪くなく、自社がリゾート案件(東急ハーベストクラブ)を手掛けていることもあって、そのあたりの福利厚生の強みに特徴がある。
4. 東京建物、東急不動産のキャリア、転職について
①不動産ファンドへの転職という途はあるが…
基本的に、両社ともに終身雇用であり途中で転職を積極的に行いたいという人は、いないだろう。もちろん、不動産会社の場合、J-REITとか外資系不動産投資会社(ラサール、CBRE、ハイトマン、エートス等)もなくはないが、外資系金融程は高給ではないため、わざわざリスクを取って転職するというメリットはあまり無い。
もっとも、部長職以上の上のポジションを狙いたいとか、異動に関係なく専門職をずっと続けたいというような場合には、不動産ファンド業界への転職の可能性はあるだろう。
<不動産ファンドの年収、転職等>
https://career21.jp/2019-01-27-093711/
②東京建物、東急不動産に中途採用で入社する人はいる
反対に、大手ゼネコンから中途で両社に入ってくる人たちはいる。もっとも、昇格等においては生え抜きが有利であるのは、他の国内企業と同様である。
③終身雇用というのがメインシナリオか…
両社とも、東京メインであるので少子高齢化とか人口減少についてはあまり考える必要は無く、数少ない数十年先まで安泰の会社である。(考えたくないが、あるとすれば地震リスクであろう…)。
従って、転職を考えるというよりは、終身雇用を前提としたキャリアを考えるのが基本路線だろうか。両社とも、JREITを運営しているので、投資に近い分野に関与したいのであれば、そちらのキャリアを磨く可能性はあるだろう。
5. 東京建物、東急不動産への中途採用での入社と転職エージェント
上記の通り、両社に新卒で入社をするのは三井不動産や三菱地所程ではないにしても、かなり難しい。そこで、新卒で入社できなかった場合は、中途採用での入社も考えたいところである。両社は中途採用も実施しており、中途採用で入社することも可能だ。そのためには、リクルート、doda、パソナキャリア等の大手のエージェントには幅広く登録しておいた方が良いだろう。少なくとも、最大手のリクルートには登録しておきたい。登録はこちら(リクルートエージェントの公式サイト)
また、不動産系の職種については、エイペックスというエージェントがかなり強い。ここも大手と合わせて登録しておきたい。
<エイペックス>
最後に
両社とも、アップサイドこそ大きなものは望めないかもしれないが、若いうちからそれなりの給料をもらえるし、ワークライフバランスや安定性に優れている。
最大の課題は内定をもらえるかどうかということである。