1. 何故、リース業界、何故、オリックスか?
金融志望の学生は多いが、最初からリース業界に目を付ける学生は、まずいないだろう。金融業界を調べていく上で、リース業界の存在に気づき、その中でオリックスに関心を持つというのが一つのパターンだろう。
或いは、リース業界ということではなく、その中でオリックスは業績・知名度が飛びぬけているので、オリックスという会社名から関心を持つ場合もあるかも知れない。
メガバンクや生損保や証券会社ではなく、あえてオリックスに着眼する意味があるとすれば、他の大手金融機関のようなリテール業務が無いからであろう。もちろん、オリックスは傘下にオリックス生命といったリテール部門もあるが限定的である。
また、オリックスは2018/3期も2019/3期も純利益は3000億円を上回り、潤沢な資金がある。そして、不動産、太陽光発電、アセットマネジメント、投資銀行などいろいろな業務を手掛けているので、他の大手金融機関よりも業務の幅が広いという印象を持たれているのかも知れない。
2. オリックスの年収について
オリックスの年収はどうだろうか?メガバンクや大手生損保と比べてどの程度もらえるのかが気になるところである。
この点については、ほぼメガバンク並みか若干(1割位?)少ない位というのが大雑把なイメージである。
初年度の年収は400万円位であり、2年目には500万円位になる。オリックスは残業代は付くので、配属先によって残業代は異なる。4~5年目で650万円位は可能である。
30歳を過ぎて主任に昇格すると、700~900万円位に年収はアップする。入社10年経過時の年収が800万円位であろうか。
そして、30代半ばで課長代理に昇格すると年収は1000万円に到達できる。
オリックスの場合、それなりに年功序列的な要素が残っているので、大抵の場合、30代後半位には1000万円には到達できると思われる。
そして、40歳で課長になると1200万円程度の年収となる。オリックスの場合、30代後半からアラフィフあたりの職員数が多いので、課長や部長のポジションは詰まり気味なので、なかなか昇格していくのは容易ではない。この点は、他の大手金融機関と同様だ。
そうした中で順調に出世し、ライン部長にまでなると、年収は1500万円~もらえるようだ。
なお、オリックスの場合、福利厚生は恵まれており、住宅補助は結構厚い。東京の場合だと年間で100万円位の住宅補助がもらえるので、実質的な年収アップの要因となっている。
また、オリックスのユニークな点は、持ち家の人も補助が月5~6万円程度もらえるようで、これは好評である。
但し、オリックスの場合は55歳で役職定年となり、この段階で大幅に年俸は下げられてしまう。その反面、定年は65歳まで延長可能であるが、その運営がどうなっていくのかはまだ定かではなく気になる点である。
3. オリックスでのキャリア、転職について
オリックスは、国内系大手金融機関の中では、転職者は比較的多い方である。
リーマンショック前の話ではあるが、外銀の不動産投資部門でオリックス出身者もいた。
また、反対に、中途採用の門戸も開かれており、昔から中途採用でオリックスに入社した者も少なくはない。
とはいえ、オリックスの本業はリースであるので、IBDとかグローバル・マーケッツに転職できるようなスキルが磨かれるわけではない。
但し、海外の比率が高いので、海外で働く機会はメガバンクや大手証券会社よりも大きいのではないかと思われる。従って、こういう機会があれば積極的に手を上げたいところなので、英語力は磨いておいた方が良い。
また、不動産事業(大京を買収)とかアセットマネジメント(海外の運用会社を買収)とかいろいろな新規事業を手掛けているので、こういうところで働く機会があれば挑戦するのが良いだろう。
本業はリースなので、それだけだと将来安泰なスキルが付くということにはならないが、海外とか新規事業とかのチャンスはあるので、キャリアを拡げられる可能性はメガバンクや生損保よりは大きいという魅力がある。
最後に
外銀とか国内系金融機関のコース別採用は、極めて狭き門となっている。さらに、メガバンクが新卒採用者数の抑制を打ち出している。だからといって、メーカーや非金融のサービス業者だと年俸水準が大幅に減ってしまうので行きたくない場合、金融業界を広く見渡す必要がある。
そうなると、アセットマネジメント業界、VC(ベンチャーキャピタル)等、幅広く金融業界を調べていく必要があるが、オリックスも候補の一つにしても悪くないのではないだろうか?